第53話救う手立て

じっと四方堂義経は僕の目を見る。どうやら彼はなにか思案しているようだ。形のいいあごに手をあて数秒ほど考える。そして口を開く。

「涼香がデザインベイビーだというのは聞いてるよね」

義経はある程度考えたあと、そう言う。

「ええ、涼子さんに聞いたことがあります」

僕は答える。

五丈原涼香は遺伝子改良して生まれた子だと以前涼子さんが言っていた。彼女が不思議な能力が使えるのはそれが起因しているのだろうか。

「ここにいる四人もそうなのよ」

ちらりと後ろに控える明日香、キララ、美神、悠亜の四人を見る。四人の個性的な美少女はそれぞれうなづく。

それはなんとなくだが、理解できる。

明日香やキララの並外れた身体能力は遺伝子改良した結果だと言われればそうだと思われる。それに美神なんかは魔法に近いことをつかえるようだしね。

「彼女らは……」

義経はそこで言葉をくぎる。

「いいかい、七輝星君。よく聞いてね」

義経は僕の眼をみつめる。

「明日香ちゃんたちはある一人の女性の卵子に僕たち五花族の当主たちの精子を受精させて生まれたの……その女性の名前は降神豊与子おりかみとよこ

義経は言った。

その女性の名前を聞き、僕の体に電撃のようなものがはしる。僕は沖ノ秋菜さんの手を強く握ってしまう。

「どうしたのじゃ、知っている人なのか?」

秋菜さんが上目遣いできく。

本当に35歳とは思えないぐらいにロリかわいいな。思わず激しく愛しあった昨晩を思い出す。

「その降神豊与子おりかみとよこは僕の母さんと同じ名前なのです」

僕は言った。

その名前は母さんの旧姓だ。母さんは僕の祖父母の種子島家に養子に入り、種子島豊与子となり僕を生んだ。

「そう、その降神豊与子はミセステスラの創始者の一人だよ。それと七輝星君、君は父親の存在を知らないよね」

義経は言葉を選びながら言う。

確かに僕はシングルマザーの家にそだった。それは前の世界でもそうだった。物覚えついたときから父親はいなかった。勝手に病死か事故死したものと思っていた。


義経は小さく首をふる。

「君に父親はいない。君は降神豊与子さんだけから生まれたのだ。ミセステスラの超科学技術により、女性だけから生まれたのだよ」

再び僕の体に衝撃がはしる。

確かに父親の存在はいっさい感じたことはない。それもそのはずだ、もとからいないのだ。感じるはずはない。

僕は勝手に息があらくなるのを覚えた。

心臓の鼓動が勝手に速くなる。


「降神豊与子はわかりやすく言えば、超能力のようなものを持っていた。その彼女の卵子を使い作られたのが、明日香ちゃんたちなんだ。そして異世界から来た僕たちもそれぞれ特殊な力をもっている。僕がメフィスト、君がジャック・オー・ランタンの力をつかえるようにね」

義経は説明する。

「普通では考えられない能力をもった子供たちに次世代を担わせる。それがミセステスラの目的の一つだ。世界の目的の一つだよ」

義経は言った。

はからずも世界の目的の一つを知ることができた。でも義経は一つといった。ということはそれだけではないということだ。他にもあるということだ。


「さて本題だ。君のもつリルガミンの宝珠を使えばこの眠る五人の女性たちの内世界インナーワールド精神潜水サイコダイブすることができる。しかし、その内世界インナーワールドはとてつもなく広いと考えられる……」

そこまで聞き、僕は理解した。

「四人の中の誰かと行けばその助けになるということなのですね」

僕は言った。

僕の母親の卵子を使い生まれたこの四人は特殊な力をもつという。そして涼香も特殊な能力をもっている。彼女らは姉妹であり、そして僕の妹たちなのだ。

「君とこの四人が協力すればその内世界に逃げた涼香を見つけることができるだろう。あの内世界の解除方法は彼女だけが知っていると思われる」

話の道すじが見えてきた。

僕たちが白たちが閉じ込められた世界に赴き、解放するのだ。そうやってこの眠りから目覚めさせるのだ。逃亡した涼香からその方法をききだしてだ。


「なるほどの。しかし、人の精神世界に潜るのはとても危険じゃ。よほどの術者でなければ難しい。こころして行かれよ、旦那様」

秋菜さんはぎゅっと僕に抱きつく。

僕は彼女の小さな頭を撫でる。

そして別の部屋に保管していたリルガミンの宝珠を三千院キララが持って来た。

彼女はあの魔女の闘衣に着替えていた。この魔女の闘衣はキララの体にぴったりとはりついていてその抜群のプロポーションがきわだっている。しかもその推定Gカップのおっぱいの乳首が立っているのがはっきりとわかる。はっきりと言って裸よりもエロく思う。でもついさっきわかったことだけどキララは父親違いの妹なんだよな。

「わたくしも白ちゃんみたいにお兄ちゃんってよぼうかな」

うふふっと妖しい笑みを浮かべ、僕の腕にむにっとおっぱいをおしつける。

「兄妹の禁断の愛ってよくないですか」

キララは言った。

確かにエロゲやエロ漫画で妹ものは大好物だ。でもさすがに自身がそうするかは別の話だ。気がつけば間に明日香が入り込んでいた。彼女の両の腰には南斗北斗の短剣がぶら下がっている。

「エロキララ、今はそんなことをしている場合じゃないでしょう」

と明日香がたしなめる。

「お兄ちゃんって私も呼びたい……」

うっとりとした顔で美神は言いう。

「じゃあ私はお兄さまとよびますわ」

青い瞳を潤ませて悠亜が言う。

四人はなんだか嬉しそうだ。僕もこんなにかわいい美少女たちが妹になって嬉しいかぎりだ。あっでもエッチなことはできないか。それは残念だな。

「今の技術なら近親相姦でできた子供でも安全にうむことができますわよ」

キララがさらにむにっとおっぱいを押しあてる。

そ、そうなのか。なら彼女たちが大人になったらエッチなことしてもいいのかな。

「キララ、本当に今はそんなところじゃないわよ」

義経もたしなめる。

「は~い」

とキララはぷっと頬をふくらませる。いちいち仕草がかわいいな。


「じゃあ、七輝星君さっそくだけど誰の内世界に潜る?」

義経はきいた。

「そうですね、まずは白の内世界に行きます。魔術が使える彼女を最初に連れ戻したい。きっと他の四人を助けるさいに役にたってくれるはずです」

僕は答える。

「そうね、僕もそう思うわ。僕の能力である素晴らしき世界を使えば君ともう一人を無事に白ちゃんの世界に送り届けることができるわ。じゃあ、誰と行くかしら?」

義経はきく。

「ではキララおねがいするよ」

僕は腕におっぱいをぐにぐにと押しあてているキララの目を見る。彼女はぽっと頬を赤らめる。

「ご主人様、キララがんばる!!」

吐息もあらくキララは言う。


「それでは僕の手を握って」

義経が言う。僕は彼の右手をキララが左手を握る。僕の余った手のリルガミンの宝珠が光輝く。さらに白のちっぱいに突き刺さったパルテナの鏡もまぶしく輝く。目を開けていられないほどだ。

「七輝星君、御武運を!!」

義経が言った。



次にまぶたを開けたとき僕とキララは中世ヨーロッパ風の異世界に来ていた。

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