第28話 欲望のエメリヤ
ギギギ…!
ナルグーシスの王宮の
正門も開かれたままだったし、
兵士のような者も一人もいない。
「(どうやら…、あの赤いドラゴンが門番の役目だったのだろう…。)」
セレス達は、それぞれたいまつを手に持ち、王宮にぞろぞろと入って行く。
正面には、再び大きな
その表面には、
「むう…?これは…?」
イガラシが
バタンッ!
セレス達の背後で大きな音がした。
セレス達は後ろを
今、入って来たほうの
「開かないな…。
セレス、試しに
ミリアが言い、
「分かりました。」
セレスが
「
と
しかし、
「
ミリアがアゴに手を当てる。
「おそらく、そうじゃろう…。
この
イガラシが模様に目を
「つまり…、カギの主の
反対側からでないと開かない仕組みじゃ…。」
と言ってからフゥー…とため息をつき、
正面の
セレス達も右を見る。
地下への階段が口を開けていた。
「こっちかのう…?」
イガラシが
「命令よ。私に従いなさい。」
と
セレス達は、全員思わずそちらを
首には
美しい女性の
そのカッと開かれた両目は、これまた
セレスが、ティナが、ミリアが、イガラシが、
たいまつをカランと落とし、フラフラ…とその
フランとアンネは立ち
「ふーん…、
勉強になったわ。」
「私の
どうなることかと思ったわよ…!
けど…!
ホホホ!やっぱりね!
オーッホッホッホッホッ…!」
「セ、セレス兄…?
み、
フランが、すがるような声で言う。
「私は
命令よ!お前達!
その二人を殺しなさい!」
エメリヤが言うと、四人は
「すまない、フラン。」
セレスが言った。
「死んでくれ。」
四人の血走った目には、完全に殺意が
ダッ!
セレスがフランに向かって走り出した。
バッ!
アンネがセレスとフランの間に立ちはだかる。
「アンネさん!?」
フランが
「
「
「
ミリア、ティナ、イガラシが同時に
火の
バァン!と
セレスとアンネは
「…このバカ共っ!
同時に
命令よっ!
エメリヤがヒステリックに
それを聞いたセレスが起き上がる。
ダッ!
フランがそれに
「
フランが言い終わる前に、その体をセレスが左手で受け流した。
フランはつまづいて
ドサッ!
「ヒッ…!」
フランは
しかし、何も起こらなかった。
「うぅ…。」
セレスは左手で頭を
「セ、セレス兄!?」
フランが、身体をひねるように起こしてセレスを
「フラン…?
あれ…?
セレスが頭をブンブン
ヨロリ…。
エメリヤが後ずさった。
「あ、有り得ない…。
私の
そう言いながらガクガクと
「め、命令よ!お前達!
エメリヤが言い終わる前に、
「
カッ!
セレスの左手から
「うあっ…!」
エメリヤ、ティナ、ミリヤ、イガラシが顔を背ける。
ダダダンッ!
セレスが一気にエメリヤまで
「
セレスが目にも止まらぬ速さで
カッ!
スパッ!
と切断音が
エメリヤの首が飛んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おかしいな…。
まだ開かないぞ…?」
ミリアが
二つの
エメリヤが現れたほう、正面の
セレス達が
兵士達が待機したり
それほど大きくない部屋にいくつかのベッド、テーブルとイス、
エメリヤが自分のために用意したのであろう食事や飲み物が並んでいるだけだった。
「やはり、地下のほうにまだ
イガラシが言いながら、再び下りの階段のほうへたいまつを向けた、その時だった。
コツーンコツーン…。
と足音がした。
セレス達は身構えた。
「そのカギなら
階段を上って来た人物が言った。
「(
いや、人族…?)」
その
やや青みがかった灰色の
整った顔つき、
ボサボサの白い
その頭に角は無く、
代わりに耳が長くなっている。
その右手には大きなナイフ。
その
「おっと…。
エメリヤが死んだので、この
その人物は
カン!カン!カランカラン…!
「
『勇者と聖女を殺すまで帰って来るな。』
って
最後までかわいそうな人でした…。」
その人物は、骨になったエメリヤの遺体を見つめて言った後、
スッとセレスのほうを真っ直ぐに見据える。
「
とユーリと名乗った人物は言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます