可愛い女子高生と放課後の恋愛クラブ活動〜故意のエチュード〜

 ……その洋館の二階の窓から顔を出した人物とは。


 キュートなロリフェイスに明るい栗色の髪色。たわわな爆乳おっぱいが白いシャツからこぼれんばかりだ。


「……ど、どっきん真奈美まなみ先生!?」


 俺や茜の担任であるドーキンズ真奈美先生がなぜここにいるんだ!?


 そしてあの粗野そやな口調、いったいどうしちゃったの真奈美先生!!


「あ、見つかっちゃったか!? クソ真面目くん。んっ、何でそんな面白い顔してんの、本気マジで笑えるんだけど……」


「ま、真奈美先生っ!? 何を言っているの、文化祭の出し物には時期が早すぎるよ!! それともハンドボール部の顧問を辞めて演劇部を担当することになったとかなの!?」


「……お前、馬鹿だろ、まあいいや。どうせ暇してたんだからちょうどいいか、下で待っててよ。そうだ!! クソ真面目くん、自転車の前かごに入っている包みを開けるんじゃないぞ。これはフリじゃないからな。あたしが行く前に万が一開けたら……」


「おい、開けたらいったいどうなるんだよ!?」


「……開けたらお前のを奪ってやる」


「なっ!?」


 窓の彼女は姿を部屋の中に消した。

 まるで一陣の風が吹いたみたいだった……。


 顔は俺たちの担任、どっきん真奈美先生にうりふたつだ。

 しかしあの口の悪さはどうしたことだろう。真奈美先生に悪魔が乗り移ったみたいだ。いやいや魔女か!?


 俺が自分探しの旅に出掛けている間に学校で何が起こったんだ……。

 過酷な新任教師の責務に耐えきれなくなり、ついに精神崩壊を起こして闇落ちしたのか真奈美先生は。そうでなければあの凶悪な態度は説明がつかないだろう。


 そう言えば以前から性格的にも真面目過ぎて、心労が多そうだったもんな、真奈美先生、その上強豪校で有名なハンドボール部顧問の重圧だからな。一度荷物運びを手伝って職員室の先生の机を見たことがあったけど資料が山積みだったから、俺たちのクラス用とハンドボール部の資料で満載だったことを俺は思い出した。


「おっ!? ちゃんと待ってるじゃん。律儀だねぇ、さすがは真面目くん!! この場面の模範解答は私を置いてこの場を立ち去るのの選択肢だよ」


 洋館の門戸を開けて姿を表した彼女の姿を見て俺は言葉を失ってしまった……。


「んっ、どしたん、話聞こか?」


 いわゆるギャル系の女の子が目の前に佇んでいた。顔は真奈美先生にくりそつ。

 だけどどこか違う気がする。派手な化粧メイクに隠された素性の良さ。綺麗にラッピングした逸品のような気高さも兼ね備えている。

 俺はその可愛く着崩した制服姿の容姿だけに驚いたわけではなかった。

 彼女の言った三番の選択肢。鈴の音のような声と同じく俺には聞き覚えのあるフレーズだったから……。


 なぜか俺の頭の中には、どハマりしていた恋愛シュミレーションゲームが浮かん出きた。意中のヒロインの好感度を上げる為には複数有る選択から選ばなければいけない、選択を間違えると好感度も下がり、それが続くと最終的には女の子から告白してもらえない。ただ今回は選択を間違えると即、ゲームオーバーになるかもしれない、


 ギャルゲーのように現実には選択肢は出ないからだ……。

 この女の子と仲良く下校会話モードに移行出来るか?

 それとも終了モードに強移移行させられ、即ゲームオーバーか?

 かなり無理ゲーなそのギャルゲーのタイトルは、

 【ときめぐり愛しトゥルーラブ】か!?


 ……イチかバチか、賭けに打って出るか!!


「お、俺の名前は野獣院零やじゅういんれいだ!! 見てのとおりバリバリのキングオブ童貞をこれまで年齢分貫いている。十七年間守り通した漢の操だ、ズボンの前が突っ張ることが漢の勲章とも言える!! どうか俺と一緒に神ギャルゲー【ときめぐトゥラブ】をペアでプレイして欲しい……」


「ああん……!?」


 彼女の端正な顔が歪む、身体の前で腕組みをしたセーラー服の胸が押し上げられ、ただでさえ黒船級なおっぱいの存在感を俺に見せつけた……。


 やっぱり選択肢の件は俺の早合点だったのか!? 


 彼女からこのクソ童貞野郎!! と罵りの言葉を浴びせかけられるのを覚悟した。


「……持っているのか、クソ真面目」


「えっ!? 何を、とかは使うあてがないので持ってないです……」


「お前、やっぱり馬鹿だろ!! ときめぐトゥラブに決まってんだろ……」


「は、はいっ、ときめぐトゥラブならコンシューマ機の全作品をコンプしてます!!」


「お前やっぱりにわか野郎だな、真のときめぐファンならMTXⅡ版もやらなきゃ片手落ちだろうよ!! お前の名前の由来であるが隠し攻略出来る唯一の作品だぞ……」


「ときめぐって!? やっぱり君の言った選択肢って!!」


「ああ、だからアイテムを安易に開けちゃあいけないんだ。あの包みを開けるのは早すぎな気がしたんだよ。これは現役女子高生のあたしの勘だけど……。【ときめぐトゥラブ】男装の麗人、真の隠しヒロイン、野獣院霊を攻略するにはこれくらい慎重じゃなきゃ……」


「君みたいな女の子が同じギャルゲーの愛好家だなんて信じられない……」


「ははっ!! 友達にもよく笑われるよ、恵令奈えれなはギャルのくせしてギャルゲーやんの? 本気マジウケるって……」


「恵令奈って!? 君はドーキンズ真奈美先生じゃないのか!?」


「ああ、やっぱり真奈美おねえと勘違いしてたのか、無理もないよな。顔もうりふたつで親でも間違えるくらいだからな。さすがにショーツやブラに名前の書くような年齢でもないから良く下着も洗濯でお姉と間違えられるんだ……」


 し、下着まで同じって、じゃあその黒船級な爆乳もおんなじサイズとか!?


「おい、くそ真面目くん、恵令奈の胸ばっかりみてんじゃねーよ!! ふーん、まあ減るもんじゃないからお前の態度次第で揉ませてやっても良いんだぜ……」


 ええっ!? ラブコメの無自覚系主人公ばりの、俺の難聴な耳がよく聞こえなかったけど、いまどっきん真奈美先生と同じサイズの爆乳おっぱいを揉ませてくれるって間違いなくあなたは言いましたよね!!


「そうだな、恵令奈の胸を揉ませてやる条件は……」


「なっ……!?」


 そ、それは!? 俺が本当にやらなきゃ駄目なんですかぁ……。



 次回に続く。


 ─────────────────────── 


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