第3話 中学時代
碧海は歩夢に中学時代恋心を抱いていた。
彼は成績もよくバスケも上手く、人気者だった。女子にもモテるので、碧海はいくら想いを寄せても遠い存在だと思っていた。
だが歩夢とは図書委員会が同じで、一緒に当番をする事が多かった。本の貸し出しの仕事をしながら、歩夢と並んで座り、仕事の合間に本を黙って読んでいた。
好きな人の隣で緊張して読む本は、内容がなかなか頭に、入ってこなかったのを覚えている。
時々歩夢の横顔を盗み見て、1人で顔を赤らめていた。
卒業間際の最後の当番の時、机の下でお互いの手が少し触れた。すると黙って歩夢は碧海の手を繋いだのだ。
そのまま皆んなに見えないように机の下で終わるまで手を繋いでいた。
碧海は手は暖かくて、大きかった。
緊張で手に汗をかきそれが恥ずかしいと感じるとまた余計に汗がでてきた。
チラチラと歩夢の顔を見るが、全く気にしてない顔をし、目が合うと意地悪な笑みでこちらを見つめてくる。
「碧海さんどうかした?」
何でこんなことになってしまったのかもわからず、だからといって理由を聞くこともできずにいた。
当番が終わって最後に笑顔で、歩夢は「ありがとう」
と言って帰っていったのを覚えている。
今でもなぜあんなことをされたのかもわからないままだった。淡い初恋だった。
でも、あの頃の記憶の歩夢とは全く違う。自分の知らない時間を過ごした歩夢に何があったのか?心配で仕方なかった。
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