第38話意外な敵

ログアウトした僕たちは麻季絵さんが作った晩御飯で空腹を満たす。

ビーフシチューにサラダ、それにガーリックトーストか。ゲームをぶっ続け、しかも夢にまでみたフルダイブタイプを八時間もプレイしてお腹はペコペコだ。

僕たちはむさぼるようにご飯を平らげる。

十六夜少年もペロリとシチューをたいらげる。

彼の旺盛な食欲っぷりに春風さんはうれしそうだ。昨日までは顔色も悪く、ずっと震えていたけど今晩はかなり体調もよさそうだ。やっぱり元気になるには食べなくてはね。麻季絵さんの料理はおいしすぎるので疲れも吹っ飛ぶよ。


彼らはお風呂に入ったあとすぐに休むという。


僕も疲れたので、お風呂に入ったあとすぐに寝ようと思う。けどすぐには寝させてもらえないようだ。タオルで体をふいているとあやの先生があらわれる。

僕の手からタオルを受けとるとていねいに体についた水分をふきとってくれる。

僕の下半身にたれさがる分身はことさらていねいにふきとってくれた。

はーさっぱりするな。

「ねえ、あのゲーム楽しかった?」

あやの先生はきく。

そのJカップのロケットおっぱいを僕の胸におしつけ、ブチュッとしかもねっとりと大人のキスをする。

「ええ、とても。ずっとあの世界にいたいっておもうほどにね」

僕もあやの先生の大人のキスに答える。あやの先生の唇は美味しい。

僕の下半身が如実に反応してしまう。それをうっとりとした眼差しであやの先生はみつめる。

「愛しの君、私を愛してくれますか?」

あやの先生は抱きつき、Jカップのふわふわマシュマロおっぱいをおしつける。

急にどうしたんだろうか、あらたまって。僕はあやの先生が大好きだ。むちゃくちゃエッチな体をしているし、本人もエッチ大好きだしね。貞操観念逆転をもっとも体現している人だ。それに優しくて、美人だしね。


「もちろん、僕はあやの先生好きですよ」

僕は正直に言う。

あやの先生は秀麗な顔に笑顔を浮かべる。

この後、あやの先生の部屋で僕たちは深く、激しく愛しあった。こんなにもでるのかというほど、僕はあやの先生に愛情を注ぎこんだ。

あやの先生の体はどんなに探し尽くしてもみつけきれないほどの宝がある。まさに宝島だ。あやの先生もそれに答えるように僕の腕のなかで乱れに乱れた。僕たちはお互いの体を使い快楽をむさぼりつくす。僕はあまりの気持ちよさに疲れはて、あやの先生のJカップおっぱいに頭をおしつける。

はー気持ちいい、もう一滴もでないや。

あやの先生は赤ちゃんをあやすように僕の頭をなでなでしてくれる。

これは安心するな。それに気持ちいいし。マザコン気質のある僕は女性にこうされるのが大好きなんだよね。


「愛しの君、何があっても私を捨てないで……」

あやの先生は僕を逃がさないようにその長い手足で僕を抱きしめる。

本当にあやの先生どうしたんだろう?

あやの先生みたいにエッチで優しい人を僕が手放すわけないじゃないか。

僕はその時見た、あやの先生のご自慢の巨乳に刻まれた淫紋が変化するのを……。

絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたように変化し、とあるデザインへと変化する。

それは上半身は美しい女性で下半身は蛇の怪物であった。たしか蛇の妖女ラミアだったかな。かつてゼウスの愛人であった美女が妻のヘラの怒りをかい呪いをうけたとかだったかな。神様も身勝手だよな。愛したのならちゃんと責任をとらないと。


