★12月19日 (夕暮れが終わる時③)
園内では、少年が私の自転車を走らせています。その少年も空の変化に気付き始めたようでした。
そのうち私、少年、ミーニャは並んでベンチに座り、空を見上げていました。その間、色々な事を考えていました。きっと今頃、宿屋の部屋に初めてのお客さんが入り、灯りがぽっと灯った頃なんだろうなとか。レストランの前の女の人は空を見上げて諦めて別な街へ向かい、そこでやっと恋人に会えてたりして、とか。
どのくらい時間がたったのか、だんだん空が白み始めてきたんです。懐かしい感じがしました。小二の夏に林間学校に行って、眠れずに友達と話をしていた時、だんだん空が白み始めて、朝が来た時以来です。
私達は喜び合いました。
「これで海を見に行けるよ」
「だったら、その自転車あげる」
「え? いいの?」
「私、怖い思いしたから、もう、たぶんずっと自転車に乗れないと思う」
「だったらもらおうかな、記念にさ。海に行くのにちょうどいいし」
「うん」
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