アーカイブ6:苅田の叫び(2)
「はい。今日もDD配信見てくれてありがとう。皆んな、お疲れ様。ということで、普段スパッと終えちゃうんだけど皆んなと、もう少し話したいと思うので今からDDの一問一答タイムやりたいと思いまーす。DDに関する質問でコメント欄に書き込んでくれ。それじゃあスタート!」
霧掛かる森林を映したDDのスタート画面を配信に映した苅田は、いつもはやらない質問時間をリスナーに呼びかけていた。
配信が終わるまで、俺が送ったメッセージを読まれることはなさそうだ。
「えーと、まずは一つ目『いつも楽しいDD配信をありがとうございます!』見てくれてありがとうな!『僕は最近
―― イキリスキンw
―― 草
―― イキリプレイ草
―― wwwww
―― カーリィは限定付けなくてもイキリプレイいつもしてるじゃんw
―― 沼プ最王手の説得力w
「じゃ、次いくよ『DDを始めて半年が経ちました。まったく殺人鬼の斧投げが上手くなりません。どうしたらエイムが良くなりますか?』あるあるだよな。そういうときは、まず目を鍛えろ。目の筋トレは、一時間に一回やるんだ。右、左、右、左と目を左右に動かして、運動しておくんだぜ。いいか、目を鍛えたら、後ろを向いてる奴を
―― 目の筋トレ草
―― カーリィ自身やってたか?w
―― もはや一理あるかもw
―― 真面目に答える気なしww
―― お前が顔出しして見本を見せてやれよ
「んじゃ次いくぜ『こんにちは。自分はDDをリリース当時からやっています』すげぇじゃん。てことは四年前からやってるってことだね『ですがアップデートの来るたびにアイテムやアビリティのナーフが入ることもあり、最近は、なかなかチェイスが上手くいきません』なるほどなぁ。わかるぅ。ナーフって弱体化な。最近だと一時的に早く走れるアビリティあったよな。スタートダッシュ。七秒間だけ殺人鬼の走るスピードよりも早く走れたけど、七秒から三秒に変わってゴミアビリティになったやつ『僕はスタートダッシュのアビリティを、よく付けてやっていましたが流石に使えなくなったので、他のアビリティを活用してチェイスをしています。けど赤帯になれなくなりました。どうしたらランクを上げられるか、どうすればロングチェイスができるか知りたいです』なるほど。まずランクを意識して赤帯を目指すのは諦めようぜ。赤帯を意識してやってるから楽しくねぇのよ。嫌になって辞めるのも時間の問題だからさ。それと、ロンチェは目指さないでいいよ。心が折れるから。ロングチェイスをね、やるより、ぶっちゃけ出来る奴と組んで、パーティーでやったらいいよ。んで、ロンチェ出来るやつに任せて、十箇所の修理の方を集中してやる立ち回りをしよう。正直オレは、一人でどうにかしようとゲームメイクを目指そうとする君のメンタルが心配だな!」
―― メンタルの心配www
―― 初心者の立ち回りアドバイス草
―― ランクを上げたいのに諦めろは草
―― パーティでやるのを推奨するのはダメだろw
―― 野良の殺人鬼が可哀想w
―― 他のプレイヤーに任せたらポイント貰えないじゃんw
「むしろ真面目ぶって質問してること自体あざといな。苅田のリスナーなら邪道なプレイでやる配信を知ってるわけだし」
そんな、ふざけた回答を見ている視聴者数、同接一万人。カーリィの屋根裏部屋配信チャンネルは大盛況のようだ。
「それじゃ皆んな。今日はこの辺で終えるわ。数日ぶりに配信したけど、あ、三日ぶりか。いつもより短い配信で申し訳ない。明日はDDのタイマンする配信になるんで、コメント欄はオフになるけど観にきて欲しい。それとモチベになるんで、今日の配信良かったら高評価、チャンネル登録を宜しく頼むわ。んじゃ次回の配信で会おうぜ。アデュオス!」
配信が切れた。
俺はもう一度、ワクワグラムからメッセージを送った。
― 遅れてすまない。DD待機中。連絡くれ ―
苅田から返事が来た。
― 遅すぎ 飲み物持ってくる ちょい待ってて ―
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます