点火

傷心高速道路、その高架下にて

死にきれない奴らがのさばってる

他人以上にも生きれない奴らが傷を舐め合って

この夜が明ければ誰かまた一人消えている


いつか飛べるはずだった

未来行きの飛行機に乗る空想ばかりして

俺は結局地面から飛び立てなかった

同じような境遇の奴の弱音に吐き気を覚えて


別れたはずの希死念慮が肩を組んで来て

答えのない存在意義共が通り際に嗤って

夢も希望も生きる気力もねえ俺を馬鹿にして

その涙すら出ない悔し涙が今日生きた手間賃で


いつまでもここにいられるかって

死んだ目をした奴らにぼーっと見送られ

一銭も無い今俺に何が出来る

俺がここから旅立つ為に必要なものとは何だ


人と道外れた今、最早その道を歩く必要はない

「普通はこうするべきだ」って俺は普通じゃない

何かを成し遂げた人達は「普通」から外れていた

そんならこの世捨てた俺にだってチャンスはある


根拠の無い言葉で作り上げたちぐはぐな宇宙船

もうこの地球に思い残すことなんか何も無い

未来行きの飛行機に乗れない俺は

宛ら現世のイカロスなのだ


嗤うならとことん嗤えばいい

もう二度と顔合わせることなんてないんだから

無事に飛べるかすら危ういが今よりはマシだ

焦りと不安を燃料タンクに注ぎ込んで今、点火

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