第33話 ネルネルの触手プレイ
「ちょっと、ネルネル! アタシのナツキに変なことしないでしょうね!」
ネルネルを睨みながらマミカが言う。仲間になったとはいえ、ネルネルのことは信用していなかった。
「ちょっとナツキのスキルを調べるだけなんだゾ」
「それ、ホント? 調教とか痴漢プレイするんじゃない?」
「それをするのはマミカなんだナ」
「あ、アタシは良いのよ!」
何度もチラチラとナツキの方を振り向きながら、マミカはロゼッタと一緒に頼まれた買い物に向かう。最後に一声だけかけてから。
「ナツキ、何かされたら逃げるのよ!」
「だ、大丈夫だよマミカ。ネルネルだって仲間なんだよ」
何度も振り返るマミカを、ロゼッタが引っ張って歩いて行った。
一方、別の用事を頼まれたフレイアとシラユキだが、やはりネルネルを信用していないのかナツキを気にしている。
「ネルネル、あんた本当に大丈夫なんでしょうね?」
訝しげな顔したフレイアがネルネルをジッと見る。
「わ、わたしの闇のオーラでナツキのスキルを調べるだけなんだナ。信用されないのは心外なんだナ」
ネルネルはこう言うが、普段の行いが悪いのでしょうがない気がする。
「弟くん、何かされたらお姉ちゃんに言って。そいつ
シラユキの目が本気だ。
「大丈夫ですよ。ボクのスキルを調べるだけですから。これから一緒に戦うのですから、ネルネルさんを信用してあげましょうよ」
無邪気な顔で言うナツキだ。これからどんな変態プレイをされるのか微塵も疑っていない。
マミカたちと同じように、何度も後ろを振り向きながら二人は歩いて行った。
◆ ◇ ◆
ネルネルに連れられ宿の部屋に戻り、ナツキは彼女と二人っきりになる。後ろ手にドアを閉めるネルネルの顔が怪しい。
ガチャッ!
「ぐひゃひゃっ、こ、これで邪魔者はいなくなって二人っきりなんだナ」
不気味な笑い声を上げるネルネル。絶対に何かしそうだ。
「ネルネルさん。スキルを調べるってどうやるのですか?」
「ぐへっ、な、ナツキ……その前にすることがあるんだゾ」
ネルネルが手を前にかざすと、突如として周囲の空間から闇の触手が現れた。
「
シュルシュルシュルシュル――
「ぐあぁああああっ!」
無数の青黒い触手がナツキの体に襲いかかる。手足の自由を奪い、腕や足にとぐろを巻くよう絡みついてしまった。
「ぐひゃあぁ、お、お前、本当に不用心なんだナ。わ、わたしが本気だったら、今頃はバラバラの肉片になっていたんだゾ」
不用心にもネルネルを信用していたナツキは、簡単に不気味な触手に捕まってしまった。絶体絶命である。
「ね、ネルネルさん……」
「くへぇ、お前……お終いなんだナ。ご、拷問の時間だゾ」
「ううっ、ネルネルさん……」
両手両足を封じられ絶体絶命のナツキ。しかし、ナツキの顔は恐怖どころか期待と興奮で輝いている。
「ネルネルさん……もしかして、ボクが油断ばかりで危なっかしいから鍛えてくれるんですか!」
「は?」
ネルネルが意表を突かれた顔をする。
「そうですよね。こんな油断だらけのボクが帝都に侵入しても、簡単に捕まってしまうかもしれません。分かりました! ネルネルさん、ボクを思う存分に鍛えてください。どんなキツいのも耐えてみせます。頑張りますっ!」
「な、ななな……」
ド変態でドスケベなネルネルの性癖にクリティカルで刺さった。目をキラキラ輝かせた
「ぐひゃ、ぐひゃひゃ……ど、どんなのも耐えるのカ? なな、なら、遠慮なくやっちゃうんだゾ♡」
「サー、イエッサー! ばっちこいです」
歓喜の表情を浮かべたネルネルが触手を自由自在に動かし始めた。それはナツキの服の中に入り込み、ウネウネと体中をまさぐる。
グニャァ――――
しゅるしゅるしゅるっ!
「ああああっ、な、中にっ!」
「ど、どこまで耐えられるかナ♡ ふひゃひゃ」
触手は服の奥深くまで入り込み、ナツキのイケナイ場所をモゾモゾし始める。もう自主規制寸前だ。
他国では触手プレイといえば凛々しく気高い女騎士や可愛いヒロインがされるのがオヤクソクだろう。しかし、ここ貞操逆転世界のルーテシア帝国では、触手プレイの餌食になるのは男子と相場が決まっている。
にゅるにゅるにゅるっ――ぐにょぐにょぐにょ――
「ふごぉ……うぐぅ、ふぃひのなふぁにぃ……」
太く長く逞しい棒のような触手がナツキの口内にまで進入する。容赦なく口の中をこねくり回し、奥まで深く進入してしまう。
上半身も下半身も下着の中まで入り来んだ触手が、時に激しく時に優しく刺激を送り続けているようだ。
「あぐっ、うぐぅ、が、がんふぁります!」
「ぐへっ、こっちはどうなんだナ♡」
「くううっ!」
「ぐっぐはっ♡ そ、そそそ、そこは放送禁止なんだゾ♡」
直接ではないが、もうイケナイコトしまくりの触手だ。
「ブッひぃぃぃぃぃぃぃィぃィぃーっ!」
ブババババババババァァァァアアアアッ!
