清楚系美少女と病院のベッドで課外授業。

 俺、野獣院零やじゅういんれいは登校中に突然、女子高生に痴漢をした嫌疑けんぎを掛けられ、人生終了のお知らせ待ったなし状態だったが逮捕はかろうじてまぬがれた。


 無自覚巨乳な幼馴染みの美馬茜みまあかね。彼女の提案した体育祭での二人三脚優勝を目指すための秘密の個人レッスン。

 それもキングオブ童貞のほまれ高い俺にとっては、刺激の強すぎる指導内容だった。

 いつも隣に居るのに指一本触れることの出来なかった幼馴染みの美少女……。

 そんな茜のたわわなおっぱいを背後からむにゅむにゅしちゃうなんて!?


 俺は一生分のラッキースケベを使い果たしてしまったのかもしれない。

 昔から正負の法則という話があって良いことが起こりすぎると神様が、

 いましめのためにそれ以上の災難を与えるという話しだ……。 

 確かに今の俺に当てはまっているな。


 まだ俺は負のターンにいるのだろうか?

 それを確かめるべく俺は今回の災難を用意した香坂乙歌こうさかおとかのいる病室を目指していた。

 彼女は俺にとって悪魔なのか、それとも女神なのか、出来れば後者であって欲しいと心の底から願った……。


 ナースステーションで部屋番号を確認してから北側の病棟に向かう。

 君更津中央病院、国内有数の高度医療機関として知られ、県内の救命医療を担う総合病院として機能している。大学を同じ敷地内に併設しており、俺も訪れるのは久しぶりで複雑な館内で迷子になりそうな程の広さだ。この病院にはで子供の頃にしばらく通っていたんだ。懐かしいな。


 けれども同時にこの胸にこみ上げてくる複雑な感情は一体どこから来るんだ!? 俺は何かとても大切なことを忘れてはいないか。しかし、いくら自問自答しても答えは出ない。この病院と関係があるとは思えない、そう自分に言い聞かせた……。



 *******



「……香坂乙歌こうさかおとか、この病室だな」


 入り口のネームプレートを確認して青色の引き戸をノックする。


「野獣院零です、駅前の件で来ました」


 さすがに痴漢の件で来ましたとは声を掛けずらい……。


「……香坂さん?」


 ドアの前でしばらく待ったがまったく返事がない。


「ナースステーションに声がけしたら部屋にいるって言ってたけどな、仕方がない、また聞いてみるか……」


 もう一度、確かめようときびすを返した瞬間。



「きゃっ!!」


 俺は廊下を歩いてきた女の子と勢いよく衝突してしまった、か細い悲鳴と共に松葉杖が廊下に転がり激しい音を立てる。


「あっ、危ない!!」


 杖を失ってバランスを崩した女の子を慌てて腕で抱きとめる。俺がぶつかった相手はセーラー服姿の香坂乙歌ちゃんだ!!

 とっさに強く抱きしめた身体の柔らかさに驚いてしまう……。

 小柄な彼女の頭が俺の胸にすっぽりと埋まる体勢になり、さらさらな黒髪に触れた腕の力を慌てて緩めた。


「や、野獣院さん……」


「ご、ゴメン、わざとじゃないんだ香坂さん!!」


 とっさに身を離そうとするが彼女は俺にしがみついたまま離れようとしない。痴漢の時と同じで何か企みでもあるのか!?


