第四百合「ごめんなさい。何でもするから……」

学校に着いた頃には、既に昼休みになっていた。

「やってしまった……」

と、校門でそう零した。

そのまま突っ立っていても何も始まらない。

私は意を決して学校に入るのだった。


気が付かないように足音を消して入ったのだが、下手だったのか気付かれてしまった。

「あっ……」

私は下を向き、足早に自席に向かう。

下を向いて入ったのは、クラスメイトに見られたのもあるが、

だけど1番は、私の"元カノ"と目が合ってしまったから。

思い返すと、少し寂しそうな目をしていた。

やっぱり、私のせいなのかな?と思いながら自席に座った。

すると、こちらに向かって歩く足音が聞こえた。

「……話したいことがあるの。放課後、屋上で待っているよ。」

と、その子は悲しそうな声色で、耳元で囁いた。

「……分かった。」

そう言うと、足早にその子は私の前からいなくなった。

「……どうしよう。私はどうなっちゃうのだろう。」

「もしヘンナことされたら……」

もう未練はないが、それでも好きだったから、ちょっとだけ期待している自分がいる。

「でも今は、みゅーがいる。」

「その子がいるだけで私の心は満たされる。」

「ああ、やっぱりみゅーは可愛いなぁー」

そして私は、ずっとみゅーのことを考えていたのだっだ。


♥♥


そして放課後になり、私は屋上でその子を待っている。すると、屋上の扉が開いた。

出てきたのは勿論、"元カノ"の声香こえかだった。

私を見るや否や、走って私の目の前まで来ていった

「ごめんなさい。何でもするから……」

「私を独りにしないで……お願い……」

私に抱きつき泣きながら、そして弱々しく言葉を放った。その中に、ある言葉があった。

「……何でもていったよね。」

「えっ……う、うん。そうだね。」

「……だったらさ、私の言う事を遂行してもらおうかな?」

「ど、どういうこと?私にはさっぱり理解できないのだけど……」

「大丈夫。分からなくていい。私が言ったことをすればいいだけ。」

「……分かった。それで許してくれるなら。」

「ありがとう……許してくれて。」

関係修復を切り出すのかと思ったが、自分がした事を許して欲しかっただけだった。

「でもまぁ、今のところして欲しいことはないから自由にしていいよ。」

私はそう言って、声香の隣を歩いて屋上を後にした。これで良かったのか分からない。

だけど、気まずい雰囲気が消えたのはよかった。

「さて、家に帰ろ!みゅーが待ってる!」

そして、階段を降りていると……

「あれ?ここどこだろ?確か、階段を降りていたはず……」

後ろを振り返ると、そこには階段があった。

「なんだ、ただ階段を降りただけか。」

そして、来た道を引き返す。

その時、ドアの先から話し声が聞こえた。

少し気になり、私は隙間からの覗いて見た。

そこには、巨大な機械があったのだ。

「なんだろうここ?何かの施設なのかな?」

その時、私の気配を感じたのか、奥にいた人が後ろを振り向いた。私は咄嗟に身を隠した。

「……気づいて……ない?」

だが、怖くなったので、私は気配を消しながら来た道を戻る。

……しかし

「え?ドアが閉まってる?やっぱりバレていたのか……」

「うそ!足音が近づいている。”あれ”はもう二度としないと決めていたのに……」

「仕方ない……か。」

そして私は、カバンの中からある機械を取り出し、それを腕に付ける。すると……

空中に画面が映った。そして、ドアの隣りにあった認証装置らしき機械に手を当てる。

「はぁ……もうしないと思っていたのに……する事になるなんて。」

「でも、仕方ない。こんな不気味な所にいたくないし、捕まったら何されるか分からない。」

その画面には、様々な文字がすごい速度で流れていた。

「えっと、ここのドアは……これかな?」

空いたのは、目の前のドアではなく、右のドアだった。

「ああ違った、こっちだ。」

今度こそ、目の前のドアが開いた。

解錠音を聞きつけたのか、後ろから人が近づいて来る。

私は急いでドアを閉め、防犯カメラのデータとアクセスログを消して、

急ぎ足でその場を後にしたのだった。


♥♥

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