変わらないことなどない
よお、元気だったか?
そんな湿気た顔してんじゃねえよ、どうしたんだ
あぁ、あいつのことか
まあ残念だったよな
今日も一緒に飲むつもりだったんだ
こうして集まんのも、もう何年ぶりかだったし
あの頃はよく馬鹿やったよな
休み時間によく廊下に屯ってさ
やってたアニメやゲームの話したっけさ
俺はあん頃あんまり興味なくて知らなかったけど
そっから俺、引っ越しちゃってさ
でも引っ越す前の夜、お前らと食った焼肉
まだ覚えてるぜ
楽しかったよな
いつかまたお前らと遊ぶ日が来るって思ってた
純粋さってのは夢見がちだからな
一年後だって五年後だって変わらないと思ってた
でも変わんねえんだったらこうならなかったよな
あぁ、悪ぃ
湿気た顔してんじゃねえって言ったやつが
一番湿気た話しちまったな
まぁ俺もさ、色々あったんだよ、お前みたいに
お前みたいにって言うけど、皆そんなもんだよな
皆笑っているけど、実際笑えないことも多くて
だけどそれは誰にも言わないから見えないだけ
お前にもあったんだろ、そういう日々が
いや別に聞く気はねえよ
それを聞いたって俺が戻せる訳ないんだから
今日こうして十年ぶりに会って飲んでるけど
その十年間は俺らにはもう取り戻せないんだ
とりあえずまたこうして会えた事に乾杯しようや
人間いつ死ぬか分かんねえ
それでもこの十年生きただけで良しとしようや
あいつが居ないのは寂しいけれど
次また会えるか分かんねえんだから
せめて今日が楽しかったと思えるようにしようぜ
おい聞いてんのかよ
お前が塞いでちゃ面白くないだろ、「未来」
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