Dec.4th 寝顔

 

 占いに一喜一鬱する気持ちが最近少し分かる。

 朝目覚めて、隣の彼女がこちらを向いて眠っていると今日は最高の一日なんじゃないかと思う。

 粉を塗したように白い頬。先が僅かに上を向く長い睫毛。さくらんぼに色づく唇。黒く長い髪の艶やかさを示す光輪。

 どうして諦めないのかと思うだろうか? 以前は鼻で笑う側だったが、恋のキューピッドのようなものはいてもおかしくない。おかしいくらい恋をしている。好きだと言える人がいることはこんなに幸せだ。目の前にすれば百億の絵画も色褪せる。

「ん……」

 僅かに身を捩る姿もとても可愛い。視線で起きてしまうんじゃないかと僅かに逸らす。

 その内眠ってしまい次に起きると彼女はいない。

 霧崎君て寝坊よね、と呆れられる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る