涎を垂らしながら健気に耐え続けるナツキの姿に、遂にネルネルのド変態ゲージがレッドゾーンに突入し鼻血を吹き出した。
ネルネル心の叫び――
ああああああっ! なな、なんだこの少年は。わ、わわわ、わたしを信じ切った顔で耐え続けるなんて……。そ、そんな最高のリアクションされたら手放せなくなるんだゾぉぉぉぉっ!
彼女の性癖にドストライクだった。
「ぐわああっ、そ、そこはダメですぅぅーっ!」
「ぐひゃぁあっ! 最高なんだナ♡」
危うくナツキの初めてが触手になりかけたところで、それに気付いたネルネルによって解放された。
「はぁはぁはぁ……た、耐え続けましたよ。ネルネルさん」
触手から開放されたナツキが勝ち誇る。散々触手攻めされたのに、ちょっとドヤ顔なのが面白い。
「ぐひゃひゃ、こ、これは最高の男なんだナ♡ ロゼッタたちが熱を上げるのも分かるんだゾ」
どうやらネルネルまでナツキを気に入ってしまったようだ。ヤバい女に目を付けられたナツキの将来が心配である。
「ネルネルさん、次はどうするんですか?」
「そうだナ。次はこれなんだゾ」
カポッ!
使い込んで使用感ありありのブーツを抜いたネルネルが、その足をナツキの顔に持ってくる。風呂に入っておらず、見ただけで臭いそうな足だ。
「うぷっ、く、くさっ!」
「ぐははぁ、わ、わたしの足の臭いを嗅ぐんだナ」
蒸れて超臭いネルネルの足を嗅がされて気絶寸前のナツキ。しかし、これが彼女の変態プレイだと気付かないナツキは別のことを考えていた。
ううっ! 凄い臭いだ。で、でも、女性に臭いだなんて言ったら失礼だよな。気を付けないと。はっ、でも……女の子がこんなに臭いわけないよな。これには訳があるはず……。
そ、そうだ! これはきっと戦闘訓練なんだ。思い出せ。あのデノア正規軍での女教官による訓練だって、一見無意味に感じた腰取りや夜の特訓も必要だったじゃないか。
「ううっ、ネルネル教官。これは劣悪な環境でも任務を遂行する為の訓練なんですね!」
ナツキが盛大に勘違いした。
「ぐっ、れ、劣悪……」
「帝都に潜入した時に、下水道を通って逃げる為の」
「げ、下水……」
「す、凄いです、ネルネル教官。女子なのに、こんなに臭くして」
結局ナツキは臭いと言ってしまう。
「く、臭い……そ、そんなに臭いのカ?」
「はいっ! 凄く臭いです! 下水より臭いです」
「ううっ……」
「訓練の為に、こんなに臭くしてくれるなんて。ありがとうございます!」
「くぅぅ……真顔で臭い臭い言われると恥ずかしいんだナ」
まさかの事態だ。あの、部下に臭い足を舐めさせて喜ぶネルネルが恥ずかしがっている。羞恥心と無縁だったはずのネルネルが、初めて気になる男子ができたことで恥じらいを覚えたのかもしれない。
「くうぅっ、な、ナツキ一兵卒、訓練はここまでだゾ。合格なんだナ」
「サー、イエッサー! ありがとうございます、教官!」
超臭い足を嗅がれるのが限界になったネルネルが、ナツキより先に音を上げた。ナツキの純粋さによって、ネルネルの羞恥心を目覚めさせてしまったようだ。
「ネルネル教官、次は何をしますか」
「ああっ、そんなキラキラした目で見るなぁ……」
グイグイくるナツキにネルネルもたじたじだ。
「つ、次はナツキのスキルを調べるんだナ」
「サー、イエッサー!」
「ここじゃ狭いから広い場所に行くんだゾ」
「サー、イエッサー! 行きましょう」
毒気を抜かれてしまったかのようなネルネルが、仲良くナツキとお出かけする。最初は拷問プレイで勇者の秘密を吐かせたり泣かせようとしていたのが嘘みたいだ。
◆ ◇ ◆
スキルを使える広い場所まで歩く二人。ちょこっとネルネルの横にきたナツキに、頬を赤らめて距離をとるネルネル。
ささっ!
「ん? どうかしましたか? ネルネル教官」
「な、何って……に、臭うから離れるんだナ」
「大丈夫です。臭いのも特訓です」
「わ、わわ、わたしが大丈夫じゃないんだゾ……」
長いこと風呂に入っておらず、プンプンと臭う体を嗅がれたくないネルネルが、恥ずかしさのあまりナツキから離れる。
「ううっ、恥ずかしいんだナ……」
ドンッ!
その時、ネルネルが道の向こうから歩いてきたガラの悪そうな男たちとぶつかってしまう。そのはずみで小柄な彼女がよろけてしまった。
「あうっ……」
「おい、コラッ! 何処見て歩いてんだ!」
「小汚え恰好した女だな、オイッ、ぶっ殺すぞ!」
まさか相手が帝国大将軍だとは思いもしない男たちは、小柄で汚い恰好のネルネルに因縁をつけてきた。
それもそのはず。街に飾られている七大女将軍の肖像画には、髪や身なりを整えた彼女が描かれており、まるで別人なのだ。薄汚れた見た目から非力な貧民の女だと思ったのだろう。
大将軍の中でも比較的戦いも辞さない性格のネルネルに喧嘩を売ってしまった男たち。通常なら瞬殺されそうだ。
そして、その時ナツキのとった行動は――――
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