第6話 俺が死んだ日
僕は……いや、俺は生前地球という星に住んでいた高校生だった。そして死んで、俺は転生したのだろう。最後の記憶は通学中のことだった。
朝一で一人気ままに通学していた無害で模範的な俺は、突如として金属バットを持った三人の男子に囲まれ人通りのない裏路地に連れ込まれた。制服からして別の高校のヤツだ。
「おいおい
「ウチの後輩達が世話になったな!」
「先輩への礼儀ってものを教えてやるよ!」
大声でわめき散らしながらすごむ他校の三人組。薄暗い裏路地へなんて誰も助けにくるはずもない。このままでは怪我人がでてしまうような事態になるだろう。
その怪我人は……こいつらだが。まあ俺にとっても誰にも見られていないのは都合が良い。
「お前らに良いことを教えてやろう」
「「「あ?」」」
惚ける馬鹿共に天誅を下すべく一息で接近した。
「タラバガニ!!」
「ゴフッ!?」
一人の顎を殴り上げ。
「ズワイガニ!!」
「アバラッ!?」
次のヤツの顔面に膝を叩き込み。
「タカアシガニ!!」
「ヌンボラ!?」
最後にヤツはジャーマンスープレックスでコンクリートに
「実はタラバガニは……ヤドカリの仲間だ」
「「「ど……どうでも良い……。ガクッ……」」」
「また馬鹿共に雑学を与えてしまった。……あいつらが知能を身につけ更正する時も近いな」
不良を返り討ちにして、模範的な学生として学校への道をのんびり進む。
いつも通りの平和な朝だ。
と思ったんだが……正面から来てる車、早いな。これ、突っ込んできてないか?
案の定、正面から車が突っ込んできたので飛び越えるようにジャンプして避ける。少し飛距離が足りなかったので空中で体を捻って天井を殴りつけて距離を稼いだ。拳の形にへこんだ天井が視界を流れていき、大ジャンプをした俺が着地するころには車は電柱に衝突していた。
いつも通りの平和な……いや全然いつも通りじゃねえわ。
煙が吹き出す車を呆然と見つめる。
とりあえず乗っていた運転手を車から出す。顔をぺちぺちしても反応がなく、気絶しているようだったので車から離して寝かせ、警察に通報した。呼吸は普通。命に別状無し。
「……なんなんだ」
これは遅刻確定か? 流石に情状酌量の余地有りだろ。
警察が来るまで待っていようと転がっていたタイヤに座っていたら、なにかに罅が入るような音が。
「あん?」
音の方へ目を向ければ、狙ったように俺の方へと電柱が倒れてくるのが見えた。ふざけんな。
とりあえず横に避けようとしたところで、電柱が倒れる先に小学生辺りの子供が歩いていたのが目に入る。マジふざけんな。見捨てるのも夢見が悪いと思い、全速力で駆け寄り、抱きかかえてそのまま離脱。怪我人無し。
「わー!! おにーちゃん凄い!! もっかいやって!!」
「二度とやるか馬鹿野郎。とっとと学校行けガキンチョが」
ポケットに入れていた飴を渡して追い払った。妹にやるぶん持ってて良かったわ。
……なんだか疲れたな。今日は死ぬほど運が悪い。流石にもう何もないだろうとため息を吐いていると、足下に変な感触が。
「あん?」
どうやら水が押し寄せていた様だ。電柱が倒れた先に消火栓があったのでそこから漏れたのだろう。ウチは革靴ではないので普通に浸水して靴下までびっしょりだ。
ついてない。本当についてない……。ため息を吐こうとした所で、倒れた電柱から伸びている電線がバチバチ発行しているのが見えた。そこに水が進んで行くのが見え、これは非常にマz――――――
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □
そこで俺の記憶は終わっている。
まあ十中八九感電して死んだんだろう。
……なんでだよ。今思い返しても理不尽がすぎる。俺普段は運が良いんだが……。
まあ考えるのは後で良いか。今は高見から見下ろすこいつをどうにかするのが先だ。
「ライム、しっかり捕まってろよ」
「きゅ!」
「よし、良い子だ」
ライムから熊へ視線を動かせば、綻ぶような笑顔から自然と口元が割けるような凶相に変わる。まるで王か何かのようにこちらを見下ろす熊に向けて、腕を突き出して親指と中指を押し合わせる。
「獣風情が―――図が
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