35.サンタクロース

遠い微かな記憶


サンタクロースに会ったことがある


あれは僕も姉貴も小さな頃で


その日は家族でチキンやらシャンメリーやら


クリスマスケーキを食べてから


早めに寝かされて


夜中に母親に起こされた


『サンタさん来てるよ!』と小さな声で


僕と姉貴は寝ぼけ眼で


リビングに連れて行かれた


大きなクリスマスツリーの横に


大きなサンタクロースが立っていた


ツリーの装飾灯しか点けていないから


はっきりは見えなかったけど


僕も姉貴も怖くて足が動かない


母親に促されてプレゼントを受け取った


小さな震える声で『ありがとう』と言うと


また母親に寝室に連れて行かれた


その後の記憶は無い


その場面に


父親がいた記憶も無い


だから


あれはきっと…

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