第十百合「学校へ」

「私だって……」

私はリビングのドアの前で座り込んでいた。

「知ってた。2人の関係はそういう関係ってことを。」

「それにしても、蓮華れんげは大胆なんだ。」

「私もお姉ちゃんの唇欲しいけど、姉妹でしても意味がない。それは“恋人の好き”では無いから。」

「私もそろそろ恋人を探せってことなのかな?」

「はは、ほんっと……羨ましい。」

みゅーとのキスは日に日に勢いが激しくなっている。

私は嬉しいけど、みゅーはどう思っているのだろうか。

とても気になるが、学校の時間が迫っている。

「ありがと。私としてくれて。」

そういうと、みゅーは頭を横に振った。

そして、私の唇にスキした。

「にゃにゃ……」

確信した。みゅーは私とキスできて嬉しいということを。

「……良かった。」

私は安堵あんどして、みゅーを抱き締めた。

「私はずっと好きだよ。みゅー」

10秒ぐらいしたら、スっと離し、再度準備を再開するのだった。

やっと学校へ行く準備も終わり、そろそろ時間がヤバくなっていた。

「あまり時間がないから簡単に説明するよ。」

「私と蓮華は学校に着いたら、地下施設に侵入するよ。」

「分かった 。でも解除は?」

「蓮華に任せるよ。」

「……ええ、そうよね。」

そうして私たちは、学校に行くのだった。


❤❤❤


私たちは電車に乗って学校に向かっている。

「それにしても、ここは電車が便利だよね。」

「そうだね。車が無くても殆ど、どこでも行けるよね。」

「でも私はそんなに好きじゃないよ。めっちゃ監視されているしね。」

「……確かにそうだね。じゃないと運賃が無料な理由が分からないよね。」

「そういうこと。その理由を調べているけど、何も出てこないの。とても不思議よね。」

「ええ、本当にそうよね。」

この都市が何かを考えていることは知っている。だけど、セキュリティが強固で簡単じゃない。できない訳では無いが……裏を返せば、それだけ見られたくない情報だということ。

この都市は、何かを隠している。それがいいことか、悪いことかは分からないけど。

「話し変わるけど、ちゃんと使えたね。例のカード。」

「もちろん!私が作ったからね。」

「でも、君には負けるよ。」

「……え?」

「私は知っているからね。あなたのこと。」

「へー、そうなんだ。私、そんなに人気あったんだね。」

少し棒読みで言った。

「(確かに、“あのこと”を知っているのなら、私を知っている人もいるかもしれない。関係者なら 。)」

「気にしないで!私は君を利用したい訳じゃないから。」

「そ、そう……」

「それと、例のカード、今使っても関係ないんだけどね。」

「有効性を確認するために使っただけ。」

「じゃぁ、なんで作ったの?」

「持っていたら便利だから。」

「えぇ……。」


あと少しで百合ももあい高校前駅に到着する。

すると彩穂さほが最後の確認をすると言い出した。

「では、最後の確認をするよ。」

「私と、蓮華は昼休みに地下に潜入するよ。」

「学校は隣だけど、抜け出すのにちょこっと大変なんだよね。」

「昼休みのちょっと前に停電すると思うから。」

「えっ、どういうこと?」

「学校を停電させて、非常電源に切り替わるのに5分かかるから、その間に抜け出す。」

「あ、なるほど。分かったわ。」

「来たら、私がロックを解除するんだね。」

「そうよ。君の方が上手だしね。」

「それ以外は臨機応変に。」

「集合場所は、地下の入口付近で。」

「みゅーのことは、蓮華が考えてね。」

「えっ、それがどういう……」

「着いて来るのはアレでしょ?」

「ま、まぁ……そうだね。」

「その件は、蓮華に託すよ。」

私は縦に頷くことしか出来なかった。

今のところ、みゅーが猫になっていることに気付いている人はいない。

学校では、保険室で寝かしとこうと今考えた。

「分かった。任せて。」

この選択で、大変なことになるなんて、この時の私はまだ知らない。


電車を降り、学生証をゲートにかざして、学校に向けて歩く。

みゅーと手を繋ぎながら、学校に向かう。

私はある物を取り出し目に装着した。

「こ、これは凄い……!!」

周りを見たら、大量の防犯カメラなどがある。

とても巧妙に隠されている。

さらに、肉眼では見ることができない、「無空間カメラ」もある。

これは腕にあるデバイスとは違うもの。

目にコンタクトレンズ型のデバイスで、周りを見るだけで、防犯カメラやセキュリティ情報、人物の名前も分かる。便利なデバイス。

「……多いな。学校で使ったことなかったけど、こう見ると不自然に多い。」

「こんなに必要なのかな。まぁ、百合認定校の中では1番だけど。」

「でも、ここまでする必要はないし……やっぱり何かを隠している……か。」

「よし!取り敢えず、みゅーは保健室に行こうね。」

「にゃにゃ?」

「だって、人だけど猫になっているから。」

「でも、ベットで寝れるよ。」

「にゃ……」

「ごめんね。私はこれぐらいしか思いつかないの。でも、一緒に学校に来れたのは嬉しかったよ。」

するとみゅーはギュッと私に抱きついて来て、「にゃにゃ!」と言った。

一瞬思考が停止した。この可愛さに私は毎日ヤられている。

周りに人がいるから少し恥ずかしいが、みゅーはそれを破壊するの力を持っている。

でも、さすがに長時間が出来ず、1分したら離れた。

「さて、学校に行こう!」

「にゃっ!」

そして手を繋いだまま、学校に入るのだった。

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