02 ひぐらしのなく頃に解 silent ~最哀の復讐鬼~
案に相違して、実は私の作品には反応がありました。
全ての作品に感想を送る丹羽さん(仮名)という方がいて、まずその人から感想を貰いました。
この時は凄く嬉しかった記憶があります。
その後、丹羽さん以外にも感想を貰えて、やっぱりやめないで良かったと思いました(ショックのあまり、感想が無かったらやめようと思ってました。まだ若かったもので)。
さて、根が単純な私は、感想を貰えたなら、まだ書いていいのだろうと思い、次の作品に取りかかりました。
最初の作品は、記事数が一つの短編でしたので(私のデビュー作のすぐ前に投稿された師走さんの凄い作品も、記事数一の短編)、今度は記事数がいくつかある中編を投稿することにしました。
相変わらず哀調で、主人公がヒロインに誤解されたまま突っ走り、最後には誤解が解けるという内容です。
前の作品よりは感想も多くいただけ、少しは自信がついてきた頃です。ただ、例の「師走さん」はもう何個も作品を発表していて、しかもだんだん上手くなってきていて、楽しませていただくと同時に嫉視していました。
*
ところで、二次創作というものには、いろいろと専門用語というか、創作上のテクニックというものがありまして、そのうちのひとつが、オリキャラといいます。
オリキャラとは、オリジナルキャラクターの略で、その二次創作の根拠となっている一次創作(この小説の場合ですと、「ひぐらしのなく頃に」)に出ていない、その二次創作の作者がオリジナルで作ったキャラクターのことをいいます。
このオリキャラを出す出さないを明確に区別しているところもありました。
ただ、「ひぐらしのなく頃に」の公式サイトの公式掲示板の二次創作スレッド、通称「雛見沢物語」のスレッドでは、オリキャラOKというスタンスでした。
私は、オリキャラを使うのは、ちょっと冒険だなと思っていたので、原作のデフォルトのキャラクターを使って書くようにしていたのです。が、そのうちに、「逆にオリキャラを使えば、バッドエンドを回避できる話が書ける」と思いついてしまいました。
これには当時の「ひぐらしのなく頃に」の状況の説明が必要です。
当時、ちょうど回答編にあたるシリーズのうち「皆殺し編」が発表されたのです。
「皆殺し編」。このタイトルからお察しくださいという内容でした。むろん、面白かったことは言うまでもありません。
ただし難易度はナイトメア。
ここからどうやって、「皆殺し」を覆してグッドエンドに至るのか、という話題で盛り上がった気がします。
純粋な謎解きではなく、物語の書き手として、そのバッドエンドを回避するんだという謎の使命感。そういうのが湧き上がって来たのです。
少なくとも、私には。
「そうだ、『皆殺し』の犯人を(勝手に)忍者ということにしよう。それで対立する忍者をオリキャラとして登場させよう」
突拍子のないアイデアでした。
はっきり言って、そんなことしたら、そのオリキャラの忍者が、最強の力で無双して勝って終わり――そう思われるだろうなぁ、と感じました。
でもまあ、そこは二次創作だから、自由にやらせてもらおうとと筆を執りました。最強とか無双とかに関しては、忍者だから忍ばせよう、その正体は秘密にするという制限を課して、最終決戦に至るまでに正体を明かさずに原作デフォルトの主要キャラクターとの関係を構築し、最後の最後にその正体を明かして、共に戦おう、みたいな話にしました。
そのタイトルを「ひぐらしのなく頃に解 silent ~最哀の復讐鬼~」と言います。かっこつけすぎですが。
「一体、誰が読んでくれるのか」
そう自問しながらも、ある程度書けたその作品を投稿しました。当時は書き下ろしというスタイルではなく、連載形式で、毎週一回みたいなペースで、書いては投稿するというスタンスでやっておりました。
反応はまずまずでした。おそらく百人前後のコミュニティみたいな感じのスレッドだったんで、そう悪しざまに言う人もなく、まったりと、それぞれの作品を読み合う、みたいな雰囲気でした。
「まあ、こんなものかな」
当時の私は、一度脳内に思いついたモノを吐き出さないことには、つまりアウトプットしないことには、頭が破裂するみたいな感覚を抱いておりましたので、とにかく書いてしまうということに快感を覚えていました。自己満足の極致ですね。
そんなわけで書き進んでいるうちに、「ひぐらしのなく頃に」原作の作中で不遇なキャラ(といっても、みんな「何か」を抱えていて、それぞれ不遇というか哀しさを
ここで、私がデビューした時に、そのすぐ前に凄い作品を投稿した人――師走さん――が反応してきました。
「そこに着目するとは」
「沙都子」は原作世界の「村」の中で孤立している家の人でした。
その家と接触して、助ける方向に動けるのはあまりいなかった――と、おっしゃるのです。
そこで、
――もしかして、師走ですか?私です。初めましてあなたは。
というやり取りがあって、私は師走さんと知り合いました。
いや、実際は、その少し前に
……そういうところに、こうして
なるほど、これがお互いに「交流」を持つ、ということなのだなと感銘を受けたものです。
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