無敵要塞オペペペラ ~別の異世界から転移してきた人がやりたい放題したあとに転移してきた女子高生は理想のスローライフを目指す!!~
第21話 都市部に来たら追われている女の子と遭遇するべき!!(来海紗希さん個人の願望です)
第21話 都市部に来たら追われている女の子と遭遇するべき!!(来海紗希さん個人の願望です)
ツクターン自治領。
第三の都市・アンドゥー。
大陸の東寄りにある商業都市では最大規模を誇る。
豊富な品揃えで手に入らないものはないのがツクターン自治領だが、その中でもアンドゥーはモコン界に近いため、ポギール王国産の品をより拡充している商売上手な街。
「おおー!! すっごく賑わってる!! よく考えたらわたし、ルワイフルの都市って初めてだ!!」
「私も初めてだな。もう少し小さな街ならば訪れた事もあるけど」
「ルビーもです。精霊郷から初めて世界に飛び出して、まさか最初に来るのがこんな大都市だなんてぇ……。皆さんに置いて行かれたらと思うだけで絶頂しそうですよー」
紗希はもちろん、精霊乙女の2人も都会は初体験なおのぼりさん。
「フハハハハハ!!」
「紗希様! どちらに着陸しますか!? ほわわわわわ! すみません、ルッツリンド様!! セリフがかぶってしまいました!!」
「んー。さっき畑中さんがツクターン自治領の上空には魔素の結界があるって言ってたから、ちょっと離れたとこにした方がいいかもだよね。結界壊して騒ぎになったら申し訳ないし」
「了解しました!! では、2キロ離れた森の近くに!!」
自動航行とは言え、ボタン1つを押す係は必要。
いつの間にかオペペペラの操舵手に就任しているロリっ子さん。
「ルビーはいいだろ。可愛い服着てるんだから」
「褒められると性的興奮はしませんけど、嬉しいです。ラミーさん、今日は精霊服なんですか? 確か、置いて来られたって聞いたような……?」
「くぅ……!! 人間から買った服、全部洗濯しちゃったんだ。あと、この服は紗希に言われて急いで作った!!」
「乾燥機を使えば良いのでは? それと、地味にすごいです」
「縮むんだってさ。おかげで今日の私、完全に精霊郷から来た田舎者だ……。おい、地味って言うな!!」
「ルビーも同じですから、一緒に視姦されましょう! ラミーさん!!」
「私、個性が欲しいけど。あんたのそれはいらないな。15歳でどうしてそうなった?」
「お父様を筆頭に、精霊郷の皆さんは週7で興奮するために殴り合っていましたから」
「生活環境と初等教育って大事だな。今度帰ったら鏡の精霊郷では学校増やそう」
没個性でも常識は失くさないラミー。
きっとそれがそのうち個性として光る気もするので、大事に持っていて欲しい。
乙女たちがソワソワしている間に、オペペペラは無事に着陸。
紗希がミリアを抱きしめてクンカクンカしながら偉業をたたえている。
「フハハハハハ!」
「あの、どなたかアンドゥーに詳しい方は、はひゃ、す、すみません!! ルッツリンドさん!! ルビー、まだ集団での会話に慣れていなくて!! 罵られますか!?」
「そだねー。案内役ができる人っていないのかな。わたしの統計上ね、現地でガイドを雇ったらその人が悪者で騒動が起きるまでがパターンなの! それはそれで楽しそうだけど、今日は平和にお買い物したいよねー!! 奴隷さんたちの中にジモティーの人いないかな?」
ルッツリンドがソワソワしている。
グループトークで話題の切り出しに2度失敗すると、大抵の者はソワソワする。
だが、彼はリリンソン皇国の第一皇子。
覇道を行く者として、この程度で挫けたりはしない。
「フハハハハハ!!」
「えとえと! あたしは何度か来たことがあります!! 奴隷を買いに!! 地図が手に入ればご案内できると思います!! ほわわわわわわ! またまたすみませんっ! ルッツリンド様ぁ!!」
「地図かー!! ポチっと! もしもし、畑中さん? アンドゥーの地図ってあります?」
『はい。こちらノリーオです。ございますとも。FAXでそちらに送ります。しかし、スマホなんてすごい情報機器が流通してもFAXって健在なんですよね? 来海さんのお話を聞いて驚いたなぁ』
ジジジと音を立てて、カラーの地図が排出される。
「オフィス清掃のバイトしてた時に偉いおじさんから聞いたんですけど、確か電子メールよりもセキュリティが高いらしいですよ。んーと、あ! 届いたことが目視で確認できるのもポイントだとか!」
