砂上の城
「好き」でやってたわけじゃない
いや最初はそこから始めたんだ
それを「好き」だと言ってくれた物好きがいた
いつしかその人の笑顔が楽しみになってた
彩りなかった僕の作品は
いつしか君の笑顔で色を付けて
何もかも綺麗に見えたんだ
それは砂上の先の海の蒼みたいに
こんな日々が続くと思ってた
いや思ってなんか居ない
だってそれが当たり前だったから
だから、別れのあの日を信じたくなかったんだ
失ったものは取り戻せない、とはよく言うけれど
言葉に出来ない恨み言と、たらればの悔み言
そして君が「好き」と言ってくれた物から離れた
だってそんな君の笑顔が頭を過ぎるから
自分に色々言い訳して
ただ日々は過ぎてく
貰った色彩は色を失って
ここはまた砂上
かたん、と何かが落ちる音がして現実に戻る
インクの残った少しペンの折れた万年筆
そしてあの日々を思い出す
君がくれた色彩を思い出す
出来心だった
空いた穴を探すように描き出すは空想
どうせ自分にはこれ以外何にもないんだから
笑えない心で走り出した僕らしい始まり
吐き出した心象に誰も目もくれず
それでもたまに立ち止まって見てくれる人がいて
そしてたまに「好きです」という人が出てきた
君の笑顔とは違うけれど
ここは砂上
発展途上にも満たない僕の街をここに作る
君を忘れるため
と言ってもきっと忘れる事なんかできないから
だからぜめて見れない君がいつか悔しがるように
今は精一杯書き殴ってやる
いつか君が「好き」と笑ってくれた創作を
誰かが「好き」と言ってくれた僕の作品を
だから言わせてくれよ
今に見てろ
いつかめちゃくちゃ良いもん作ってやるから
すぐに見れないことを後悔しやがれ
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