昔は良かった。

昔は良かった。

──昔は良かった。

私は今を生きていて常々思う。今より昔の方が良かったと。

昔はちゃんと伝えたいことがあれば面と向かって話をしていた。機械なんて頼らずに。顔や仕草…その人の特有の色を見てこそ自分や相手の気持ちが伝わるのだ。

昔は機械じみた遊びなんてなかった。でも、楽しかった。鬼ごっこやかくれんぼ、体ひとつでも十分に楽しめていた。

昔は空が見えていた。しかし今はどうだ！！建物が邪魔して見えていない！！

昔は良かった！！！昔で十分でだったのだ！！今は利便性を尊びすぎなのだ！！今の若者は知らない。空の美しさを！！

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「違反者ヲ発見シマシタ。告グ。今スグ指定サレタ ポッド ニ 戻リナサイ。」

「あぁ…クソ！！見つかったァ！！でも間に合うなこれ！！急げ急げ…よし！！！じゃあな無機質なゴミ共！！」

私はタイムマシンのある部屋に入り扉をロックする。タイムマシンで向かう先は過去。

今…西暦3000年はクソだ。シンギュラリティを超えたり。さらに宇宙の暗黒からあらゆる物質を生成する技術を手にしたり。そりゃ急発展したわ。"機械"が。

人間はどうしたって？？？今はクソデケェ無機質の建物の中、並んだポッドに入って管につながれ寝てらっしゃるよ！！

いやぁ…すごいね！！なんと不老不死なんだぜ！！20歳くらいの見た目でずっっっっと寝てる！！食事も排泄も機械がしてくれる！！

なんなら勝手に精子採取して子宮に流しこんでくれるぜ！！人類なんもしなくても人口増える！！

本人たちはメタバース？っていうのかな。脳みそに直接映像やら流し込まれていい夢見てるよ。

人工知能くんたちは人類の繁栄の役に立たなければいけないという制約を守りながら人間の上に立ったわけだ！！

冗談じゃねぇ…こんなの生きてるって言えるかよ。私は死に物狂いで仮想空間からでようとした。頑張ってバグ見つけようって壁向かってずっと歩いたり。コップ拾って落とすを繰り返したり。ようやくバグって戻って来れたんだ。

あいつらは制約で過去には行かねぇ。

「Goodbye！！今！！俺は過去で生きる！！」

タイムマシンを起動した。

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走る…

走る…

走る…

クソクソクソクソクソ！！！

私を追ってくる…

めちゃくちゃデカいトカゲ…恐竜が！！！！

戻りすぎた！！

確かに生きてるって感じはするけどさ！！

こんなんで死ぬのは嫌だぞ！！！

「あぁ。くそ！！未来の方が良かった！！！！！」

空は木々に隠れて見えやしねぇ…