第28話 何でも言うこときく女にされたドS女王
マミカの適当な演説に感化されたロゼッタは、鼻息荒く興奮の面持ちで帰って行った。
いや、
暴走してナツキを襲った手前、大人しく帰るしかないロゼッタなのだ。
そして、部屋に残った二人は――
「凄いです、マミカお姉様!」
キラキラした目のナツキがマミカを見つめている。
「うわっ、眩しっ! アタシを尊敬するナツキの眼差しが……」
ちょっぴりマミカは困惑していた。ノリで言った話なのに、ナツキは完全に信じ込んでいるのだから。
今、マミカの心の中では、ナツキを独り占めしたくて欲望が渦巻いていた――――
ああっ♡ ナツキのアタシを信用しきった顔がたまらないっ♡
なんか、最初からアタシがナツキを知っていて試したとか言ってたし。まあ、全然知らなかったんだけど。ナツキがデノア軍の兵士だなんて。
それでフレイアとシラユキもナツキを探してたのね……。待って! それって、あの二人もナツキを狙ってるってことよね。
ふんっ、ナツキは誰にも渡さないし。一生アタシに隷属させてやるんだから。二人に会ったことは黙ってよっと。
この期に及んで、まだマミカは自分の恋心に気付いていなかった。
「ほらっ、ナツキ♡ 一緒に寝るわよ♡」
「はい、お姉様」
裸になったマミカが布団に入る。そして、いつもより激しくナツキに手足を絡ませた。
「あ、あの、マミカさん?」
「うふふっ♡ ナツキぃ♡ ほらほらぁ♡」
「ちょ、ちょっと、変なとこ触らないで」
「だぁ~め♡ ロゼッタに触られたところを上書きしないと」
「ダメですぅぅーっ!」
本人も気付いているのかいないのか、完全にラブラブモードになったマミカがナツキの体をナデナデしまくる。
何かが目覚めそうなナツキだった――――
◆ ◇ ◆
翌朝、悶々と淫らな妄想をし続けたロゼッタがベッドから体を起こす。隣のベッドに目を向けると、やっと回復したネルネルが起きて伸びをしているところだった。
「ネルネル、もう体調は大丈夫かい?」
「ああ、復活したゾ。ロゼッタ」
ボサボサの寝ぐせが付いた髪のまま、ネルネルが支度を始める。朝食にでも行くつもりなのか。
「ねえ、ネルネル。私は気付いたんだ」
唐突にロゼッタが語り始めた。
「この世界は間違っている。いまこそ革命の時なんだね」
「ぐへっ、ロゼッタ……へ、変なものでも食べたのカ?」
同僚の意味不明な発言にも冷静なネルネル。大将軍は変わり者ばかりだから慣れっこだとでも言いそうだ。
「ち、違うよ。昨日マミカと会ってさ。突然のバトルでビックリだよ。あっ、そうそう、そうだよ、デノアの勇者にも会ったんだ。超好みでさ。つまり革命だよ」
「お、おまえは何を言っている……いや、それより今、デノアの勇者に会ったって言ったんだゾ。そこ重要なんだナ」
大きな体で喜びを表すような身振り手振りのロゼッタに、ネルネルはデノア勇者の件だけツッコんだ。
「えへへぇ♡ そうなんだよ。すっこく好みでさ。もう結婚しようと思うんだよね。エッチは一日十五回って決めようと思ってさ。うへへっ♡」
「お、おい、ロゼッタ。意味が分からないんだナ。順序だてて喋るんだゾ」
一呼吸おいてから話し始めるロゼッタ。
「つ、つまりだね。昨日出掛けた時に、行き倒れの少年を襲う
「ふむ、それで」
「そう、道に勇者が落ちていたんだよ。その少年が超好みでさぁ♡ やっぱり、お持ち帰りだよねっ。もう結婚だよ♡ ムラムラが止まらないんだよぉ♡」
「そ、それで……」
「ベッドインしてイケナイコト寸前でマミカが現れたんだよ。こうドカーンとかバキーンって感じに戦って。それで、皇帝陛下をお救いし腐敗した帝国を立て直す正義の戦いなんだよ! ふんす!」
ロゼッタは説明が下手だった。
「…………ロゼッタ、おまえマミカの精神系魔法で洗脳されたんだゾ」
「ちちち、違うよ! 私だってスキルレベル10の大将軍なんだよ。簡単に洗脳されたりしないよ」
「そんなのは知ってるゾ。で、でも、ロゼッタは根が素直で優しいから騙されやすいんだゾ。もっと人の話は疑うのも必要なんだからナ」
ネルネルはロゼッタの話から状況を推察した。
デノア王国の勇者とマミカがアレクシアグラードに……。勇者は予定通り帝都に向け侵攻中なんだナ。
マミカは何をしに……。これはデノア勇者を追って来たと見るべきか。いや、あのつかみどころがないマミカだけに別の目的があるのかもしれないんだゾ。
次にデノア勇者と結婚……エッチ……まあ、ロゼッタが性欲強過ぎて暴走しているだけなんだナ。
最後に革命? 皇帝を救い帝国を立て直す?
