可愛い女の子と大人のごっこ遊び。そのさん

「きゃっ!! いきなり、な、何てことするの零……」


「……コレが望みだったんだろう麻衣まい!!」


 最後の気力を振り絞り俺の手がむにゅむにゅと掴んだ部分は……。


「ああっ!? れ、零ちん、む、胸をそんなに激しく……」


 すっかり油断していたんだろう、不意を突かれて激しく身をよじるさまは、

 普通の女の子に戻っているぞ。やった、俺の読みが当たったんだ!!


 相打ち覚悟で俺の繰り出した渾身の左、クロスカウンター気味に、

 麻衣のおっぱいにクリティカルヒットした。

 片方の腕にずっしりとした重みがのし掛かってくる。

 スエット越しでも凄いボリュームだ、この手のひらに伝わる感触で、まさに恐ろしい童貞殺しのアイテムは服の下に隠されたノーブラ戦法だと分かる。

 もしもあのまま麻衣に攻められたいたら確実にノックアウトされていただろう。


 むにゅう、くりっ、くりっ♡


 ここから俺様がターン攻撃の本番に入らせてもらうぜ!!


「はううっ!! 麻衣のおっぱいの先っぽは敏感だから駄目ぇ!! そ、そんな動き、零ちんのゆ、指が!!」


 希少なぷっくり、パフィーニップルを服の上から重点的に攻めまくる。

 高◯名人シューティングキャラバン直伝のおっぱいボタン連打だ!!

 あの全国大会で貰った限定シュウォッチで手淫しゅいんならぬ習得しゅうとくしたお陰だ。


「……やっぱりな、俺の思った通りだ、麻衣!! お前は子供の頃から

 変わっていないことがある。それはこちょこちょ攻撃に弱いことだぁ!!」


「あ、ふうっ、れ、零ちん、お願いだからそれは言わないで……」 


 予期していなかった俺の逆襲に激しく身をよじりながら哀願する麻衣。

 子供の頃、俺はいつも彼女にかなわなかった。唯一、麻衣の弱点は、

 くすぐり攻撃に弱いということだ。特におっぱいへのこちょこちょは

 当時はつるぺただった麻衣の胸に追いかけっこして偶然触れたときに、

 息も絶え絶えにヒーヒー言って転げ回る姿に驚いたものだ。


「よっしゃあ!! 十六連射でおっぱい要塞を完全攻略ぅ!!」


 一秒間に十六連射を繰り出す俺の親指、スイカなみのたわわなおっぱいを、

 完全攻略せんと目にも留まらぬ速さで先っちょのボタンを連打する。


『じょおおお……。じゃなかった、れいいいっ!! パフィーニップルは感度がイイから周りを攻めろぉぉ!!』


 俺の脳内セコンドで丹下のおっちゃんが絶叫する。


 ……おっちゃん、ありがとな。ボスおっぱいの要塞攻略法を教えてくれて、

 周りのぷっくりした膨らみを指先で丸を描くようになぞる。そして打つべし!! 打つべし!! なんだよな……。


 そうだ、おっぱいは直線的に攻めちゃ駄目なんだ。柔よく剛を制す。

 くりくりと柔らかく刺激を与えればいいんだ!!


「く、くすぐったいけど違う気持ちは何故なのぉ♡」


 麻衣が堪えきれずに声を漏らし始めた。思ったとおりだぜ!!

 彼女が強気に出ていられるのは攻めの状態なんだ。あの粗暴そぼうな態度に

 最初は驚かされたが俺の幼馴染みたちへの煮え切らない態度にごうを煮やして彼女は俺にかつを入れるつもりで豹変した振りをしたんじゃないのか?


 だから俺は一か八かに賭けて麻衣のおっぱいを攻めてみたんだ。


「ああっ、これ以上胸を揉んだら駄目だよぉ……」


 麻衣は完全にノックアウト寸前だ、目も虚ろになり俺の攻めを受け続けている。

 そろそろフィニッシュムーブ、究極神拳きゅうきょくしんけんを決める頃合いだ。


「もういいんだよ、麻衣……」


 ベッドから起き上がり麻衣の身体をやさしく抱きしめる。お互いの汗ばんだ肌が触れあった。彼女の髪の毛が汗で頬に張り付いている。麻衣の身体を腕の中にいだいた。


「……零ちん!?」


「麻衣、今までごめんな、そんな芝居までさせちまって……。全部俺のためにしてくれたんだろう? 途中で気付いちまったんだ、お前の身体が震えていたこと、本当は処女のくせに俺の童貞を奪ってやるなんて虚勢きょせいを張って……」


「な、何を言ってんの!? 私は処女なんかじゃないし、お、男なんて平気に決まってるじゃない、だって千人斬りしちゃってるんだから!!」


 図星を言われて麻衣が耳まで真っ赤になった。この挙動不審さが処女の何よりのあかしだ。キャラ設定がブレブレなのもおかまいなしになっている。


「それにお前、子供の頃から嘘が下手すぎ!! すぐ顔に出るんだから、俺のことばっかり言えないって……」


「……ずるいよ零ちん、そんなに優しくされたらいままでの決意が無駄になっちゃう。麻衣がこんなに頑張ったのに。本当に恥ずかしかったんだ、男の人を触るのって……」


 俺の胸に顔を埋めたままの麻衣、その表情は見えないが小刻みに震える華奢きゃしゃな身体がたまらなく愛おしさを感じさせた。


「私、零ちんには正しいおこないをして欲しかったんだ……。子供の頃みたいに遠回りはして欲しくない」


「……もう終わりにしよう、麻衣、いや


 このままベッドの反対側に押し倒して身体の自由を奪えば俺の完全勝利だ。

 麻衣を無力化させよう。俺は勝利を確信して思わず彼女のあだ名を口にする。


「ま、まいちょん!? お、おじいちゃん以外がその名前で呼ぶなああぁ!!」


 あだ名で呼ばれた瞬間、しっかと目を見開いた麻衣、俺はもの凄い力で、

 ベッドという名の四角いリングから思いっきり突き落とされてしまった。


 ドテボキグシャ!!


「れ、零ちん、だ、大丈夫!?」


 激しく突き飛ばされた俺はもんどり打ちながら部屋の壁に激突した。

 いや、壁だと思っていたのは隣の部屋とのふすまの仕切りだった。

 我に返った麻衣が心配そうに声を掛けてきた。


「この部屋は一体、何だ!?」


 俺は転がり込んだ部屋の中を見回しながら驚きのあまり声を上げてしまった。


 一瞬、俺は具無理の店内に戻ったような錯覚になってしまった。

 まるでタイムスリップしたかのような部屋全体の雰囲気が昭和そのものだった……。


「おじいちゃんが当時のままにしてあるの、冴子さえこさんがひょっこり帰ってくるんじゃないかって……」


 いつの間にか隣の部屋に入ってきた麻衣が俺の背後に佇んていた。


「……冴子さんってことは!?」


「そう冴子さん、私の叔母さんにあたる女性ひと、零ちんのお母さんの部屋だよ……」


 お、俺の母親の部屋だって!?



 次回に続く。



 

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