第六百合「姉妹の愛情表現」
みゅーも少し落ち着き、そろそろ中に入れると思う。
ここは男性侵入禁止エリアの中のため、女子しかいない。
なので、私たちをつけている人が女子ってことは分かる。
だけど、なんのためにしているのかは分からない。
一応警戒しつつ、みゅーの家に入る準備をする。
「……大丈夫?」
「にゃ!」
「それじゃ、中に入ろっか。」
そして私はインターホンを押す。
「あら?こんな時間にどうしたの?」
「ちょっといろいろあって……」
「あぁ……なるほど……」
「分かった、カギを解除するね。」
「それと、熱センサーによると、そこから10mぐらい後ろに、一人誰かいるって映っているけど?」
「あぁ、それは私たちを後つけている人だと思う。気にしなくていいよ。」
「そ、そうなのね。分かった。」
そして、カチッとドアの鍵が解除されて、中に入るのだった。
♥♥
家の中はとてもきれいで、自分の家がいかにぐちゃぐちゃなのか思い知らされた。
「左の部屋に入って」と、言う声が聞こえた。
「この感じ……アレか。特殊な電波で脳内に直接声を送るやつ。」
「そうだよ。何故かこの家にはあるんだよね。」
「まあまあ、取り敢えず入って。」
そして私は、左のドアを開ける。そこは、リビングだった。
「なんとなく分かるよ。それにしても、なんでこんな時間に……」
壁に掛かっている時計を見ると、とっくに19時を過ぎていた。
「あぁ……まぁいろいろあったんだよ。」
「確かにいろいろあったんだね。取り敢えずご飯食べる?」
「えっ?なんで分かったの?」
「センサーで分かったとしか言えない。」
「あまり材料ないから、ちょっとしかないけどいい?」
「う、うん……ありがとう。」
食べれたらいいなぁと思っていたけど、本当に食べれると思っていなかった。
「んで、お姉ちゃんがなんで来ないのかな?」
「ドアのところに隠れているのは分かっているよ。」
「にゃ、にゃ……」
私は、やっぱりバレると思っていた。なので、全てを話すことを既に決めていた。
「……やっぱり、猫になっていたんだね。」
みゅーはとても驚いていた、そりゃそうだ。
バレていないと思っていたのが、既にバレていたのだから。
「バレていたんだよ……最初から。」
「にゃ!」
「うん、そうだよ。最初から分かってた。」
「ここには女性しかいないから大丈夫だと思ったけど、出来れば服を着て欲しかった。」
「にゃ、にゃぁ~」
と言って、みゅーは沈んで行く。
「あらら、お姉ちゃんが沈んで行っちゃう……」
「ど、どうしよう……こうなったら。」
すると、彩穂はみゅーの唇にキスをした。
「……え?」
「にゃっ!」と言ってみゅーは彩穂から離れた。
「一体何を……」
「まぁまぁ、これも姉妹と言うことで。」
「いやいや、良くない……と思う。」
私は、みゅーにして来たことが引っかかって、声が小さくなってしまった。
「にゃっ!にゃぁ!」
「うーん……ま、いっか!」
「……姉妹という意味しかないからね。勘違いしないでよ。」
「わ……分かったわ。」
私は、今のは姉妹での愛情表現だということにした。
「さて、ご飯も食べたし、本題に移ろうかな。」
するとみゅーは、さっきとは打って変わって、真剣な表情になった。
「……蓮華は……原因は分かるの?
「……分からない。私は公園で見つけたので、保護しただけで……」
「まぁ、そうだと思ったよ。でも、よく近づいたよね。」
「半裸状態で家を飛び出したのよ。」
「にゃ、にゃぁ~」
「そ、そうね。取り敢えずどうにかしないと思ったから……」
「……そう。どうだった?みゅーの半裸は。」
「えっ、えっと……よかった。」
私は、素直に言ってしまった。半裸どころか、全裸を見ている。それはお互いに……。
「そっかー。まぁいいけどね。私も見ているし。」
「さて、本題に行くね。」
「……蓮華は、複術書を知ってる?」
私はその言葉を聞いて、「あっ!」と言うのだった。
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