『なるほど。僕が20年前にぼったくりセールスやってた頃は、固定電話とFAXは5年後にもうないですから! 残念っ!! とか売り文句にしてたんですけどね。不思議なものです。あ、お気をつけていってらっしゃいませー!』
地図をゲットした一向は、みんなでアンドゥーまでの2キロを歩く。
目的地が大きくなってくるにつれて、乙女たちのテンションも上がるのが自然の摂理。
「そう言えば、ルッツくんはさっきからなに笑ってるの?」
「な、なんでもない! 少しばかり発声練習をしていただけだ!! フハハハハハ!!」
「あ、そうなの? わたし、実はルッツくんが案内役を買って出ようとしたけど、タイミングが悪くて言い出せずにモニョっとしてるのかと思ったよー! あははー!!」
「ふ、ふふ、フハハハハハ! そのようなはずがあるまい!! このルッツリンド・リリンソンが、そのような! フハハハハハ!!」
「だよねー! あ、ちょっとぉ! ラミーさん、先頭はわたしですよ!! ズルい!!」
紗希は列の最前線へ。
残されたルッツリンドは呟いた。
「ふっ。抜かしおる」
抜かしおっていたルッツリンド。言い出せなかったらしい。
彼は外見こそ老けていて、言葉遣いも不遜だが中身は17歳の男子。
周りが女子ばかりだと気を遣ってしまうのがこのお年頃。
覇者をはく奪されてから、急に思春期男子感を出し始めた彼にスポットライトが当たる日は再び訪れるのだろうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「これ可愛い! ミリアちゃん! こっち来て、そして着て!!」
「ほわわわわわ!! 紗希様、紗希様! どうしてあたしの服ばかり選ぶんですか!!」
「うん。わたしもね、不思議だったの。女の子多めの物語ってお買い物に行くとなんで着せ合いっこするのかなって。……分かっちゃった!!」
「ほわわわわわ!!」
「もう自分のは適当に買ったから! あとはロリ巨乳の着せ替えタイムだよ!!」
現世時代はアルバイトのはしごをしていたので、基本的にジャージやパーカーのような羽織る服ばかり着ていた紗希。
よく考えるとファッションに興味がさほどなかったらしい。
ただし、可愛い女の子に自分好みの服を着せる喜びにはしっかりと目覚めていた。
「ら、ラミーさん? それ、買われるんですか?」
「ああ! 良いだろう! ブラウス!! 着回しもしやすいし、季節を選ばないし!!」
「あ、あの、もう3着目ですけど?」
「ああ! 同じ品ならサイズを確認する手間が省けるだろ? 色違いだ!!」
攻めるよりも攻められたいし責められたい炎髪少女のルビー。
「それって没個性の極みでは」と口に出しそうになったので、しっかりと飲み込んで自分の服を選び始めた。
「待ちやがれ! てめぇ!! こんの野郎が!!」
ガールズトークに割り込んでくる野太い声。
せっかくミリアにミニスカのゴスロリを着せようとしていた紗希が抗議する。
「ルッツくん! うるさい!!」
「フハハハハハ! ……いくらなんでも酷いじゃないですか。私、あんなべらんめえ口調で喋ったことあります?」
「そう言えばそうだねぇ。じゃあ、どこの誰だろ? 穏やかじゃないなぁ」
「あれですね。なんか女が大量の男に追いかけられてますが」
紗希が店から出てルッツリンドの指さす方を見ると、確かに女子が追われていた。
大柄な体型。レザーのショートパンツにロングブーツ。
胸当てを付けて腰には剣。
完全にピンときた紗希さん。
「冒険者さんじゃん!! いや、賞金稼ぎ!? 傭兵さんかも!! わたしね、ああいう服も大好きなの!! 好きすぎて、モンハンのコスプレしてる人を検索して眺めるのが一時期ルーティーンだった事もあるんだよ!!」
「あ。はい」
「はい、じゃないよ!! ルッツくん!! お助けして!! 覇者でしょ!! 弱きを助けて!! 野郎を挫けぇー!!」
スポットライトが急に当たった、元覇者。
これは無視できない。
「フハハハハハ! そこな悪漢!! 待つが良い! このルッツリンド・リリンソンの眼前で狼藉を働くとは愚かなり! 喰らえ! 『リリンソン・セクシー・フレイム』!!」
無事に男たちを追い払ったルッツリンドだが「商店街で炎を出した」という配慮のなさによって、このあと紗希さんにちゃんとぶん投げられました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます