「居場所が無い」っていう居場所

雑踏に紛れて僕は一人

その流れに流されないように立っていた

僕の横を通り過ぎていく人の顔は苛立ちか

希望を失くして憂いてるのか希望に満ちてるのか


僕はどんな顔をしてるんだろう

そんな事を考えてたら音も前も見えなくなって

宛らいつかのどん底にいるようで

そんな僕を助けてくれる人は居ず


夢を持てない時代だとは思わない

何かを目指して駆けてった人を数知れず見た

『人生』って舞台を目を輝かせて演った人も居た

そういう人間がいる限りこの時代は終わってない


だがその限りでは無い

傷心高速道路の高架下は路頭に迷った人が屯って

無意味に日々を生きてる人もいる

「いつか」を夢見て歩いてった人もいる


僕にはもう夢も希望もない

だがあの場所に戻りたくなかった

だから路頭もなく彷徨っている

家出少年の終わらない家出


そんなら僕は死んだ顔してんのか

ならこんな奴を誰も好かないわけだよな

不貞腐れて蹴った石っころが誰かに当たって

その誰かの怒声で我に返る


その怒声から逃げるように駆け出した

道行く人を掻き分けて一心不乱に

今や帰る家も場所も人も逃げ込む場所も無い

でも今はとにかく走るしか無かった


そのうちぐずった雲が雨を降らして

走り続ける僕を濡らしてそれでも走って

宛ら人生からの逃避行

立ち止まっちゃ終わりな気がして


なら俺はどこに行けば良いんだと悪態つき

だがその問いに返してくれる人なんかいない

行く宛もない逃避行

宛ら僕の人生のように


結局またここか、と笑った

どうやらここが僕の居場所らしい

「居場所」が無いって場所が僕の居場所で

だがそこは他人からは嘲笑われる場所で


人にはその人に合った死に場所があるという

それなら僕にとっちゃここがそうなんだろう

「諦め」と言えばまだ綺麗だ

それよりももっと汚い僕の人生


罪人じゃなくたって生きづらいのが今世だ

そう詰って「居場所が無い」って奴らの場所

傷心高速道路高架下

そうして今日も悪態ついて飛び出してくのだ

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