第11話 立花零の憂鬱
みなさん、お久しぶりです!!
僕、立花零です。第3話に出てきた羽鳥さんの後輩です!!一応、羽鳥さんから、仕事は出来ると褒められてたんですよ〜。思い出していただけました?
あっ、思い出していただけましたね。その立花です。
みなさん、羽鳥さんに対して「こいつ、余計なこと言ってるなぁ」とか思いました?もしくは、好きな人がいるか聞いたりして、実は僕が羽鳥さんのことを好きなんじゃないかとか、ボーイズラブ的なことを想像したりしました?
残念ですが、僕はそこまで無神経でもなければ、ボーイズラブ的要素も持ち合わせていません。絶賛彼女募集中の、意外と気遣いの出来る男なんですよ。
じゃあ、なんで羽鳥さんに、あんな絡み方をしたかって?そこはね、僕も仕事は出来る方だと思うですけど、完璧なわけじゃないんで、ミスや失敗は多少なりとあるんです。で、今回ちょっとしたミスを、ある女の先輩がフォローしてくれんたんですよ。おかげで大事にならずに済んで感謝感激で、その場の勢いで、その先輩に言ったんですよ。
「ありがとうございます!!本当に助かりました!!木崎先輩がミスに気づいてくれなかったら大事になるところでした!!何かお礼させてください!!」
「お礼なんていいわよ」
「いや、何かさせてください。じゃないと僕の気が済まないんで。僕に出来ることなら、なんでもしますよ」
「・・・何でも?」
「はい!自分に出来る範囲で、ですけど。何かありますか?」
「じゃあ、羽鳥さんに彼女がいるか聞いてくれる?彼女もしくは同居人?いや居候?」
だんだん最後の方になるにつれ、独り言のように声が小さくなる木崎先輩。
「え?彼女がいるかどうかなんて、普通に聞けばいいじゃないですか。僕に頼むことですか?」
羽鳥さんは、あまりプライベートなことを話さない。それでも、聞けば答えてくれそうだけど。いや、答えないか?何より、あの羽鳥さんが彼女がいたとしても、周りにペラペラ話すところは想像が出来ない。
「その普通に聞くが出来ないから、木崎くんに、今、恥を忍んでお願いしてるのよ。聞くだけなら、あなたには出来るでしょ?」
なるほど。確かに聞くだけなら出来る。でも、これって。
「木崎さんは羽鳥さんが好きってことですよね?つまり、愛のキューピッドになれってことですかね?僕、聞きはしますけど、そういうことは出来ませんよ。あくまで聞くだけです」
他人の色恋に首を突っ込んだり、手助けをする趣味は僕にはない。
「あくまで、聞くだけです。木崎さん、それでいいでもいいですか?」
「ええ、構わないわ。聞いてくれるだけでいい」
「分かりました。さっそく、今日にでも聞いてみます」
午後に木崎さんとこの話をし、退社時刻に帰ろうとする羽鳥さんに話を持ちかけた。
結果は、知っての通り失敗。そして、その一部始終を羽鳥さんから見えないところで見ていた呆れ顔の木崎さんと、僕は今、対峙している。
「あんなに強気に出来ることならやります。って言ってたのに、全然ダメだったじゃない」
「すみません」
まさか、羽鳥さんが、プライベートなことを聞かれることを、ここまで拒むとは思わなかった。というか、あれはプライベートなことを聞かれるのを拒んだというより、何か違うものを隠したいような・・・?
「まぁいいわ。羽鳥さんの雰囲気から、何となく察しがついたから。だから一応お礼を言うわ。ありがとう」
「はぁ、少しでも役に立ったのなら良かったですけど・・・。まさかとは思いますけど、木崎さん、羽鳥さんにアタックするわけじゃないですよね?」
先ほどから、木崎さんの目がおかしい。この目は、好きな人に対して、純粋に好意を向ける目じゃない。
「しないわよ。私が聞きたかったのは、そういう理由じゃないわ。立花くんが考えてるようなことじゃないから気にしないで。それじゃ、急ぎの用事が出来たから帰るわね。お疲れさま」
そう言って、木崎さんは会社を後にした。僕は、その場に突っ立ったまま深いため息を吐いた。
悪い予感しかしない。木崎さんの目。あの目は良くない。絶対に冷静さを失っている目だ。いつもの冷静な木崎さんじゃない。何を思って、木崎さんが羽鳥さんの彼女について聞いたのか分からない。
ただ分かるとすれば、これから木崎さんが何かしら行動に移すだろうという嫌な予感がするだけだ。
やめた方がいい。
明らかに一線を引いて、踏み込んでくることを拒んでいる羽鳥さんに、何かしたところで、余計、拒絶されるだけだ。それが、見ていて分からなかったんだろうか?
恋は盲目とは、こういうことだろうか?
一瞬、今からでも木崎さんを引き留めに行こうかと考えたけど、やめた。
人の色恋に首を突っ込む趣味はないのだ。
僕のこと冷たいって思う?でもね、あれはダメだよ。木崎さんのあの目は、誰が何を言ったって聞く耳持たないよ。
好きだからって、何をしてもいいわけじゃないのに。何を暴走してるんだろうね。あれじゃ、嫌われるのが関の山かなぁ。
って、そろそろ僕も帰ろうかなぁ。
みんな、お仕事お疲れ様でした〜。まったね〜。
って、僕の出番ってこれ以上あるのかな??
それまで、僕のこと覚えておいてね。ではでは、立花怜でした〜。
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立花くんは、書いていて、とても楽しかったです。羽鳥も、これくらい動かしやすかったらなぁ。。。。
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