幼馴染と秘密のお泊り。
『……あ、あか、茜っ!? そんなことしちゃ駄目だ!! お、俺のドー◯ルマン刑事がっ!! ビッグマグナム◯岩先生が暴発しちゃう……』
『うふふっ、零ちん、覚悟しなさいって茜は前回の個人レッスンで言ったでしょ♡』
『おふうううううっ!! そこはダメええええっ!! 少年警察官こまわりくんが栃の嵐にまたがって俺の部屋にガサ入れにきちゃうよ!!』
『もうっ!! 零ちんったらはやく……』
『うう、茜っ!? もうふにっこのお豆さんは食べられないよぉ!!』
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「……零ちん!! いい加減に目を覚まさないと目的地だよ。茜、一人で電車を降りちゃうから、それでもいいの!?」
「んあっ!? 目的地だって……」
*******
……夜の大運動会の妄想から目覚めて俺は目的地のホームに降り立っていた。
ここが今回のモニターツアーの開催場所だ。ツアーといっても団体行動ではなく、都心の駅に集合していったん説明を受けた後、各自自由行動になっている。
「うわぁ、空気が美味しい!! 山に囲まれているのは私たちの住む街と同じなのに何でこんなに違うのかな?」
四年前に駅舎がリニューアルされ、同時に温泉施設が隣に併設されたそうだ。
真新しい建物から眺める山々が
「茜、俺達の住む街は有名なダンプ街道があるから排気ガスによる大気の違いじゃないのか、それにダンプの砂取りでめちゃくちゃ山が削られているから、こっちと比べて景観が全然違うんだ。それこそマジで
「あっ、零ちん!? さっそく大好きなアニメに出てくる銀髪ヒロインのまねっこしてるね!!」
「ごめん、そういえば茜には聞かせてなかったな、これを耳に掛けてみて……」
茜に俺がいま聞いていたイヤフォンの片側だけを差しだす。
俺と茜、イヤフォンで繋がる距離が近い、普段だったら照れてしまうが、
二人っきりで旅行に出掛けている非日常感が俺をどこか大胆にさせた。
「れ、零ちん、顔が近いよ!?」
俺は茜の肩を抱き寄せていた、きゃしゃな身体の温もりがこちらに伝わってくる。
柑橘系のいい香りが俺の鼻腔をくすぐった。
「おいおい、離れるとイヤフォンが届かないだろ……」
俺は下手な言い訳を口にしたから彼女からすぐに怒られると思った。
だけど今日の茜はそのままでいてくれた。イヤフォンから流れる音声に真剣な表情で耳を傾ける。その真剣な横顔に思わず見とれてしまった……。
「銀髪の女の子ってやっぱり声が可愛いな♡ これからこの街を案内してくれるって。でもこのアプリ凄いね、地図で場所を表示するだけじゃなくキャラクターが音声でガイドしてくれるんだ!!」
そうだ今回のモニターツアーの最大の目玉はアニメの聖地巡礼にプラスして、作品にゆかりのある場所を訪れるとスマホのGPSと連動して登場人物のセリフや音楽が聴けるんだ!! 今までにも聖地巡礼アプリいくつか存在したが、ただポイントに行って写真を撮るだけで満足度は低かった。
今回のアプリはまるで作品世界に自分も入り込んだような没入感を体感出来るという優れものなんだ。
「でも何だか少し
「おいおい、アニメのキャラクターに本気でヤキモチを妬くなよ……」
茜がジト目で俺を睨み付けてきた。こいつ
「あっ、音声で美味しい食べ物がここら辺には沢山あるって言ってるよ!! お蕎麦、味噌ポテト、わらじカツ丼、う~ん、茜、ぜんぶ食べたいかも……。零ちん、お詫びにおごってくれたら許したげる!!」
間の悪いことに音声ガイドの内容がこの観光地の美味しい食べ物の紹介だった。
イヤフォンから鈴の音が鳴るような可愛い声が流れるのを俺は引きつった笑いで聴くしかなかった……。
とほほ、今月はラノベや趣味のモノへの散財は我慢だな……。
だけどまあ良いか、茜と旅行なんてこれが最初で最後かもしれないし、
今は日常を忘れて目一杯楽しもう!!
「よし!! 茜、まずはレンタサイクルを借りに行くぞ。結構ポイント数があるから効率良くまわらないとゆっくりご飯を食べている暇なんかなくなっちゃうからな」
「あっ零ちん、待ってよ、もうっ、仕返しでさっそく意地悪して……。夜の個人レッスンでみっちりしごいてやるから覚悟しておきなさい!!」
「うひゃあ!? 茜教官、お手柔らかにお願いします……」
俺はぶるぶる震える素振りをしながら後を追いかけてくる茜から逃げまとった。
やっぱり怒った顔も可愛いな……。
【じゃあ、準備が出来たらレッツゴー!!】
イヤフォンから銀髪の美少女ヒロインが二人旅の開始を告げる。
俺はこれから始まる禁断のお泊り旅行に胸と相棒をギンギンに高鳴らせた……。
さらに加速する次回へと続く!!
☆☆☆お礼・お願い☆☆☆
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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つまらなければ星☆1つで構いません。
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