第26話 アラフォー、地下迷宮にリトライ

「ふーん……汚染魔力……」

 ヴィルベルと共に塔へと赴き、事の次第を話す。すると何やらリヴェラは本を取り出し、メモ用紙につらつらとなにかを書いていく。

「これ……対汚染魔力のお守りの設計メモ……工房エリアの材料で作れる……」

「おお! 流石リヴェラじゃ!」

「それから……除染球の作り方……これも工房エリアで作れる……」

「これなら完璧だ。ありがとう、リヴェラ」

「Dさんの頼みなら……なんだって聞く……」

 本で顔を隠しながら言うリヴェラも可愛い。

 事の次いでにリヴェラの好きな酒は何かと聞くと宵闇イチゴのリキュールだそうだ。地下迷宮で手に入るといいが……アイナも好きそうだしな。

 とにかく塔を後にし、工房エリアに設計メモを渡す。三日とあれば出来る様だ。それまで作戦会議といこう。


——三日後

「よし、みんな準備はいいな?」

「万全じゃ!」

「いつでも行けます!」

 再び地下迷宮入り口前に立つ。まずは扉を開けて……すかさず除染球を投げ込む!

——ギュオオオオ

「いくぞ!」

 足を踏み入れる。以前の様なショックはない。辺りを見ると……

「ふむ……坑道じゃな」

「えっ! 迷宮なのに魔石!?」

「あれだけ汚染魔力が濃かったんじゃ。イレギュラーも起こるじゃろうて」

「しかしこれはメタラシア以上だな……」

 足元に敷石かと言わんばかりに高純度の魔石が転がっている。汚染されていたんだろうが除染球のおかげで正常な色だ。

「あ、さっき投げ込んだ除染球ですね」

「見事に汚染魔力を吸収しておるのう。流石リヴェラの設計じゃ」

 ビー玉程度の大きさだがその性能は計り知れない。そんな球が山盛り用意してあるのだ。リヴェラ曰く、汚染魔力は汚染要素を切り離す錬金術を施せば最高の魔力塊になるのだという。故にこの吸収した汚染魔力は無駄にならない。

 とにかく除染球を投げながら慎重に坑道を進んでいく。ジャリジャリと足場が良くないため魔石はブラックボックスで吸引。まるで掃除機をかけているようだ。壁を掘ればまだあるだろう。

「む? 開けてきたのじゃ」

「なにかありそうですね」

 大きな空洞に出た。目の前にあったのは……

「骸骨?」

「ふーむ、これはミノタウロスキングのものじゃな。汚染魔力で死んだのじゃろう」

「と、するとこの辺り一帯の魔物は全て……」

「そうじゃな。死んでおる。適応のヒマすらなかったとみえるのう」

 となると探索は崩落などを注意すれば良いだろう。ヴィルベルが感知できない上、魔眼にも反応はない。とにかく先へ進もう。


——三時間後

「次のエリアへの扉は目の前なんだが……」

「除染球で吸収しきれておらん……継続的に湧いておるのう。ここが元凶か」

「なんとかなりませんかね?」

「実はの、進むにつれてこの汚染魔力に心当たりができたんじゃ」

 と、ヴィルベルは言うや否や地面に大穴を開けた。すると汚染魔力が吹き出してくる。

「ヴィルベル!? 何してる!?」

「まぁ見ておれ」

——ドォン!

 空いた穴な先には大きな空間が広がっていた。しかし……なにやら工業地帯のような……

「ああ……やはりこうじゃったか……」

 一体何だ?

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vamp"D" 物書未満 @age890

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