第35話六波羅清盛の遺言

フロッピーディスクなんて代物がこの世界にまだあったのか。机の上に並べられたプラスチック製の記録媒体を見て感慨深い気持ちになった。大学生のときにレトロゲームのショップで見たきりだな。

「えっフロッピーなんてまだあったの!!」

国防軍の情報技術将校でもある白も驚いている。


「そうです、このシナリオとMSXスーパーターボがなければリルガミンへのアクセスコードである宝珠を手に入れることができません」

十六夜少年は言う。

世界の目的を知るには聖剣グラディウス、リルガミンの宝珠、パルテナの鏡の三つにアクセスしないといけないと五崎義孝は言っていた。

僕の目の前に置かれたその古いパソコンとフロッピーディスクがリルガミンにアクセスするために必要なアイテムなのだと十六夜少年は語る。

「このゲームの中にアクセスコードが存在します。それはリルガミンの塔の最上階です。ただしこのゲームをプレイするのに必要なのがグラディウスのコントローラーなのです」

十六夜少年はさらに説明する。

つまりあの五崎義孝からはからずも譲り受けたあのコントローラーがなければリルガミンへのアクセスコードを知る術はないのだ。

二つ目のコンピューターにアクセスするのはなかなかに厄介のようだ。

「そして僕も兄からそのグラディウスのコントローラーを譲り受けています」

そう十六夜少年は言い、僕にグラディウスのコントローラーを見せる。


「このゲームは僕一人ではクリアできませんでした。種子島さん、あなたの力が必要なのです。兄は死の間際に言いました。この世界の目的を成し遂げさせてはいけないと。それが兄の遺言なのです。僕はあのようなひどい目にあった兄の無念をはらしたいのです。そのためならなんだってします」

ゼエゼエと荒い息を吐きながら、十六夜少年は言う。


この世界の目的とは何か?

おそらくそれを知っていて、その目的に反対したから六波羅清盛は殺されたのだろう。十六夜少年には兄の無念をはらす力量はないと思われ、放置されたのだ。

事実、彼はそれをなしとげていない。それどころかその事件から心に深い傷をおい、まともに外に出歩けないでいる。この屋敷を訪れるにあたりどれほどの決意と勇気が必要だったのだろうか。



十六夜少年の従姉妹にあたる小豆春風さんのことはしばらくの間棚上げにしたいと思う。

この世界の目的を知ることは僕の目標でもあるのでそちらは叶えたいと思う。

しかし、本当にその目的ってのは何なのだろうか?

皆目見当がつかないな。

「わかりました、今日はもう遅いので十六夜さんたちは部屋を用意するのでそちらにお泊まりください。安心してお休みください。ここにはあなた方を害する人間は一人もいませんから」

僕は彼らに言った。

そのリルガミンの塔を攻略するにしても今すぐというのは正直きつい。一晩休んでからでもいいと思う。


僕の申し出を十六夜少年たちは受け入れてくれた。僕は明日香とキララに彼らの休むための部屋を用意するように頼んだ。彼女らはてきぱきと用意をしてくれ、まるで高級ホテルの一室かのように部屋を片付けてくれた。僕はお礼に二人にハグをする。そうすると彼女らは耳のさきまで赤くして喜んでくれた。



僕はシャワーを浴びたあと、涼子さんの部屋を訪れる。またあのエロいネグリジェで出迎えてくれる。しかし、本当にエロいな。うっすらとおっぱいのきれいな突起が見えるじゃないか。あやの先生やみゆきさんたちのような巨乳もいいけど涼子さんの手のひらぴったりサイズのおっぱいもまた格別だ。

その美乳を見てたら、僕の手は勝手に動いてもみもみしていた。なんていたずらな手なんだ。

意思とは関係なく女性のおっぱいを揉むなんて。

「なに、あなた、どうしたの?」

涼子さんは長い手を僕の首に絡めて何度も大人のキスをする。

「十六夜君たちのことを相談したくてね」

僕は言う。


彼らの処遇をどうするか?

突然の難題に僕は頭を悩ませる。当然、僕一人では答えがでないので人生経験豊富な涼子さんに相談しにきたというわけだ。

けど涼子さんのエッチなネグリジェ姿を見たら、下半身が我慢できなくなったので賢者に戻るためにまずは夜のお相手をしてもらうことにした。

「いいわよ♡♡あなたきて♡♡」

ゆっくりと焦らすようにネグリジェを脱ぎ、涼子さんは女豹のポーズをとる。

うわっなんていやらしい肉体だ。プリプリとしたヒップが僕を虜にさせる。


僕は後ろから涼子さんを思いっきり愛した。何度も何度も愛情を注ぎ込み、僕は涼子さんからとめどなく快楽をあたえられる。

このポーズ、すごくいい。

なんだか涼子さんを独り占めしている気分になる。独占欲と征服欲を満たされ、快感は何倍にもなる。

涼子さんもリリムの紋章の能力を使い感度をあげているようだ。

「し、白ちゃんにきいたけどこれすさまじいわ♡♡三千倍なんて体験したらもうあなたから完全に逃れられないわ♡♡涼子は身も心もあなたのものよ♡♡」

涼子さんは後ろから僕に抱かれながら何度も女性としての快楽を味わいつくした。


ぐったりとして僕は背中から涼子さんを抱きしめる。

あれっ涼子さんの背中の淫紋が変化しているぞ。絵の具を混ぜたようにぐちゃぐちゃになり、やがて一つの姿になる。

その姿は上半身は美しい女性で下半身は蜘蛛という姿だ。たしか伝説上の妖魔アラクネだったかな。白が長靴をはいた猫ケットシーを守護霊獣にしたように涼子さんは蜘蛛の魔女アラクネを守護霊獣にしたのだ。



「それであなたは十六夜君の願いをきいてあげるの?」

事後の余韻にひたりながら大人のキスを繰り返し、涼子さんはきく。

「そうだね、僕も知りたいんだ。この世界の目的っていうのを」

僕は言う。

これは完全に僕の好奇心からだが、やはりこれは知りたい。どうしてこの世界がこのような状態になったのかを。

「わかったわ、あなたのこと私たちが守ってあげる。あなたを六波羅清盛のようにさせないわ」

涼子さんは言い、ちょっと痛いほど僕を抱きしめた。

激しく愛しあい、疲れきった僕と涼子さんは抱きしめあいながら深い眠りについた。

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