病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

第15話 ミノタウロス

ミノタウロスは非常に体が大きいため動きが鈍い。

そして重い斧のせいで攻撃をするたびに体がふらつく。

その体のふらつきを治すため、ミノタウロスには攻撃後にしばらく止まっている時間がある。

その時間をついて私とメアリーは一気に後ろまで回った。

「メアリー！大丈夫ー？」

「うん。だいじょーぶー。」

「じゃあいくよー、せーのっ！」

バコン！

「ううぇ、ミノタウロスの足固すぎだろ！メアリー！もう一回！！」

「はーーい！」

「せーのっ！」

メアリーとタイミングを合わせてもう一度攻撃をする。

先ほど攻撃したところにしっかりと狙いを定めて攻撃をする。

今度はしっかりと攻撃が入った。

これを受けたミノタウロスは前に少しよろけた。

何とか踏ん張っていたのだが私が強烈なKickを背中にお見舞いしたことで一気に前に倒れこんだ。

「しゃあメアリー！！掛かれ！！」

「押忍！！」

私たちは一気に背中を駆け上がった。

私は顔のほうまで移動して前戦った巨大モンスターのように目に短剣をぐさりと差し込み、投げナイフのスキルを発動する。

ミノタウロスは大きな声をあげて苦しんでいる。

一方メアリーは自慢の大剣でミノタウロスの角を折ろうとするのだが、

キーーーン

「ああああああ！！ちょっと、腕がキーンってなった！！！硬すぎる！！！」

多少の傷はついていたが折れるまでにはいかなかった。

逆に大剣のほうが折れそうだ。

「メアリー！大丈......夫...。」

猛烈な音が鳴ったため心配になりメアリーのほうを見たのだが、メアリーの顔は輝いていた。

「にひっ......にひひ......ふふ、おほー！！ほっほっほっ！！これを使えばいい武器が！！んふっ、ふふふふ。」

あ、アカン、こいつ狂人や。

「ねえ、（デュフ）ユウヒ、（ンフフ）ちょっとこいつの、（デュフ）頭、（デュフフ）、押さえつけられる？ンフフ」

「え、うん。わかったけど......。ほどほどに、ね？」

「ンフ、わかってるよ。まかせて！」

うん。

これ止めたら私もけちょんけちょんにされそうだからここはメアリーに任せることにした。

正直ちょっと気持ち悪い。

まあ気にせず私は私でやることをやります。

私はミノタウロスの頭のほうまで登ってそこで跳躍のスキルを使った。

かわいそうなことにミノタウロスの頭はバコーン！と地面にたたきつけられて、ミノタウロスは苦しんでいた。

すかさず私は空中で１８０度逆さに回転。

空中ジャンプのスキルを使ってもう一度ミノタウロスの頭に強烈なアタックを行う。

バコーン！！

ミノタウロスは強烈な一撃を受けてぴょーんと少し跳ねた。

「ちょっとユウヒ！！もっと押さえつけてよ！！それだとうまく掘れない！！」

ん？掘れない？？

言葉に若干の違和感を覚えてメアリーのほうに目を向けると、メアリーはつるはしを持ってミノタウロスの角を採掘していた。

メ：　(-_-;)　｛なにやってるの......。

かつてボスの角を採掘する狂人はいただろうか。

多分いないでしょう。

いたとしたらそいつは非常に、ひじょーーに頭がおかしい。

私はその狂人を目の前にしている。

正直ミノタウロスに同情したい。マジでかわいそう。

......もういいや。指示通り頭でも抑えとこう。

と思ってゆっくりと頭のほうにまた移動するとミノタウロスは泡を吹いていた。

どうやら先ほどの一撃で脳震盪を起こしたようだ。

......。マジでごめん。ほんとにかわいそう。

私がミノタウロスに同情し、心の中で祈りをささげていると後ろのほうから声がした。

「おひょーー！！こりゃすごい！！！いい素材げっちゅー！！」

メアリーの手には１ｍを超えるであろう巨大な角が抱きかかえられていた。

......。

「ねえメアリー、ミノタウロス動かないんだけど。」

「お！！ほんとだー！これかったんじゃないの？やるねーユウヒ！」

「うん......ありがとう。」

しばらくしてミノタウロスはゆっくりと消滅していった。

そのときに発生していたエフェクトはとても寂しそうにしているように感じた。

きっとメアリーはそんなこと気にしていないだろう。

鬼畜だ。