第5話 不安のボリス
血まみれの兵士の胸元から、
よく見れば、
「キャアアアア…!」
とフランが
「
と
ミリアの構えた
だが、
ボゴッ!
「お
またもや上半身だけが現れた。
今度は上空にフワフワと
下半身だけを
「フランとアンは下がれ!
セレス!
ミリアの問いに、セレスが
「はい!」
と答え、すかさず
フランとアンネは後ずさりし、その前でレイとステファンも
ミリアが今度は
「
と下から上へ
すると、足元から上空に向けて広がるように
セレスはその
「
と
セレスの左手のひらから、ビシュッ!と光線が放たれる。
と、
ドサッ!と
「痛え!?なんだこれ!?痛えぞ!?」
どうやら
「オイオイ、お
だが、痛いと言っていた割には、ピンピンしているようだ。
「(ほとんどダメージが無い?
ここじゃ光量が足りないのか…?)」
「だとすると、
確か、黒い
魔族は首をかしげるようにしてコキコキ鳴らすと、
「チッ。せっかくターゲットナンバー
ナンバー
と舌打ちしながら
「何だと!?」
ミリアが目を見開いた。
「貴様、まさかラズリー国王を…!?」
「あ?そいつは
「しかし、さすが
ここが火事になったら大変だもんな?」
「(…っ!そういうことか!)」
セレスは、ようやく気づいた。
「まあ、安心しなよ。今のところは引いてやる。
今のところは。な。」
「フフフ…。
オレは
ボリス・レテコフってんだ。
よかったら、遺書に書いといてくれよ。
『ボリス・レテコフに全財産を相続します。』
ってな。
金持ちそうなお
フフハハハ…。」
と笑いながら言った。
セレスは
「(
こんな
窓を閉め切ろうが、ドアにカギをかけようが、
構わず
ビューッ!と風が
「いかん!息を止めて目と鼻と口と耳をふさげ!」
ミリアが
しかし、セレスはそうしなかった。
「もっと光があればきっと
こいつはここで
大きな
と
しかし、ミリアには届かなかった。
今度はセレス達の背後から、ビューッ!と風が
「(…どうなっているんだ?)」
風はグルグルと、回転する。
球状に。
「どうなってんだこりゃあ!?」
ボリスがグルグルと回転しながら上半身を出し、
キョロキョロと何とか辺りを見回そうとする。
「今よ!セレス!ミリアさん!」
上から
鳥舎の屋根に少女が、
見上げたセレスとミリアがうなずき、セレスはボリスに向かって走り出す。
「
ミリアが
巨大な
周囲が真昼のように明るくなる。
「
セレスが目にも止まらぬ速さで
カッ!
ズバッ!と切断音が
「ギャアアアアッ!」
ドサッ!と、胸を
「アッ!アッ!アアアアアッ!」
と、のたうち回る。
青い血がブシュブシュと
「
念のため全身を光の
セレスがゆっくりとボリスに近づく。
「ヒッ…。いやだ…死にたくない…。」
ボリスがむせながら四つん
「ゲホッ…!
ゲボホッ…!知らないやつに金で
ゲホッゲホッ…!
ズン!
セレスは両手で
「お前は
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やってくれたな。」
ミリアが言った。
セレスにではない。
サラサラと肉体が
ボリスと名乗った
中にいた飼育員であろう人間も、
「せっかくターゲットナンバー
というボリスの声が
「ナイスアシストだったかしらね?」
鳥舎の屋根から、緑を基調としたワンピース型の旅装束を着たティナが、
「…あっ!ちょっと!見ないでよ!エッチ!」
ティナのスカートがひるがえる。
セレス、レイ、ステファンはあわてて顔をそらした。
「(いやいや。見えてないから。
黒タイツ
とセレスは思ったが言わなかった。
「ティナも来てくれたんだね。
でも、なぜ鳥舎の屋根なんかに…。」
着地したティナにセレスが駆け寄ると、
「なんとなくカッコイイかと思って。
気づかれないように飛ぶの苦労したわ。」
とゼエゼエ言っている。
「(
「やあ、
鳥舎から出てきたミリアが言った。
「だが、ふう…。仕方がない。
東のバジャルタまで歩いて、鳥屋で鳥車を買い付けるか。」
ミリアがため息をつきながら
「我がハイルペラ領のバジャルタまででしたら、
先ほど乗ってきた我が家の鳥車を使いましょう。
見送りたいという使用人を待たせてありますし。」
と提案した。
「いいのかい?明らかに定員オーバーだぞ。」
ミリアが言うと、
「歩くよりは速いでしょう。」
とレイが答え、そうすることに決まった。
「セレス兄、
フランがセレスに
「ああ。ケガはないよ。」
セレスが答えると、
「良かった…。」
フランが
目の前で人族や
この先もきっと、それが続くのだろう。
そう考えると、フランがかわいそうで仕方なかった。
「マロジョテス様…。」
ミリアにはアンネが
「ん?ああ。私もケガはないよ。」
あんな大規模に
「それは何よりです。ですが、そんなことよりも…。」
アンネが静かに続ける。
「先ほど、聞き
「…そうだったかな?」
ミリアがとぼける。
「『アン』と呼びましたよね?」
何だか
「…次からは気を付けるよ。」
ミリアがたじろぐ。
「『アン』と呼びましたよね?」
「ああもう!
分かった!分かった!すまなかった!
二度とアンとは呼ばないよアンネ!
…これでいいかい?」
ミリアが根負けした。
「お願いしますよ…。」
そう言うと、アンネは
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