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さて、きゅうりアレルギーも治まった数日後…
「…う〜む…」
ある飲食店内、ひとり片隅の席に着き着き総統閣下が、なにやら唸っています。
「…うう〜む…」
唸るだけでは飽き足らず。さらに総統閣下ときたら、その指先でもってテーブルを、またブーツの先で床をコツコツと打ち始めました。
見るからにイラついたご様子。いったい彼は、なにが気に入らないと言うのでしょう。
そして、それから5分ほどが経過した頃、
「もう我慢できぬっ」
店を出るようです。はたと立ち上がったが総統閣下が、つかつかとドアの方へ向かって歩き出しました。
と、その時です。
「あ、総統閣下じゃありませんか」
逆に店内に入ってきた娘とばったり。
「お、キミは確か、コスモのガールフレンドの…」
「不知火サリーです」
ぺこりと一礼。ショートボブの可愛らしいお嬢さんが、総統閣下に微笑みかけました。
「そうそう、サリーだったな」
「もうお帰りですか、総統閣下」
「うむ。このような無礼な店は、キミもやめた方がよいぞ」
一瞬、振り返って奥のカウンターを一瞥。再び向き直るや総統閣下が、小さく首を横に振って見せました。
どうやら総統閣下は、このお店に不満があるようです。
「無礼…って、なにかあったんですか?」
そこで、とりあえず近くの席に座って、総統閣下の話を聞いてみますと、
「…もう、総統閣下ったら〜。本来、こういったファーストフード店は、みんなそうなんですよ〜」
「あいや、そうだったのか。どうりで、いつまでたっても注文を取りに来ないからおかしいと思った」
実は、ファーストフード店は初めてという彼は、それにイラついていた訳です。
どこかで聞いたような話ですが、本当にいるんですね。こういう人が。
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