社畜in取調室

鳥路

ようこそ、取調室へ!

どうもはじめまして

おはようかもしれないし、こんにちはかもしれない。はたまたこんばんは?挨拶は大事にしたい系社畜をやっています。鳥路です


今、僕は某県の警察署。その取調室に入っております・・・

あ、先に弁明しておきますね。悪いことはしていません

強いて言うなら仕事をしていただけなんです。信じてください


「しかしそれならなぜ取調室?となりますよね」


まあ、先にネタをバラすと、ここにやってきたのは事情聴取のためなんですね

部屋がなかったので取調室に入っただけで、本当は相談室とかがデフォらしいですよ


当時は真夏

初夏から何回か行われた事情聴取、終わる頃にはなぜか晩夏と一夏をポリスウーメンと過ごしたあの夏のお話をしようかと思います

タイトルはもう出していますよね


実録とかいう悪夢。社畜in取調室。始めていきましょうか


・・


今回は先になぜ取調室に入ることになったか、その経緯をお話しませんといけませんね


簡潔に述べれば「詐欺事件に巻き込まれたから」

お給料に関する本当にあった詐欺事件となります

まあ、この話ではその詐欺事件ではなく取調室に入ったことをメインに書いていきますが・・・その原因には先に述べておきましょう


原因は犯人が勤めていた部署にいる部長が印鑑を紛失したからです

しかも僕が勤め始める前の話ですね。そんな長期間かよ・・・と、取調室でため息を吐いたのを今でも覚えています


会社勤めの方々は印鑑を押さないといけない場面は多いかと思います。くれぐれも管理にはご注意ください

僕はいつでもポケット管理です

机の上には置いていかない。ふとした瞬間に確認!

まあ僕の印鑑なんて大した効力はないので、そんなことをしていてもほとんど意味はないのですが・・・ですがね


「うちの部長が休みの日でもパソコン前に印鑑を置いているのはどうにかしたいところ」


あんたの印鑑にはその辺のシャ○ハタとは違う重さが違うんだよ

あんたもこの事件に巻き込まれた人間だろ。同じ轍を踏みかけてるぞ

頼むからせめて引き出しに入れて帰ってくれ・・・


「話が脱線していますね。そろそろ本題に入りましょう」


今回お邪魔した取調室は何ということでしょう


窓が・・・ありません・・・


意外と上層階にあったはずなんですけどねぇ・・・あ、脱出防止というやつでしょうか

落ちて死なれたりしたら寝覚めが悪いですからね。僕わかっちゃった


しかしなんでしょうか

ドラマとかじゃ、窓がある印象だったのでこれは予想外ですね

犯人の後ろから光が差し込んで・・・なんだかしんみりした空気を演出しますが、そんなものは残念ながらここにはないようです

・・・まあ、後日お邪魔した相談室にも窓がありませんでしたが


次に見るのは内装

真っ白な壁!アイボリーな床!

気が狂いそう!


しかし、壁紙と床の配色はともかく・・・

この絶妙な狭さ。落ち着くのは不思議な感覚ですね

ここにパソコンを持ち込んで執筆したら捗るでしょう

少なくとも狭い空間派の僕は捗る予感しかしませんでした

そんな落ち着くほど狭い部屋に椅子が二つ。机があってそれ以外は何もなし

まあ取調室ですからね。これぐらい殺風景なのが普通かもしれません


ちなみに椅子はパイプ椅子

これに長時間座るのか・・・と、マスクの中で苦笑い


さて、実際に事情聴取が始まりました

その前に、あるものを持ってきて頂きました

やっぱりここは定番のあれが来た!と思いました


残念。珈琲です。ちなみに無糖


まあ無糖でも飲めますが、真夏に熱々の珈琲かぁ・・・としみじみと感じました

それにカツ丼ではないらしい。悪いことはしていないし、貴重な機会だしとノリノリで待っていたのに・・・

・・・後で駅前のお店でカツ丼食べよ


まあそれはそれ!これはこれ!きちんと事情聴取をやって早く帰りますよ!

会社からはざっくり、部署が関わった事件があるから警察に協力してね、程度の説明

事件の全貌はここで全部を知った感じですね。説明不足にも程があるぞ。いつものことか

むしろいつものノリで安心しましたよ。会社としてはどうかと思いますけどね


「まあ他部署にバレたくないというのは理解できますよ。会社内でその話はタブーでした」


・・・それなら社内のロビーで事情聴取受けるなよ。えふんえふん

それから資料を見つつ、担当の方とお話をしていきます

その資料の筆跡から、自分が犯人の詐欺に関わった日を炙り出すことになったのですが・・・なんとびっくり七桁円も出していました

うわ・・・僕、たった二年しか勤務していないのにこの額・・・?働きすぎじゃない・・・?


当時の記憶もかなり振り返りました

自分でもなんで覚えているんだよ、と思いつつ話していましたね


それから一度証言をまとめるために休憩時間がありました

その時に、取調室の観察を再開しました

なにか目新しいものはないかと思ってキョロキョロしましたが・・・やはり殺風景の殺風景

そういえば机。デスクマットが敷いてあるんですよね


「やはり書き心地というのは考えたい部分ですよね・・・あれ?」


光の反射を使ってそれを確認してみる

写ってんじゃん、筆跡

しっかり人名が読み取れる!人のこと言えた義理じゃないけど筆圧高いですね!