ゲームの疲れとエッチの疲れのダブル攻撃に耐えきれなくなった僕はあやの先生の極上の柔らかさを誇る肉体を抱きしめて眠りについた。



翌朝、朝ごはんもしっかり食べた僕たちはまたあのゲームを再開する。

「今日はできれば中階層を突破したいですね。実は中階層の最上階は僕はまだ未到達なんです」

十六夜少年は言う。そのフロアの敵はかなり強敵でソロプレイでは突破できないという。


僕たちはログインする。

目の前にまたあの中世ヨーロッパを意識させる景色が広がる。

まず武器屋や道具屋で旅支度を整える。

しかしこの景色は本当に仮想世界のものだろうか。まったく本物のような感覚だ。道を行く人々も本当の人間だ。

「ここは共通意識世界に構築された疑似世界。いわば人類全員で見ている夢みたいなものだよ。人類発祥からたまりにたまった心のエネルギーでつくられた世界なんだよ」

肩にのる白猫の白がそう説明する。

昨日の冒険で白が得た結論だというのだ。

わかるようなわからないような説明だな。

ここが異世界だってのはわかるけど。



僕たちはリルガミンの塔に登る。

下層エリアは難なく突破する。

11階層からがいわゆる中階層と呼ばれるエリアだ。

確かに格段にモンスターのレベルがあがっている。

怪力のオークが棍棒を振り回し、僕たちに攻撃する。

僕はその攻撃をかわし、腹部に斬撃をくわえる。しかし、その腹部はたっぷりとためられた脂肪のため、それほどのダメージを与えられない。

十六夜少年が火玉による連続攻撃をする。

さらに明日香が背後にまわりこみ、短剣を首にさす。

キララがモーニングスターがさらに頭部に追い討ちをかける。

とどめに僕がオークの心臓にカシナートの剣を突き刺す。この剣は騎士ギルバートの愛剣だったものだ。

見事に僕たちはオークを倒す。

この後もオークの群れや幻惑攻撃をするサキュバス、闇落ちしたウイザードの群れを撃破していく。

かなり強い敵たちであったが、僕たちは連携してそいつらを撃破した。

レベルも面白いようにあがっていく。

すでに地上から二十階のフロアに到達している。


僕たちはある玄室の扉の前にいた。その扉は魔法で封印されている。その扉を開けるには蜘蛛の鍵が必要なのだ。その鍵は一つ下の階でキングスパイダーを倒した時に手に入れている。

「どうやらこの玄室には中階層を守るモンスターがいるとおもわれます。僕の探索サーチの魔法がかなりの魔力反応をしめしています。あの騎士ギルバートの数倍の力があるでしょう」

十六夜少年は言う。

とはいえここで引き返す選択肢は僕たちにはない。今日の目標は最低でもこの中階層を突破することだ。


僕たちは蜘蛛の女王の鍵を使い、その玄室の扉をあける。

ギルバートがいた部屋のように広さはテニスコートぐらいだろうか。

部屋の真ん中に複雑怪奇な魔方陣が描かれている。


「何かきますわ」

キッとキララがその魔方陣をにらみつける。


「な、なんなのあれは……」

その光輝く魔方陣を見て、明日香も珍しく驚愕する。


「こ、これはどういうことでしょうか……」

この冒険で常に冷静沈着な十六夜少年も驚きを隠しきれない。


僕もはっきりと動揺した。

その魔方陣から出現したのは巨大な蜘蛛のモンスターであった。蜘蛛の体は下の階で遭遇したキングスパイダーとほぼ同じぐらいの三メートルはある巨大なものであった。

そしてその蜘蛛の体に人間の上半身がついている。蜘蛛の体は醜悪だったけど上半身の女性は絶世の美女だ。艶のある黒髪に秀麗な顔だち、形のいい乳房。

僕はこの上半身の女性を知っている。

僕がはじめて愛情を注ぎこんだ女性だ。

その上半身の女性は涼子さんに間違いない。


どうして彼女がこのゲームの世界にいるのだ。疑問が頭の中をかけめぐる。


「プログラムリルガミンへの侵入者を発見しました。機密保持のため、これより侵入者を排除します」

冷たい、機械的な声で上半身が涼子さんのモンスターはそう言い、僕たちに問答無用で攻撃を開始した。

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