可愛い女の子と大人のごっこ遊び。

「ま、麻衣まい、初めてだから優しくしてね……」


 気持ちとは裏腹に俺は目の前の据え膳に負けてしまった。

 従兄弟いとこの女の子と一線を越えるなんて絶対に許されないことだと分かっているのに……!!


 麻衣が俺の身体を激しく押さえつけるたびに、むせ返るような甘い香りが俺の鼻腔に届いた、ああっ、極度の興奮で気が狂いそうだ……。

 女子高生の美少女からくんずほぐれつなプロレスごっこをされたら、健全な男子高校生なら身体が反応してしまうのは当然だ。


 もしもこれで無反応だったら専門医を受診しておかないとヤバい身体だろう……。


「……れい、緊張で固まって可愛い奴やな、わしに任せておけば悪いようにはせえへん、もっと力を抜いてリラックスや」


 俺の観念した言葉を聞いて、ぱあっ、と麻衣の表情に歓喜の色が浮かんだ。


 耳を疑うような言葉がポンポンと麻衣の口から出るのを俺は黙って聞

 くしか出来なかった。ここから先に進んじゃ駄目なのに!! 従兄弟同士で獣のように……。なんて道徳的に許されるはずがない。


 ……だけど据え膳食わぬは男の恥とも昔から言うじゃないか!?


 ダンス部の主将を務めるだけあって麻衣の身体は引き締まっているが、

 さほど筋肉質ではなく適度な柔らかさを兼ね備えていてとてもしなやかだ。

 そして出るところはしっかり女の子している、だからヤバいんだ……。


 キングオブ童貞の異名は伊達じゃない!! 俺、野獣院零やじゅういんれいがそう呼ばれるのは童貞歴、年齢だけでなく色々な部分をこじらしているからだ。


『零ちんは、すぐハムレットになるから駄目なんだよ。いつもクヨクヨ悩みすぎ、ああ、僕は生きるべきか死すべきかって……』


 幼馴染みのあかねにも良く怒られたっけ。俺の後ろむきな態度を、

 シェークスピアの主人公が言ったセリフに例えて心配してくれているんだ。

 再会した麻衣に言われるまですっかり忘れていたごっこ遊びも自虐的な俺が生み出した産物なんだ……。


 ……思い出したぞ!! そうだ、遊びだ。


 俺が子供のころハマっていた遊びだ。麻衣も近所の公園で良く付き合わせたな。

 亡くなった母の影響で本の虫だった俺はのこしてくれた大量の本からいろんな知識を得ていた。もちろん良い影響も多いが悪い影響は難解な物を読むのが格好いいと思っていたんだ。

 流行り物の漫画やアニメに夢中になる学校の友達を心の中で馬鹿にしていた俺は年相応の子供向け小説を嫌い大人が読むような古い文学にのめり込んだ。


 いま思えば完全に厨二病全開の黒歴史だ。


 俺の身の上話を辛抱強く聞いてくれた麻衣、部屋で恋バナをして欲しいと無邪気に喜ぶその笑顔を台無しにしてしまった……。


 麻衣が突然人格が変わったように豹変したのはその直後だ。

 やくざ顔負けの粗暴な言葉が可愛い麻衣の口から機関銃のように出るのが、

 とても信じられなくて俺は腰が抜けるほど驚いた。


『またごっこ遊びか、クソガキの頃から成長しとらんのぉ、ボケナスが!! どっちじゃワレ? 若きウェルテルか? ハムレットか?』


 俺を口汚く罵る麻衣の言葉が蘇った、もしかしてこの行動は俺のおこないを正そうとしているのか!?


 俺の考えは見当違いかもしれないが、イチかバチかでやってみるしかない!!


「……いい感じで身体もほぐれてきたんかワレ? おっと泡を吹いたりしたらアカンぞ、ちょっと手加減しとくか」


 そんな俺の考えも麻衣からの激しい攻めにいまにも消し飛んでしまいそうだ。

 上半身の服の上からとはいえ、あまりの心地よさで身体がガクガクしてしまう……。

 もう辛抱たまらん、タマ〇ンチ会長!!

 お、親分助けてえ、と随喜の涙を流さんばかりに想像上の零ちんが打ち震えた。


「よっしゃぁ零、のお使いするでぇ!!」


 勝ち誇った表情の麻衣が俺の服に手を掛けた。



 も、もう俺は駄目かもしれない……。



 次回に続く。


 ───────────────────────


 ☆☆☆お礼・お願い☆☆☆


 ここまで読んで頂き誠にありがと!うございました!!


 「続きが早く読みたい!!」


 「はじめてのお使いが気になる!!」


 「零ちんの漢の勲章はどうなってしまうのか!?」


 「茜と乙歌の夜の大運動会はどうした、二人の幼馴染早く!はよ!


 と、思われた方はぜひ★の評価や作品のフォローをお願いします!!


 作者はそれだけでムフフな執筆の速度が上がります(笑)


 皆様の応援だけが頼りですので、よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る