第三百合「連れ込みOK !」
まだ朝だったので、出歩いている人は少ない。
だが、住宅地なのでいつ見られているか全く分からない。
どんな噂が作られるか、ちょっと気になっている自分がいる。
「大丈夫?あともうちょっとで私の家だから。」
だが、実際に私は大丈夫じゃない。
なんせ人生で初めてお姫様抱っこをしたのだから。
辛くても、女の子が喜んでくれたら嬉しい。
そんな思いで、私は道路を
♥♥
家に入るや否や、女の子はビックリしていた。
私は何となく察した。私の家はとても散らかっていることを。
「ごめんね 。いろいろあったんだよ。」
「最初はちょっとだけだったけど……いってもいっか……」
私はある事を、女の子に話す。
「私ね。最近まで付き合っていた人がいるの。」
「でも、別れちゃった。まぁ、女の子なんだけどね。」
すると、女の子はビックリした顔をした。
「おかしい……よね。女の子と付き合っていたなんて……」
そう言うと、女の子は首を横に振った。
近くにあった紙とシャーペンを持って来て、言葉を書き始めた。
そこには「全然おかしくないよ!」と力強い字で書かれている。
「え?」
私はおかしくないと言われ、とてもビックリしてしまった。
するとまた言葉を書き始めた。
「誰かを好きになることは必然なことだよ」と書いた。
その言葉に、私の心にあったモヤモヤが晴れた気がした。
「そ、そうだよね。私、変なことを考えていた。」
「誰かを好きになることなんて、何にも可笑しくないよね。」
「私は、付き合ったことに罪悪感を感じて、振ってしまった。」
「私はバカだった。とても……」
すると、女の子は私の後ろに周り、抱きしめた。
「……やっぱり温かい。」
「そう言えば、私はあなた(天使)をなんと言えばいいの?」
すると女の子は「みゅー」と言った。
それはもうとても可愛い声で。
「分かった。みゅーはとても優しくて温かい。」
「こんな人に出会ったのは初めてだよ。」
「ずっと、一緒にいてくれるかな?」
私は、自分の気持ちを素直に言った。
みゅーは満面の笑みをして、頷いた。
それは、「こちらこそ」と言っているように感じた。
そして私は、ある事を思い出す。
「あっ、学校行く忘れてた。どうしよう……」
「まぁ、焦っていても仕方ない。」
もちろん学校に行かないと、色々と言われる。
だけど、みゅーはきっと、走って家を飛び出したのだろう。なので私は、その子の家に挨拶する事にした。
そして私は、みゅーから家の場所を聞き、家を出るのだった。
学校のバックを忘れたことに気付いたのは、学校に着いた時だった 。
♥♥
家を飛び出し、みゅーの家に向かう。
なんて言えば安心してくれるのか考えていた。
「うーん、どうしよう?」
「私と一緒にいるので大丈夫みたいな感じでいいのかな。」
と、必死に考えていると、既にみゅーの家に着いていることに気付いた。
「ど、どうしよう……全然考えれなかった。」
「取り敢えず、押すしかないね。」
インターホンを押して、中から出て来たのは。
「はーい」
小さい女の子だった。
「……えっと、お姉ちゃんの友達?」
「うん、そうだよ!よく分かったね。」
「だって
まさか着ている制服で分かるとは。ビックリだ。
「さすがだよ。」
「ま、妹だからね。それで、何の用?」
「そうそう、お姉ちゃんがしばらく帰れないって。」
「そっかー……まぁ、そうだよね。」
「うんまぁ、友達の所に居るんでしょ。なら大丈夫だね。」
「えっ?う、うん。そうだね。」
「それじゃあ、お姉ちゃんをよろしくね。」
「何かあったら
「……ちゃんと服を着て家を飛びたしてねって。」
その言葉に、私は気付いてしまった。
妹は既に、姉が猫になっていることを——
なので私は、その言葉を言わないことに決めたのだった。
♥♥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます