第16話 運営
あまり実感はないが、私たちはどうやらボスを倒したようだ。
「ユウヒー、なんか宝箱出たんだけどー。」
「宝箱?ドロップ品の画面じゃなくて?」
このゲームは敵を倒しても宝箱は出ないはずだ。
「そうー、なんか宝箱ー。」
宝箱は結構大きめなサイズ。
「何が入ってるかな?せーの!おーぺん!!」
???「ばあ!!」
「ぎゃああああああ!!」
私の声にびっくりしてメアリーは肩をピクッとさせる。
「あ、ごめん。そんなにびっくりするとは......。」
「あ、えっ?」
「ン"ン"ッ、あー、えっと、2人とも、ボスの退治おめでとう!」
あ、無理やり続けた。
ちなみに宝箱の中身は小さな少年だった。
「え、あ、ありがとうございます......。」
「ちょっと、あんただれ??」
「あー、私は運営ですよ。このゲームの。」
「は?運営??」
「そうです。実は2層への扉っていうのは少し前からあったんだけど、発表をしてなかったのね。」
「はぁ......。」
「で、今あなたたちが倒したのが2層に上がるためのフロアボスね。」
「えっと、どういうことですか?」
そういえば一昨日1時間ほどのメンテナンスが入っていた。
その時に追加されたのだろう。
「つまり、あなたたちが初めての2層到達者になるってことだよ。」
「は、はじめての到達者??」
「そう!プレイヤーの誰かがここにたどり着いてボスを倒したら一般的に知らせる予定だったの。ほんとは1週間くらいはかかるかな~って思ってたんだけど結構早かったね。」
フロアボスを倒してしまった。
メアリーのほうをちらっと見ると目がキラッキラにぴかぴか輝いていた。
あ、うれしいんだろうな。
私はゲームあまりやらないからすごさはあんまりわからないけどこの反応を見たら相当すごいのだろう。
「わ、私たちが!!!これ!!これ!!!!!!名前乗りますか!!!!!!!!!!!」
「えっと、うん、もちろん乗るけど......。」
ごめんなさい。メアリーが変な奴で。
声に出すのは怖いので心の中で謝っておきます。
「ここに来るための門に名前が刻まれる予定だし、オフィシャルサイトのお知らせとかにも乗る予定。あれ、もしかして嫌??」
メアリーはすごい勢いで首を横に振る。
「いやいやいや、いやなわけないじゃん!!最高だよ!!!!あ~、私たちの名前は永遠にこのゲームに刻まれるのか!!!うひょーー!!!商売繁盛ありがたや~!!!」
......(-_-;)
(あ、えっとセリフセリフ......。)
メアリーすごいなぁ、名前乗っちゃうなんて......。
(って何のセリフだよ!!!!)
気を取り直して、物語に戻りましょう。
えっと、私たちの名前??
「って、私も!?」
「「いや、そうに決まってるでしょ!!!!」」
2人から思いっきり突っ込みをもらってしまった。
もしかしてボケの才能ある??
「もしかしてボケの才能ある?とか考えてるでしょ。はぁ......。あんた結構馬鹿なのね。」
「なっ!!」
「はぁ......。まあまあ落ち着いて。で、これ報酬ね。受け取ってよ。」
ちょっとあきれている運営がくれた報酬はなんかよくわからない装備だった。
「あ、この装備はこのゲームに1つだけの特殊な防具だよ。確かユウヒさんのプレイスタイルって攻撃よけながら詰めるっていう感じだったよね?」
「あ、はいそうですけど。」
「だから防御力の上昇に加えて素早さをあげたり万が一攻撃を受けた時に復帰が早かったりするような特殊な効果が付いてる。しかも軽いよ。」
「おお!!!!ありがたいです!!!!」
......、メアリー?
メアリーは2回目の目がキラッキラにぴかぴかTimeに突入していた。
「ひっ!!あ、メ、メアリーさんはこれです。」
マジでうちのメアリーがすんません。あとできつく言っときますんで。
「これで武器を作るとより強力な武器が作れるようになれます。」
「おお!!!より強力な武器!!!」
「はい。ぜひ活用してください。」
私に対してはため口なのに、メアリーに対しては敬語......。
「ということで!1層クリアおめでとう!!ぜひ2層へ行ってみてね!!」
「「ありがとうございます!!!!!!!」」
私たちは早速第2層へと足を踏み入れた。
その夜、2層へ行くための扉が解放されたと発表された。
解放者はユウヒとメアリー。
2層へは扉の奥にいるフロアボスを倒すといける。
この発表によってユウヒとメアリーの名前は大半のプレイヤーに知られることになった。
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