第33話グループの名はザ・シード

パーティーは盛況に終わった。皆でおおいに食べて飲んで、歌って踊って。キララと明日香で交互に僕の手をとり、ダンスを踊る。

涼子さんと毎日ウォーキングして体力作りをしていたけど、けっこうつかれたな。でもめちゃくちゃ楽しかった。

キララと明日香とはまだエッチなことはしないけどこうやって一緒に楽しいことをするのも悪くはないな。二人は見惚れるほどかわいい美少女だしね。


八丈美冬さんとお酒をのみかわしたりもした。僕はお酒はほとんどのめないけど、ちょっとくらいならつきあえる。梅酒の水割り一杯が精一杯だけどね。

「なあ、若旦那、いい機会だし言っておこうとおもんだけどアーシらをまとめる存在になってほしいんだよね。若旦那にはその才能があるとおもうんだ。ほら、ここにいるみんな楽しそうだろう」

くはっーとビールを一気飲みして美冬さんは言う。酒豪の彼女は水のようにビールを飲んでいく。いいのみっぷりだな。見ていて惚れ惚れする。

たしかに美冬さんのいう通りここに集まった人たちは本当にたのしそうだ。白なんかはみゆきさんに野球拳をいどみ、みゆきさんは下着だけの姿になっている。

みゆきさんの下着姿は本当にエロいな。また夜の相手を頼もうかな。


「そうね、あなたは言うなれば将の将になれるとおもうのよね。ここに集まった人はそれぞれに個性も才能も素晴らしいものを持っているわ。でもそれは個人レベルなのよね。まとめる人が必要なのよ。あなたにはその旗頭になる才能があるとおもうのよね」

ウイスキーの水割りをぐびりと涼子さんは飲む。彼女もかなり酒が強い。まったく顔色がかわっていない。

涼子さんそれはひいき目だよ。僕は僕自身がそこまでの人間だとは思えない。

ただただかわいくてきれいな女の子とイチャイチャとエッチなことをしたいだけなんだけどね。そのために魔女ジャックに頼んでこの世界にきたのだから。

でも、でもだ。

ここに集まった人は少なからず僕のことをしたってくれている。それは魅了の力もあるかるかも知れないけどだ。この能力も僕の一部だ。僕ときってもきれない関係だ。この能力を使いハーレムにいれたのなら、僕にはある種の責任がある。

社畜として働くのはしんどくて嫌だけどこの人たちのためなら精一杯働きたい。


「そうだね、せっかくこの屋敷に集まってくれたんだものね。僕たちはチームでありグループでありファミリーなんだよね」

僕は自分自身に言い聞かせるように言った。


本格的は活動は年明けからになると思う。

まずは僕のグループの名前だ。チーム名ともいっていいだろう。

その名前は「ザ・シード」だ。僕の名前の種子島のシードという文字をとった。

まずは医療部門としてあやの先生と涼子さんが診療所を開く。

飲食部門は麻季絵さんが低所得者向けのレストランを開く。この二つはほぼ慈善活動にちかい。

配信などのエンタメ部門は白が統括する。白は書類関係もこなすのでけっこう大忙しになるぞ。ここはコンスタントに収益をあげてきている。いい軌道にのってほしいものだ。またゲーム配信もしよう。そして白にお礼のエッチをしてあげよう。


保安部門のリーダーはみゆきさんだ。

明日香からもらった四方堂武装警備保障の株式はほどなくして四方堂本家が買い戻しに来るだろう。ここは彼らの言い値で売ろうと思う。その売却資金で新たに飛鳥武装警備保障を設立する。

明日香の文字を変えて飛鳥とする。飛ぶ鳥と言う意味もある。四方堂武装警備保障にいた何人かの警備員は僕のもとに来たいといっているらしい。あの戦闘で僕の能力にひかれた人たちだ。この人たちを集めて会社を設立しようと思う。

さらに八丈美冬さんが僕のグループにはいることになる。美冬さんの会社である八丈興業とも提携を結ぶ。彼女らとも仲良くやっていかないとね。そして時々だけど美冬さんは麻季絵さんのレストランを手伝いたいといってくれた。美冬さんの料理もけっこう美味しいし、子供なんかは喜んでくれると思うんだよね。とくに屋台のメニューなんかがいい味しているんだよね。

それに美冬さんの会社は今のところこのグループでの大きな利益をあげる数少ない存在だ。

そして僕の身の回りの世話や護衛はキララと明日香に頼むことにした。彼女らとは敵対していた存在の出自だけどそんな彼女らを身近におくことによって僕がどんな人間でもこのグループに入れば心から信頼するという証拠になるだろう。

これは年明けから忙しくなりそうだぞ。でもやることが増えて楽しくなりそうだ。社畜でいやいや働くのは嫌だけどこうやってみんなと楽しくなるために働くのは苦にはならない。



年があけてザ・シードが本格的に始動しだしたある日の夜のことだ。

僕の屋敷にとある訪問者があらわれた。

その人物は小柄な美少年であった。

そう美少女ではなく美少年だ。

その美少年は黒いコートに黒い帽子を目深にかぶった女性に連れられていた。

その女性の顔が驚くべきことに縫いあとだらけだった。とくに左の額から右のあごにかけて大きな傷あとがある。おそらくだけどその傷あとを目立たなくするために帽子を深くかぶっているのだろう。

「はじめまして種子島さん。僕は六波羅十六夜ろくはらいざよいと申します。六番目の十六夜が僕です」

その美少年はふるえながらいった。その美少年の震える手をその縫いあとの目立つ女性はそっと握る。十六夜少年は女性にありがとうと言う。

「私は小豆春風あずきはるかぜともうします。十六夜様のお世話係をしております」

その女性の声は美しかった。

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