★12月3日 (図書館にて③)


 穂乃香は説明をした。


 「私は三人兄妹の末っ子で、お兄ちゃん達と年が離れているから、小さい頃からあまり遊び相手になってもらえなかったんです。だから小さい頃からいつも飼ってたネコや近所の子達とばかり遊んでて……。

 ほら、この辺って少し歩くと田舎でしょ? 田舎だと近所って言っても、結構離れてるんですよ。だから遊びから帰って来る時には友達はいなくて……」


「独りぼっち?」ミノルが気の毒そうにく。


穂乃香は首を横に振った。

「いいえ。独りぼっちじゃなかったの。帰り道は飼い猫のミーニャがいつもいたのよ」

まるで童話を朗読しているかのように、穂乃香は言った。


「へえ、じゃあ近所の子達と遊ぶ時もネコを連れて行ってたんだ」


「そうなの。そうすると帰り道もへっちゃらだし」


「用心棒ってわけか」


「でもね、小三の秋の終わり、季節外れの初雪が降ってね。周りが砂糖がけのクリスマスケーキみたいにどんどん白くなっていくの。それで林を突っ切って近道しようと思ったんだけど、そうしたら林の中で道に迷ってしまって……。帰り道が分からなくなってしまったの」 


「で、どうした?」

「どうやって帰ったの?」

ミノルと由季が同時にたずねた。

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