マミカか勇者にでも何か吹き込まれたか? わたしたち帝国騎士は皇帝に絶対的忠誠を誓っているはずだゾ。神聖不可侵とされる皇帝の命令に背き、国を変えるなどと言い出すのはマミカくらい……。
まさか、マミカは帝国を裏切って勇者側に付いているのカ?
も、もし、大将軍が二つに割れるなんてことになったら、それこそ帝国を二分する大事件なんだゾ。
ネルネルが黙り込んでしまい、ロゼッタが彼女の顔を覗き込むようにキョロキョロしている。
「えっと、ど、どうかな? ネルネルもマミカたちと会ってみたら?」
黙っていたネルネルがロゼッタの方を向く。
「そうだな。会ってみたいゾ。ぐひゃひゃ、も、もし勇者が危険人物なら、始末するんだナ」
「だ、ダメダメダメぇぇ! 私の結婚相手なんだから。酷いことはさせないからね」
ナツキにベタ惚れのロゼッタと疑心暗鬼のネルネル。二人でナツキに会いに行く支度を始めた。
◆ ◇ ◆
一方、昨日の疲れや夜のイチャイチャで
体のある部分が大変なことになって困っていた。
「うっ、ううっ……どうしよう……元に戻らないよ」
体の一部がイケナイ感じになってしまい戻らないのだ。男子の生理現象なので正常なのだが、すぐ横にはマミカが寝ているのだ。しかも手足を絡めナツキを抱き枕のようにして。
「んんぁあぁん♡ ナツキぃ♡ 朝ぁ……」
マミカが目覚めた拍子に、腕がナツキの体の一部に触れた。隠そうと思っていた体の変化は、一瞬にして彼女の知るところとなる。
「ぬっへへぇ♡ ナツキ、これ何かなぁ?」
「ちょっと、ダメです!」
「あれあれあれぇ? いけないんだぁナツキってば♡」
「ち、違うんです。これは朝の……」
「うっへへぇ♡ もうバレっちゃったしぃ♡ ナツキのエッチ♡」
「ううう……くぅ…………」
真っ赤な顔を両手で隠すナツキ。下半身ががら空きだ。
「ほら、お姉様に任せなさい。ここをこうすると元に戻るんだよぉ♡」
朝っぱらからマミカがイケナイコト全開だ。遂に
もっと信用させてから裏切ると言っていたはずだ。しかし、ナツキが自分を尊敬しているのと、ロゼッタに寝取られ未遂になったことから、もう抑えが効かない状態なのだろう。
「ほらほらぁ、イケナイんだぁ♡」
「ああっ! もうやるしかないのか」
「おっ、ヤる気になったの。ナツキぃ♡」
ナツキがヤる気になったのはイケナイコトではない。最終手段で姉喰いスキルと必殺技のコンボをお見舞いすることだ。
「マミカお姉様、ごめんなさい!」
もみっ!
ナツキの手がマミカのお腹に触れる。
「きゃはっ♡ ナツキ積極的ぃ♡」
「えいっ!」
ずきゅぅぅぅぅーん!
「ぐはっはぁぁぁぁああ~ん♡」
ナツキ渾身の姉喰いスキルが炸裂した。普段のマミカなら強力な
しかし、今のマミカは完全に無防備でナツキを受け入れる準備をしていた。つまり、直接その身の奥深くに姉喰いスキルを打ち込まれてしまったのだ。
マミカの中で耐えられない程のドロドロとした情欲と、好き好き大好き弟くんの姉属性が混ざり合い沸き上がる。突き抜けるような快感で陥落し、一気に身も心も屈服されてしまった。
ぷしゅぅぅぅぅ~っ!
ベッドに倒れたマミカ。だが、ナツキの攻撃は終わらなかった。
「マミカさん、行きます! 必殺、
ペロペロペロペロペロペロ――
「うっきゃあぁぁぁぁああああ~ん♡」
ピィィィィィィ――(自主規制中)
大変えちえちな状況で自主規制されました。
「おっ♡ おっ♡ おほっ♡ も、もうダメぇ♡ しんじゃうからぁ♡」
ナツキの姉喰いで完全屈服したはずが、追撃の腋ペロで変な声上げて堕とされてしまうマミカ。ドS女王の顔は完全に崩れ落ち、まるでドMっぽい感じになってしまった。
「マミカお姉様、ダメですよ! エッチなのは結婚してから……せめて彼女になってからです」
「あ、あへっ♡ おおっ♡ おほっ♡ な、何言ってんのよ。エッチなのはナツキの方だし……」
「まだ反省してないんですか。なら、もう一度……」
再びナツキが
「はああああぁぁああ~ん♡ もう許してぇ♡ きくからぁ、ナツキの言うこときくから♡ 命令に従いますぅ♡」
帝国大将軍、精神系魔法レベル10のドS女、
ナツキを徹底的に調教して魂に自分の刻印を刻むなどと豪語していたはずだ。しかし現実は、逆にナツキに堕とされて何でも言うこときく女にされてしまった。
――――――――――――――――
あのドS大将軍まで陥落させてしまうナツキ。恐ろしい子!
もし少しでも面白いとか、ドSとか言ってるマミカが意外とよわよわで可愛いとか思ったら、よろしければフォローや★やイイネを頂ければモチベアップになって嬉しいです。たとえ星1でも泣いて喜びます。コメントもお気軽にどうぞ。
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