第4話 デカグマ退治
ユウヒはジャイアントベアーから目をそらさず、ゆっくりと静かに間合いを詰めていく。
ユウヒの武器は双剣。
リーチが短いので距離を詰めないとあの大きな巨体にはまず攻撃は当たらないだろう。
今はとにかく集中。
焦る気持ち、緊張を少しでもを抑えるようにゆっくりとそして深く呼吸をする。
「よし!超加速!!」
ユウヒはスキル『超加速』を発動して一気に自身の間合いへと詰めていく。
ジャイアントベアーは大きく立ち上がり、ユウヒに向かって倒れかかってくる。
それを横に逸れるようにジャンプしながらすらっと避けてジャイアントベアーの腕を伝いながら背中に乗り込む。
足でがっつりと相手の背中を掴み、思いっきり斬りつける。
しかし一発、二発、三発と思いっきり切りつけたが相手の固い毛皮相手には刃は立たず、傷はつかなかった。
(だめだ、全然刃が立たない。)
いまのユウヒの武器は最初にもらった木製の武器だ。
明らかに鋭さも足りなければちょっと力を加えたら折れてしまいそうなほどふにゃふにゃで弱い。
ジャイアントベアーは大きく身を震わせて、私を背中からふるい落とそうとしてくる。
負けじと私も相手の背中に食らいついたが、大きな巨体から放たれる大きな振動には耐えられず、背中から落ちてしまった。
落ちているユウヒをジャイアントベアーはなぎ払うようにはたき、私はそのまま木に叩きつけられてしまった。
「がはっ!?」
(これはやばい。明らかに力が足りない。クソッ!武器だけでも変えてくればよかった!どうするべきだ?逃げるか?)
戦わずに逃げればよかったとか、この後どうすればいいとか。
後退りしながらひたすらに頭を動かす。
(どうしよう。なんかないのかな......、そういえば!そうだ!テレビで見たぞ!あそこを狙えばいい!)
ユウヒはテレビで見たとある技のことを思い出し、すぐさま勢いよく走って間合いを詰める。
ジャイアントベアーは大きく腕を振り上げ、力強く私に振るう。
それをよく観察しながらギリギリで交わした。
(腕を振るう前に一度腕を大きく振り上げるのか。そして1秒後に腕を振るう。わかった!これは行ける!)
ユウヒはもう一度ジャイアントベアーに同じ行動をさせるように先程自分がした動きと全く同じ動きをする。
するとジャイアントベアーはもう一度腕を大きく振り上げる。
(よし!キタッ!!!)
タイミングを伺って勢いよくジャンプ!
「いけた!よし!」
ユウヒはジャイアントベアーの腕に乗り、背中にしがみつく。
途中ジャイアントベアーはユウヒを剥がすために暴れたりしたが、背中を思いっきり掴みながら這い上がり、ユウヒは相手の頭の上に到着した。
「よし!!終わりだデカグマこのやろー!!」
ユウヒは持っていた双剣の片方を勢いよくジャイアントベアーの左目に刺し、
「投げナイフ!」
スキル『投げナイフ』を発動する。
すると、左目に刺したナイフは勢いよくジャイアントベアーに突き刺さり、ジャイアントベアーはうめき声を上げる。
刺さったナイフはスキルの効果で戻ってきて、次は右目に両方のナイフを刺してスキルを発動させた。
しばらくすると、ジャイアントベアーは倒れた。
しかし、こんなもんじゃ倒せているかはわからないので一応さらに刺した。
しばらくして美しいエフェクトとともに消滅した。
「勝った!!」
ユウヒは以前アニメで目を刺すとそのまま脳まで刺さりうまくいったら相手を倒せる。
うまく行かなくても目潰しになる。
というのを目にしたことがあった。
それを思い出して実践したのだ。
正直成功するかの不安はとてつもなくあったのだが、とりあえずは成功したようでよかった。
「よくわからん『投げナイフ』とか言うスキル役に立った。良かった〜。」
ホッとしたのか体から力が抜けていく。
「さてさて、ドロップ品は何かな〜」
ドロップ品は、『ジャイアントベアーの毛皮』、『ジャイアントベアーの肉』そして『38000G』だった。
「さ、さんまんはっせん!?こ、これはすごいぞ!!」
「レベルが4上昇しました。スキル『跳躍』を獲得しました。称号、『クマキラー』を獲得しました。」
「クマキラーって、ネーミングセンスよ!まあそんなことはどうでも良くて、一気にスキル4も上がるのはありがたい!」
レベルは高くなればなるほど上がりにくくなる。
今のレベルで一気に4上がるのは結構でかい。
「で、このスキル跳躍?ふむふむ。高く飛べるのか。これは便利かもしれない。縦の移動とかが便利になる。私一回木の上ぴょんぴょんとかやってみたい!使えるぞ!」
ちょっと使ってみた。
「うぉほ~、こりゃすごい!結構飛べるもんだね!!」
ぴょんぴょんぴょ〜んと木の枝と枝を飛び回る。
「これ戦闘とかでも使えるかも!ありがたい!」
木を巧みに使いながら戦う自分の姿を想像してニヤニヤするユウヒであった。
帰り道、適当に設定画面やシステム画面を見ていたら、『マップ』が存在するのに気がついた。
「なにこれ!ちょっと、あるなら先に教えてほしかった。」
そのマップ上に村の名前が表示されていて、自分が始まりの村とよんでいた村は『ヒメナ村』という村だったようだ。
そしてこんな文字を発見した。
「ワープする......。あああぁぁぁぁああぁ!!私の時間返せ!!!」
過去一番の大声を上げたのだった。
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