6月(その1)
正確には五月末の出来事だが、ほぼ六月ということで、こちらに書いておこう。
毎月の予防薬を出してもらうために動物病院へ通うようになり、そこで獣医さんから飼い方の指導をされた。
まあ「指導」というと大袈裟かもしれないが、要するに犬の日常の様子を聞かれて答える中で「このように飼っている」が出てきて「それは良くない」と言われた、ということだ。
なにしろ、私や父にとって「犬を飼う」というのは約五十年ぶり。まだ当時はペットに人間の残飯を食べさせる時代だった。例えば今では「犬や猫にタマネギは毒」みたいな話は常識だろうし、私でも今回子犬を飼い始める前から知っていたくらいだが、昔は違う。人間の残飯を平気で与えていたのだから、タマネギみたいな「犬や猫の体に悪いもの」も普通に入っていたはず。
私も父も、一応ある程度はネットなどで最近の犬猫事情について調べたつもりだが、まだまだ常識がアップデートされていない部分があったのだ。
獣医さんの指導で変わったことは主に二つ。
まず「庭で遊ぶ時でも
今思えば、後々散歩に出かける際の練習という意味もあったのだろう。
早速リードを買いに行き、犬につけてみた。
獣医さんには「リードの片端についている輪っかで十分」とも言われたが、それではすぐに外れてしまう。最初は庭の中だから良いけれど、後々散歩に出した際、外で外れたら大変だ。
また「輪っか」で外れるということは、首輪でも外れるのかもしれない。特にまだ成長期のため首回りも成長するので、多少ゆるいサイズにする必要があり、余計に外れやすいだろう。
ならば、もう少しきっちり固定できるものを。
そう考えて、結局ハーネスを購入。首回りと胴回りの二本の輪っかを背中とお腹で繋ぐH型ハーネスと呼ばれるタイプだったが……。犬が嫌がるし、そうなるとこちらも装着が大変なので「お腹で繋ぐ」の部分を取っ払って、8の字ハーネスとして使っている。
人間がリードをクイッと引いた場合、首輪ならばその衝撃が首だけに伝わるが、ハーネスだと少し分散するので伝わりにくく、犬もあまり気にしなくなる。だから首輪でないと犬をしつけにくいのだという。そもそもハーネスは本来、犬ぞりみたいに引っ張ってもらうための道具だ、と。
なるほど理屈はよくわかるが、こちらとしては「首輪だと外れやすいのではないか」という心配がある。犬のしつけ云々よりも「散歩に出した時に外れてしまう」というのが一番困る。
これは六月の話ではないが、後日散歩に行くようになってからしばらく経つと、最初は嫌がっていたハーネスも嫌がらなくなった。散歩に行く準備として犬の体にハーネスをあてがうと、装着の間じっと大人しく待ってくれるようになったのだ。
犬の方でも「散歩に行く準備」を理解して「大好きな散歩へ行くため!」と我慢できるようになったのだろう。大きな進歩だ。
そんな事情で、うちでは今でも首輪でなくハーネスを使っている。
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