第8話 “私の”双剣

4日後、私はログインをしたらすぐにメアリー武具店へ武器を取りに向かった。


武器ができるまでの間ひたすらにレベルを上げるために狩りをしたため、レベルは上がり、お金もたんまりたまった。


勢いよくメアリー武具店の古臭い扉を開ける。


「おーいメアリー、きたよー。」


中にはいつものメアリーちゃん。


こっちを見てにこりと笑う。


可愛い奴め。


「おーユウヒいらっしゃい!!できてるよー!」


「きたー!!早く早く!!」


自分専用の新しい武器ということもあってすごく興奮している。


「ちょっとまってねー今出すから。」


「はやくはやく!!」


「ちょ、せかすなよ!ほらよ。」


「おほー!」


メアリーが出した"私の"双剣は透き通るような美しい白色で、取っ手の部分に軽く装飾があるが、ごてごてしていない。


ほんとに自分の好みで、想像していたものがそのまま出てきたような見た目だった。


「もってみな。」


私はそっと双剣を持ち上げる。


軽い!圧倒的軽さ。


「おほー!ほほほ!!」


にやけが止まらない!


「ちょっと、気持ち悪いよ。」


「失礼な!ねねね!ちょっと"私の"双剣の切れ味を試してもいい??」


その言葉を聞いてメアリーはぎょっとした表情になった。


「え、私で?」


は?


「違うよ!!何言ってんの!これだよ!これ!!」


そういって私はアイテムボックスからモンスターの肉を取り出した。


「あぁ、そっちね。また暴力を振るわれるのかと...シクシク......。」


「ちょっと!人聞きの悪いこと言わないで!!さあ!切るよ!」


お肉を軽く力を入れて切ってみる。


「ギコギコはしません。スーー。」


「ぶふっ!」


メアリーが吹いた。


「ねえちょっとメアリーマジで汚い。"私の"双剣ちゃんに着いたらどうしてくれるの?」


「......ごめん。てかさっきから"私の"強調するのうざいよ。」


「え、ごめん。」


しばしの沈黙が流れる。


ちょっと気まずくなってしまった。


「まあいいわ。そんなことはどうでもいいの!まずはこの素晴らしいナイフを作ってくれたメアリーちゃんにラブをー!大好き!!」


そういって私はメアリーに抱き着く。


メアリーは照れたような顔をしながら


「ちょ、やめてよ......。」


とつぶやいた。


可愛い。


私の母性本能がくすぐられる。


私はすぐにメアリーを放し、


「よし!じゃあ私狩りに行ってくる!バイバイ!」


「えっ、あっ、うん。行ってらっしゃい。」


そういってちょっと困惑しながら小さく手を振ってくれた。


騒がしい奴が出ていき、静かなメアリー武具店は一気に静かになった。


「あいつ、テンポいいな。」


そういってメアリーは「ふふっ」っと笑う。




「よし、さっそく狩るぞ!どこからでもかかってこいモンスターども!」


はやくモンスターで試したい!


その一心でスキルまで使って草原に来た。


少し周りを見渡す。


人が多い。


「はえー、そういえば昨日とか来たときは気にならなかったけど、こうしてみると人の数が多いな。」


この『サンライズファンタジー』は先日テレビでも放送されたということもあって、続々プレイヤーが増えていた。


「ちょっとここじゃあ私の双剣ちゃんを生かしてあげられないな。よしっ!次の村いこう!」


そういってマップを開く。


今いる草原はヒメナ村の隣にある『ヒメナ草原』という草原みたいだ。


ここからいつも行っている森を超えて、小さな山脈を超えた先にこの第一層もう一つの村がある。


名前は『ギペル村』。


規模としてはヒメナ村とあまり変わりはない。


しかし、途中にある山脈には一層にしてはそこそこ強いモンスターが出てくるので初心者には越えられない。


ということは最近テレビで見てきた人はまだ山脈を越えられないということ。


すなわちすいている!


「私のレベルなら多分山脈は簡単に超えられるでしょう。そうと決まれば!ササッと行っちゃいましょう!!試し切りは途中の山脈でやろう!」


ユウヒはスキル『超加速』を使って爆速で草原をかけていった。


草原では、爆速で走る金髪の美少女にみんなの目線が注目していた。

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