第二章
第5話 アラフォー、メタラシアへ
「着きましたね、メタラシア!」
「だな」
そこかしこから鍛冶屋の煙が上がる鉄工都市メタラシア。早速ギルドに向かって歩を進めるがかなりの賑わいをみせている。武具を求めに様々な人が来るのだろう。
と、ギルドに着いた。都市のギルドというだけあって混み合っている。受付に時間がかかりそうだ。
——30分後
「ようやく辿り着いた……」
「メタラシアのギルドへようこそ! 登録ですか?」
「ああ、イレイナの街で登録したんだが」
「ではお二人の冒険者タグを」
言われるままにタグを見せる。すると……
「あ、あのもしかしてDさんとアイナさんですか?」
「そうだが?」
「すみません、ちょっとこちらへ」
なにやら他の部屋に案内された。マズい事でもしでかしたのだろうか?
——ガチャッ
「失礼。急にこんなところへ連れてきて申し訳ない。私はギルド長のヘンリーという者だ」
「ギルド長自らお出迎えとは。私はD、こちらはアイナだ」
「貴方がたの活躍は聞いている。なんでもアークドラゴンを倒し、イレイナの迷宮を踏破したとか。そんな貴方がたに頼みがある」
ギルド長が言うにここ最近メタラシア鉱山から夜な夜な奇妙な音がするのだという。更には落盤も続き、調査に向かった冒険者は皆よく分からない攻撃を受けて帰ってきているというのだ。
「メタラシア鉱山は重要な採掘地だ。何としても……」
「分かった。報酬は?」
「1000万Gでどうだ?」
「いいだろう。アイナは?」
「私も同意します」
1000万G、それだけの大金を積むほどに事態は逼迫しているのだろう。
とにかく出発は夜だ。
——
「アイナ、準備はいいか?」
「はい!」
メタラシア鉱山、その坑道入り口に立つ。
「Dさんって強いですよね」
「それなりに、ね。しかも夜限定だし」
「でも私の血で昼間でもちょっとは力が出せるんですよね!」
「そうだな。ありがとう、アイナ」
「えへへ」
照れ臭そうにアイナは言うがかなりありがたいことである。
アイナを眷族化したことによりアイナは私の力の一部を使えるようになった。今は明かりのない坑道を進んでいるが、暗視と魔眼を併用する技術を身につけているため二人とも昼間のように明るく見える。
「確かに変な音がしますね」
「ああ。金属を擦り合わせるような……」
落盤を繰り返したであろう坑道を進むにつれ妙な金属音は強くなっていく。だが魔物らしき気配は……
「っ……!」
突如、中空から金属片が飛んできた。
「アイナ、大丈夫か?」
「問題ありません。一瞬だけ魔物の反応がありましたね」
「ああ」
ここから先が縄張りか。とすれば警告の一撃だったのだろう。しかし中空から……次元干渉系なら厄介だが……そこまで高等な魔物がいるとは思えない。何もない……いや、ここにはあるぞ。闇が。
「アイナ、闇に潜む魔物っぽいか?」
「私もそれを考えていたところです。金属音の事も考えれば『シャドウメタルリザード』が妥当かと」
なるほど、それなら合点がいく。迷宮第六層で出くわしたからな。奴の仕留め方は……
「アイナ、潜るぞ」
「はい」
——
「シャドウヒドゥン」
影、闇に潜む魔法。
——
闇に潜り気配を消す。闇の中に奴はいるはずだ。まさか人間が闇に潜ってくるとは思うまい。
「いました、シャドウメタルリザードです」
「こっちには気付いていないな」
警告の一撃で追い払ったと思っているのであろう。呑気にあくびをしている。しかし装甲は分厚い、弱点は腹部だ。気づいていないのならば……!
「シャドウステップ!」
二人で一気に腹部に潜り込む。そして……!
「エアロカッター!」
「ブラックマグナム!」
——gyaaaaaa!
不意の一撃、急所、最大火力。当然ブチ抜きだ。
「やりましたね、Dさん!」
「ああ。この程度で1000万Gなら上等だ」
ブラッドドレインで吸収し、ブラックボックスへ収納。後は帰るだけだ。
「まだ夜も長そうですね~」
「ああ」
「その……宿に戻って……」
「致そうか」
「ふふっ。楽しみ」
シャドウテレポートで帰ってやることやるのだ。
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