第5話 【今後について・1】
エルドさんと別れた後、俺は大体30分程寮の散策をして部屋に戻って来た。
「最初、入った時も綺麗だったけど、更に綺麗になったな……」
たった30分で部屋の清掃が終わってる事に対し、若干驚きつつ俺は部屋を見て回った。
そしてリビングに備え付けで置いてある椅子に座り、見て回って来た寮の事を思い浮かべた。
「流石はこの周辺国で一番の商会の寮だったな、土地の広さからヤバさを感じたよ」
ルクリア商会の寮は、まず職場である商会の建物の裏にあり通いやすい場所にある。
その為、近くには沢山のお店があり、更に寮の奥には訓練場もあって寮住まいの人達の体を動かす場所まで揃っていた。
王都のこんな広い土地を持ってるとは、流石ルクリア商会だなと感じた。
そして大事な寮の設備だが、それもまた凄かった。
寮の建物は4階建てで2階からは、住居スペースとになっていて一階部分は全部共同スペースとして色んな設備が整っていた。
「その中でもやっぱり、風呂場は凄かったな」
寮には大きな大浴場があり、シャワーだけでも10人は同時に使えるスペースがあり、浴槽もかなり広かった。
清掃途中だった為、そこまで詳しく見てないが今日の夜には入れるので、その時にまた見よう。
「それにしても、凄い場所だよな……ルクリア商会と聞いた時からずっと思ってるけど、本当に俺がここに居ても良いのかな……」
俺は急に不安に感じ、気持ちが沈んだ。
「……いや、こんな考えていても仕方ない。エルドさんの役に立てるように、俺は自分に出来る事をやろう」
気持ちが沈んでいても良い事に進まないと思い、俺は気持ちを切り替えた。
そして俺はそのまま、散策時に見つけた訓練場に移動した。
「よしっ、まずは自分のステータスの確認からだな」
ステータス、それは自身の能力を見る事の出来る神様から現世に住まう者達に平等に与えられた力。
本にはそう書かれていて、ステータスだけは生まれた時から見る事が出来る。
✤
名 前:アルフレッド
年 齢:16
種 族:ヒューマン
身 分:平民
性 別:男
レベル:10
筋 力:78
魔 力:91
敏 捷:54
運 :91
スキル:【経験値固定:—】
加 護:Error
✤
ステータスを表示すると、俺の名前と身分が以前の表記とは変わっていた。
名前を名乗らない様に身分証すら新しくされて、家から追放されたのだから当たり前か。
「……それにしても、レベルが低いな」
15歳になるまで、俺は基本的な生活は家の中で過ごす感じだった。
無能と知られる前までは、長男としてノルゼニア家を継ぐために色んな事を学ばされていた。
その為、時間が限られていてレベル上げ等といった事は出来なかった。
「今思うのは、もう少しレベルを上げていればって後悔するな……」
そう俺は自分のレベルの低さに落胆しつつ、ステータスの下の方にある【加護】と場所に視線を移動させた。
「これだけは昔から謎なんだよな……俺以外が見ても、俺には加護は無いって言われるしな……」
ステータスは、任意の相手に見せる事が出来る。
その為、この〝Error〟という表記が気になった俺は、クラリスに見てもらったが何も書かれていないと言われた。
その後、父や母にもステータスを見せる機会があったが、全員が口を揃えて「何も書かれていない」と言われた。
「本当に謎だよな……でも、今考えるとこの表記があった時点で俺は無能になる運命だったのかもしれないな」
ステータスがおかしくなるなんて、普通は無い筈なのに俺は生まれた時点からおかしかった。
「……さてと、現状確認は終わりにして今後についてだな。俺が授かった【経験値固定】はこの表記通りなら、レベルが上がるようなスキルでは無い事は分かる」
スキルには二種類ある。
一つはレベルがあり、1から10と10段階で別れている。
レベルが上がればその分、そのスキルが強化されていく。
そして二つ目は、俺のスキルと同じようにレベルが無いスキルだ。
「本の知識通りなら、レベル表記が無いスキルは強力なスキルって事らしいけど……」
本で得た知識によると、レベル表記の無いスキルはどれも強力なスキルらしい。
しかし、俺はこのスキルが強いのか弱いのか、未だに分かっていない。
「謹慎生活中は、自由に訓練も出来なかったからな。ただ部屋の中で待っていただけだしな」
謹慎生活中、俺は自由に部屋の出入りは禁止され、軽い運動位しか許されなかった。
だから謹慎前よりも体力は少しついたが、スキルに関してこれといって分かった事は一つも無い。
ただ名前から察するに、経験値が固定化されるというスキルなのは間違いないが……。
「経験値が固定化されて、何が変わるんだ?」
と、俺はこの謎に約一年間悩まされている。
それからステータスの確認を終えた俺は、久しぶりに真面な運動を始めた。
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