エピローグ

 アニバへと帰ってきた私は、胸元から一枚の紙を取り出した。

 紙面に書かれた名前を指でなぞり、今までの思い出を振り返る。

 

 ――一緒に、来てほしかったな。

 

 気持ちの整理をつけた私は、次の世界へ向かうために写し身の書を手に取り、中の情報を更新していく。

 写し身の書とは別世界における自分の器であり、常にを投影しておく必要がある。

 暫く写し身の書を手に取り、目を瞑っていると更新が終わったことが感覚的に伝わってくる。

 これで準備は完了した。さて次はどの世界に行こうかと考えていた、その時だった。

 突如手に持っていた本が、部屋全体を埋め尽くすほどの光を放ち始めたのだ。

 光が収まり、顔を上げると、目の前にはきょとんとした顔でこちらを見つめる一人の男がいた。

 彼の姿を目の当たりにした私はすぐに写し見の書を拾い、更新された箇所を確認する。

 そこには、このように記載されていた。

 

「――ノイアは現在、『白石知記』に対して恋愛感情を抱いている」と。

 

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知識神ノイアの来界 新米提督(f) @Sinmai_Teitoku

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