第七百合「奪われた唇」

「知っているのね。」

「……聞いたことがあるだけ。詳しいことは分からないけど、この国に昔からある書だとしか。」

「間違ってはいないよ。蓮華が言っているのは魔術書の方じゃない?」

「……分からない。私は詳しくないから。」

「そ、そうだよね。ごめんね。」

「んで、今回の原因は複術書なの。魔術書とはちょと違うのよね。」

「復術書……聞いたことないわね。」

「まぁ、そうよね。復術書が作られたのは今から1000年前ぐらいたけど、研究が始まったのはもっと最近。10年ぐらい前。」

「あることすら秘密にされていたからね。」

「秘密なのに何で私に聞いたの?」

「……蓮華なら知っていると思って。知っていたら話しやすいから。」

「そうだったのね。」

「……うん。そっか、私が1番知っているのかもね。私以外だと……蓮華が知らないならあとは研究者ぐらいか。」

「はぁ、色々と聞きたいことがあるけ、どこに研究所があるか全く分からないんだよね。」

「研究所……あっ!」

私は今日学校で見た光景を思い出した。

「……もしかして、知っているの?」

「い、いや……その研究所かどうかは分からないけど。今日、ぼーっと学校の階段を降りていたら、見知らぬ場所にいて。」

「そこには様々な機械があった。そして見つかりそうになって、ドアが閉まっていたから開けて脱出した。」

「そ、そうだったんだ。大変だったね。」

「てか!学校にあったんだ。まさに灯台下暗しだね。」

「で、でも……合っているか分からないよ。」

「大丈夫。きっとそこだよ。」

すると、みゅーが私の服をそっと引っ張った。

「にゃ、にゃぁー」

「どうしたの?」

「ふふ、お姉ちゃんは蓮華が好きなんだね。」

「にゃにゃっ!!」

「んな!」

その言葉に、私とみゅーは反応してしまった。

「あはは、みゅーと蓮華が赤くなっちゃった!」

「ふふ、いや~この光景が見れて妹は嬉しいよ。」

「それって姉が言うやつじゃん。」

「あはは!確かにそうね。」

「それで、姉……猫さんは何て言っている?」

「姉でいいでしょ。妹なんだから。」

「分かったわよ。それで、なんて。」

「ああ、えっと……眠たいからお風呂入って寝たいって言っている。……いや書いてある。」

「ん?書いてある?ま、まぁ、ちょうどいいわね。蓮華、一緒に入って。」

「にゃっ!?」

「えっ、みゅーと一緒にお風呂に入るってこと?」

「そうだけど……なにか問題でも?」

まさか、出会った1日目でこんなことになるとは思っていなかった。

それにしても、彩穂さほはこんなに“復術書”のことを知っているのだろう。

聞いてもいいけど、今はみゅーとお風呂に入りたい!!

「そ、それじゃあ……入るわね。」

「行ってらっしゃーい~。ごゆっくり~」

そして私は、みゅーの手を握ってお風呂に向かう。

だけど、みゅーの家は初めて入ったのでどこにあるか聞くのだった。


♥♥


「みゅーの肌、すべすべだ~いいな~」

「それにしても、この胸の大きさっていいよね。」

「私より小さいけど、それがいい!」

「にゃっ、にゃぁ~」

「あっ……ご、ごめん。イヤだったよね。」

するとみゅーは、小さく首を横に振った。

「にゃっにゃっ……」

そして、私の手を取って自分の胸にあてた。

「なっ、ナニを……あっ、ヤバい心臓の鼓動こどうが……」

みゅーの胸と手の温かさが伝わって言葉で言い表せない感情になってる。それからしばらくして――

「あ、ありがと。もう大丈夫だよ。」

そして、少し沈黙ちんもくが流れる。

「……えっと。ありがとね。」

私は再度お礼を言った。

「にゃにゃ!」と言って首を振った。

このままじゃ不公平だと思い、私も同じようにみゅーの手を取って胸に当てる。

「どう……かな?ふふ、なんか不思議な感じだよ。」

するとみゅーは、私の目の前まで顔を近づける。

――そして、私の唇を奪った。

とても幸せな気分。何も考えられない。ぼーっとす

る。唇が離れても、惚けた表情はそのままになっていた。


「まさか、して来るとは思っていなかったよ。」

「にゃーにゃ……」

「んん!!、可愛いよ~」

そして私はみゅーに抱きつく。

「にゃにゃ!!にゃぁ~」

と、みゅーの体に浸っていると、あることを思い出した。

「あっ!そう言えば待たせていたよね。」

「にゃ!」

急いで残りなど済まして、お風呂から出るのだった。


♥♥♥

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