それに皆さん字が綺麗なだけあって無駄に読めちゃうぞ!

だんだん見てはいけないようなものを見ている感じがして、目を逸してしまう

しかしここで見てしまうのが人間の性!人間って愚か!


取調室に関してはこんなところでしょうか


「申し訳ないのですが、ここから先はお話できなかったりします」


折角の機会ですので、調書のこととかもお話したいのですが・・・ここから先は事件に触れなければなりません

流石にちょっとそれは話したくない。身バレ防止ってところもあるけど、正直この部分、巻き込まれた側としては思い出すのもうんざりするようなお話だったりしますので


「しかし!取調室のイメージというのはだいぶ?掴めてくれたと思います!」


まあ何回も入りたい場所ではありませんけどね!

少なくとも、事情聴取で入りました。なんて事になったら参考程度にはなるかと思います

いや参考にする場面無いだろ。事情聴取でも入りたくねぇよこんなとこ


「しかし、これを出している場所では、参考資料がたくさん欲しい方々が沢山いらっしゃるはず」


読みにくかったと思いますが、そんな皆さんの糧に少しでもなっていただければ・・・本作も本望です


「しかし、やはりこれジャンルが「墓場まで持っていくつもりの秘密」じゃないですか」


取調室に入ったことが問題なのか?ではないんです

むしろ言いふらしたいぐらい。なんだかんだで貴重な体験ですからね

問題は・・・


「何回か聴取を受けたのですが、全日雨でして。傘を持っていっていたのです」


僕は長くて丈夫で重い傘を使う傾向があります

それだからあんなことになっちゃったんだろうなと、今でも思っています


「・・・最終日の一つ前の回、取調室の壁に傘で穴を開けちゃったんですよね」


最終日にその事実に気がついたのですが、何も気がついていないふりをしたのです

流石にね・・・事故でもね・・・あの、新築ピカピカな壁に傘で穴を開けたと知られたら・・・

どうなるんでしょうね、僕


「これが、今回の話の「ヤマ」な部分。反省はしています」


新しい傘はちょっと短くて、重くて丈夫な傘にしました!

そこまで反省してないなお前!


まあ壁に穴を開けたのは誰にも話していません。おいそれと話せる話じゃないんだよ

これが、今回のジャンルに基づいた秘密だったりします


「しかし、なんでしょう。文字数がやけに少ないと思うんですよね・・・」


せっかくです。取調室に入る前と後の話をしましょうか


「入る前は一応、両親になぜこんなことになったのか経緯だけは軽く話しました」


基本的には携帯に連絡が来るようになっていたのですが、出られない時は緊急連絡先の実家に電話がかかるようになっていました

唐突に警察が電話してきたら、流石の両親もびっくりするでしょうし

・・・開口一番「あんたなんかしたの!?」と言われる未来は簡単に見えました

だって自分がそうでしたし。警察ではなかったですがね


両親をびっくりさせないためにも、事情を話しておく必要がありました

同時に、警察から連絡がある可能性も付け加えて・・・軽く事件の内容を話しておきました


「母は呆れていたと言うか「なんでこんなことに・・・」な感じでした」


しかし父だけは違いました


『これでお前も取調室仲間!』

『えっ』


父は若かりし頃、取調室に入ったことがあったようでさり気なく仲間に認定されました

詳細は敢えて聞きませんでしたけどね。一体どんな理由で取調室に入ったのでしょうね

しかしまあ、血は争えないようですね


取調室に入ったから親子そっくりと言われたのは憎たらしかったです

こんなところ、似たくないのですがね!

まあ・・・僕自身、親の悪いところ全取りですし、仕方ないかもしれません

それ込で自分だと楽しんでいる自分がいるのも事実なのですが


それが取調室に入る前の話となります

そして、全てが終わった後

色々と事情が重なって中々会えなかった父といた年明け

その時にこんな話をしました


「なあ」

「どしたんお父さん」

「お前、一つ忘れてないか?」

「いや何も忘れてないはずだけど?」

「お前の従兄の職業は?」

「け・い・さ・つ!」


「お前の伯父は?」

「け・い・さ・つ!」

「お前、うちの兄貴に今回の事話してみろよ。絶対面白いことになるけん」

「追いかけ回されるからやだよ。大人しく初孫可愛がらせとけって・・・」

「つまんね」

「どこにつまんない要素あったん!?」

「じゃあ一昨年の春に別件で指紋を取られたことは?」

「自分の口で報告することは死んでもないよ・・・」


特にオチはありませんが、後は逮捕に裁判に慰謝料の振り込みに盛りだくさんでした

でもそれは僕が関与する話ではありません


しかし、まだこの会社には色々と問題があったりします

胸糞必須な未解決事件

売上金五十万紛失事件。結果も何も事後報告もなく有耶無耶にされた事件がもう一つあるのですが、それはお話することではないでしょう。むしろ僕が詳細とオチを聞きたいぐらいです

その際に指紋を採取された話は・・・


「ご興味と需要があれば、またどこかの機会で軽く」


一緒に事情聴取を受けた課長と共に「全然指紋が映らねえ!」「終わんねぇ!」「終わる気がしない!」と叫びながら、指紋採取用の紙へ指をぐりぐりされるだけですがね!


本日はここまでにしましょうか

長々とお話しするのもなんですからね


「それではまた、どこかでお会いできれば嬉しいです!」

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