第4話 嫌な予感

 その日は朝から手が悴むほどの気温だった。

息が白く燻る部屋で歯を磨く。

そろそろ雪が降る頃だろうとアナウンサーが話す声が聞こえた。

もうそんな時期なのかと空を見上げる。

司会者が本日の天候の変化を訪ねていた。

お淑やかの代表のようなキヨカはクラスのマドンナだったのに。

今まで話したこともなかったものだからあんなことを言う子だなんて

思いもしなかった。

犯人を怖がるならばまだしも。

警察が捕まえていないなら契機だと喜んでいた。

思い出しただけで背筋が凍る。

犯人が誘拐を行っているなら逃げることもできるかもしれない。

行方不明になった子たちが五体満足とは限らないのだ。

それなのに女子高生二人で犯人を見つけ出そうなど。

危険なことに首は突っ込まないに限る。

今日こそはきちんと断ってしまわないと。

穏便に彼女からの申し出を断るにはどうするべきだろう。

角を立てずに日常に戻るのに適した文言は何か。

門の近くで生徒がごった返している。

考えながら歩いていたので学校に到着したことに気がつくのに時間がかかった。

何かあったのだろうか。

何だか嫌な予感がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る