第10話 承諾
正直に言うと犯人探しなんて金持ちの道楽のようなものだと思っていた。
規範正しく生きているつまらない日常のスパイス。
面白そうだから首を突っ込んでいるのかと。
そんなお遊びの相手に選ばれてしまった。
これからどのように断ればいいのだろうか思案していた。
至極面倒だ。それなのにどうしてそんな顔をするのか。
キヨカは目の前で何かを思い詰めているように俯いている。
さっきは差し違えても犯人を見つけようとしているようだった。
もしかすると考えていたよりも大変なことに巻き込まれているのかもしれない。
ため息を吐きキヨカの頭を撫でる。
「そんな顔見せられたら手伝わないわけにはいけなくなったよ」
「それってもしかして」
打って変わり花が咲くような笑みに変わる。
コロコロと変化する表情は見応えがあるな。
お嬢様のただのお遊びだと思っていたが裏があるようだし。
何かまだ教えてくれていないことにも興味がある。
手伝わないと言っても聞く耳を持たないだろう。
勝手に捜査紛いのことをして何かあっては寝目覚めが悪い。
「あぁ。しょうがないから手伝ってあげるよ。犯人探し」
「嬉しい」
「断っても諦めないでしょう」
「それは確かに。いいよって言ってくれるまで付き纏うつもりだったけど」
「付き纏う気だったのか。怖いな」
実際自宅に不法侵入されているし。
やはり手伝うと言ったのは間違いだったかもしれない。
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