「……すいません、松葉杖がないと歩くのがつらいんです。もう少しこのままで私の動悸が収まるまで抱きしめていてくれませんか」


 零ちんの馬鹿!! 俺から離れない理由わけは足を捻挫しているからなんだ。彼女を悪者みたいに考えるなんて本当に失礼だろ……。


「……乙歌と呼んで貰えますか、私の方が野獣院さんよりひとつ年下ですし」


 少し落ち着いてきたみたいだ。抱きしめたままの俺の腕に彼女の鼓動が伝わってくる。

 でも乙歌ちゃんって下の名前で呼ぶのはかなり照れるな、茜以外の女の子を呼び捨てにした経験が殆ど無いんだ。


「お、乙歌ちゃん、俺からもお願いしてイイかな? 野獣院じゃなく零って呼んで欲しい」

 恥ずかしさついでに俺も下の名前で呼んで貰おう。野獣院さんよりマシだ。


「零さん……。 う~ん何かイメージが違うな、そうだ!! 名前の呼び方を乙歌がアレンジしてもいいですか?」


 乙歌ちゃんが俺に抱きしめられたまま、上目つかいでこちらを見上げる。

 ヤバっ、めちゃくちゃ美少女すぎる!! 俺の心臓の鼓動も一気に高まってしまう。


「べ、別に、乙歌ちゃんの好きに呼べばイイよ……」


 胸の最大心拍数BPMを彼女にさとられぬよう、ぶっきらぼうな口調で答える。

 

「じゃあいきますね、零お兄ちゃん♡」


 俺の腕の中で頬を真っ赤に染めながら乙歌ちゃんがつぶやいた。

 ぐはあああっ!! 超弩級に可愛いっ、これじゃあ俺がってしまう……。


「お兄ちゃんって呼び方、普段、家であんまり使わないから何だかすっごく照れちゃうな……。 でも乙歌、そう呼べて嬉しいかも!!」


「家で呼び慣れてないって、本当のお兄さんがいるのになんか変じゃない?」


 素朴な疑問で彼女の表情に陰りの色が浮かんだのを俺は見逃さなかった。

 そして学年一のチャラ男、香坂俊こうさかしゅんの顔を思い浮かべた。考えるのも不愉快だが妹の乙歌ちゃんの前ではあまり香坂の悪口は言えないな、彼女に取っては実の兄貴なんだ。傷付けないようにしなければならない。


「兄のことや痴漢の件でご迷惑を掛けたことについてもご説明します。申し訳ありませんが病室のベットまで私を運んでくれますか」


 えっ、病室のベッドまで乙歌ちゃんを運ぶ!?

 一瞬、さらなるラッキースケベを期待してジュクジュクとラブコメアドレナリンが脳内で分泌されたが、現実は個室とは言え病室のベットでアレコレなんて想像するのは、さすがにそんなのラブコメ脳じゃなくて、ただのアダルトビデオ脳だよ、少し自重じちょうしろ、馬鹿な俺。


「じゃあ乙歌ちゃん、俺の肩を貸そうか?」


「……このままが」


 聞き取れないくらい小さな声で彼女はつぶやいた。


「えっ、今、何て言ったの、乙歌ちゃん?」


「まだ乙歌、胸のドキドキが収まらないから、零お兄ちゃんの肩よりこのままがいいです。抱きしめたまま運べるお姫様抱っこ……」


 これ以上は無いほど耳まで真っ赤にして、乙歌ちゃんは照れながら俺に甘えてきた、先ほどのネガティブなショートメールを送ってきた同一人物とはとても思えない。


(誰か私をここから救い出して、やっぱり私は寂しいの……)


 何かの間違いじゃないのか? いや、そうあって欲しい。

 俺は正負の法則を打ち破るつもりで乙歌ちゃんをやさしくお姫様抱っこした。


「きゃっ♡」


 ずり落ちないように首に手を廻してきた。彼女の身体は拍子抜けするほど軽く感じた。

 心地いい重さを感じながら俺の腕のなかで

 はにかむ清楚なお姫様にゆっくりと視線を落とした。



「零お兄ちゃん、私を病室のベッドまで連れていってください……」



 さらに急展開な次回に続く!!



 ☆☆☆お礼・お願い☆☆☆


 ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!!


 もし乙歌みたいな清楚系美少女が好き!!


 零いいぞ!! もっとやれ、応援してるぞ!!


 と思ってくださいましたら


 レビューの星★★★でご評価頂けたら嬉しいです。

 

 つまらなければ星★1つで構いません。


 今後の励みや参考にしたいので何卒お願いしますm(__)m

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