第九百合「性癖がバレた」

気が付くと朝になっていた。

「あれ?ここは……そうか、みゅーの家でお泊まりしたのか。」

そして私は、体を起こそうとして、あることに気付いた。

「こ、これってまさか……」

「みゅーが私に抱きついてるー!」

「一旦落ち着こう。これはよくあること……。」

「……それにしても可愛いなぁ。」

「さて、今日も学校に行かないと。」

「確か、みゅーも同じ学校だったはず。」

「やれやれ、ここから遠いのに……まぁ、電車だから楽だけど。」

私はおもむろに制服に着替える。

「それにしても、どうしてエリア分けしているのだろう。」

「まぁ、気にしたら負けか。その気になれば調べることはできるけど……。」

「うん。やっぱりやめとこ。」

と、準備も終わり、部屋から出ようとしたその時。

「んー?」

なんとみゅーが起きてしまった。

「えっと……お、おはよう。」

「ん、ん~?」

「にゃにゃ?」

「えっと、私は学校に行くよ。」

「にゃにゃ!」

みゅーは慌てて学校に行く準備を始めた。

「そんなに急がなくてもまだ時間はあるよ。」

「にゃぁ……。」

「ごめんごめん。」

「――さて、忘れ物ないね。」

「にゃ!」

そして私とみゅーは1階のリビングに行くのだった。


❤❤❤


リビングに降りると、彩穂さほが朝食を作っていた。

「おはようございます!」

「おはよ!そんなにかしこまらなくていいわよ。」

「分かったわ。」

「さて、今日は忙しくなるわよ。」

「ですね~」

「にゃ?」

と、なんの事か分からなみゅーに、私は一部を隠して説明する。

「大丈夫、みゅーを戻す手がかりを探すだけだよ。」

「まぁ、ちょっとだけ大変だけどね。」

するとみゅーは、心配そうな顔をした。

「お姉ちゃんを助けたい。それだけよ。」

そう彩穂さほが言うと、渋々と頷いた。

「さて、朝食を食べたら出発するわよ。」

私はあることを思い出した。

「思い出したけど、学校エリアは入れるの?」

「私は、入れるけど……。」

「私を何歳だと思っているの?」

「中学2年生だよ!」

「ご、ごめん……なさい。」

「まあ、いいけど。」

すると、机の上に置いてある二つのカードを手に取り、私に見せてきた。

「……それは?」

「私の生徒手帳だよ。」

「でも、こっちは見た事ないのだけど。」

「あぁ、こっちは教員証だよ。」

「えっ!」

「学校エリアではこれが1番権限があるしね!」

「まぁ、確かにそうだけど……。」

「本物じゃ無いよね、一体どうやって?」

「……ざっくり言うと、本物の教員証を解析して、それを元に生成して作ったのよ。」

「そ、そうなんだ。」

「にゃ、にゃぁー」

と、私を呼んでいる声がした。

「ごめんごめん。」

「にゃにゃ!」

みゅーは持っている紙を私に見せてきた。

「えっと、《私も学校に行くよ!》」

「えっ、大丈夫かな?」

尻尾しっぽや猫耳もあるけど。」

すると、彩穂さほが前に出て来た。

「いいんじゃない?蓮華れんげと同じ学校だし。」

「ほ、本当だ!私と同じ制服だ。」

さっきからずっといるのに気付いていなかった。

私が改めて見ると、少し目をらして恥ずかしそうにしていた。

「か、可愛い!」

「猫耳と尻尾がみゅーの可愛いさを引き立てている!」

「特にスカートから出ている尻尾がとてもいい!」

と、私は今まで感じたことがないほどに興奮していた。

「にゃにゃー」

「あー、もしかして……制服が好き(性癖)なんだな。」

「ギクッ!」

「な、何故バレた?」

「いや、今のを見たら誰でも分かるよ。」

「やれやれ、これがあの【伝説のデバイス使い】だとはね。」

「何それ?伝説の?」

「……まぁ、これは気にしなくていいよ。」

「それより、時間ないから早く準備するよ。」

「わ、分かったわ。」

そして、学校に行く準備を進めるのだった。


❤❤❤


準備している最中さいちゅうに、私はとてもみゅーを目で追いかけていた。

私は、みゅーのことが好きなんだと改めて思った。

この街では、百合ゆりは当たり前。

統計によると約30万人いることが分かっている。

どうして女の子しかいない理由は私にも分からない。

もしかすると、闇があるかも知れない。

だけど私は、この街が大好きなことに変わりわ無い。

準備も終わり、周囲を見渡すと、みゅーがソファに座ってテレビを見ていた。

私は、ゆっくりとみゅーの隣りに腰掛けた。

すると、みゅーは下を向いてしまった。

「(今なら二人きり……)」

「(するんだったら……彩穂が来る前にするしかない。)」

そして私は、横からみゅーに抱きついた。

みゅーの家で、しかもその妹がいない時にイチャイチャしてるなんて、とても興奮する。

「にゃにゃ!」

「(あぁ……好き。みゅーと出会って本当に良かった。)」

「(もう少し、近付きたい。)」

するとみゅーは、私の頭に手を置いた。

それは、して欲しいという意味なのだろうか。

真っ赤になっているみゅーを見たら、私も移ってしまった。

ドキドキしているが、それに負ける訳には行いかない。

「(可愛い女の子に制服……こんなの我慢出来ないよ……)」

「……可愛い、可愛いよ……みゅー。」

そして私は、みゅーにキスをしたのだった。それはもう、激しく――

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