第25話三千院キララ登場
この世界の目的とはなんだろうか?
聖剣グラディウス、リルガミンの宝珠、パルテナの鏡の三つを集めればそれは解けると五崎義孝は言った。
これは気になる。
この世界が男女比1対10000になった理由ということだろうか。ということは七日病が発生し、蔓延した理由ということでもあろう。
自然に病気が世界のどこかで生まれて流行したのでないとすればどうだろうか。
もしかして誰かの意思でその病気が蔓延させられたとしたら。
その意思は誰なのか。
その答えを知る術が義孝が語った五花族が持つ三つのコンピューターにアクセスすることなのだろう。そしてその手段が三つの宝物を集めることなのだ。
せっかくこの世界にやってきたのだ。謎解きも面白い。僕の好きなゲームみたいだ。
解きほぐしてやろう。
「本当に世界の目的を知るの?それはアンタッチャブルかもしれないわよ」
この日の夜のお相手であるあやの先生だ。ひとしきり愛しあったあと事後の余韻にひたりながら僕は今日の出来事を彼女に語った。
そしてあやの先生は思いだしたかのように僕にキスをする。
彼女の柔らかな唇は心地よい。
「ねえ、私の愛しの君。こうやって私たちと毎日愛しあう生活じゃだめなの」
あやの先生は言う。
白がお兄ちゃん、涼子さんがあなたと呼ぶようにあやの先生は僕のことを愛しの君と呼ぶ。時代がかった呼び方だが、良い響きだ。
あやの先生は僕がずっと眠っていたときから僕のことを好きでいてくれた。こうして目覚めて何度も愛しあうようになり、それで十分じゃないのと彼女は言う。
世界の目的なんか知っても仕方ないじゃない。こうやって毎日気持ちいいことしていたらいいじゃない。
あやの先生は言い、僕を抱きしめ、その豊満すぎるおっぱいで顔を挟む。
柔らかくて温かくて気持ちいい。
存分に愛しあい、疲れたので眠気がおそう。僕はそれに負けてあやのさんのおっぱいに包まれながら眠ることにした。
「愛しの君は世界と私たちどっちを選ぶのかしら……」
あやの先生は言い、彼女も眠る。僕のことを離さないように強く強くだきしめる。ちょっと痛いほどだ。
でもこれはそれだけ僕が愛されているということだ。
そう思うと気持ちよくて、穏やかに眠れる。
僕は両手をのばし、あやの先生のスーパーグラマラスな肉体を抱きしめて眠りについた。
翌朝、朝食を食べていたら転がるように僕のもとに白が駆け寄る。
「三千院家の人がこの屋敷にやって来るよ」
三千院家はこの国の権力を握る五つの家門のうちの一つだ。
白の話ではその三千院家に連なる人間が正午ごろに訪問したいとアポイントメントをとってきたという。
「嫌がらせの次は懐柔策かもしれませんね」
涼子さんが好みのブラックコーヒーを飲みながら言う。
「もし危害をくわえるようなら全力で排除します」
妙な方向にみゆきさんははりきっている。
僕はこの訪問を受け入れようと思う。
話はそれからだ。
向こう側がどのような提案をしてくるか。
ようは相手の出方次第だ。
この後、僕は涼子さんに髪をきってもらい、髭をそってもらう。涼子さんは理容師の資格ももっているのだ。
はーさっぱりしたな。
次に頭も洗ってもらった。入院しているときに何度かやってもらったが毛穴まで洗ってくれて本当にさっぱりするんだよな。
髪をかわかし、新品のワイシャツに袖をとおす。スーツに着替えて、ネクタイを涼子さんがしめてくれる。
スーツなんて着るのは社畜時代以来だ。あのときのスーツはよれよれで疲れていたがこのスーツはジャストサイズでぴったりしている。
さすがはオーダーメイドだ。あしらえておいてよかったよ。
「ダーリン素敵♡♡」
「お兄ちゃんかっこいい♡♡」
「あなたハンサムね♡♡」
「とても似合っているわ愛しの君♡♡」
皆ベタ褒めだ。そんなに褒められると照れるな。
「マスターそろそろお時間です」
みゆきさんは僕をマスターと呼ぶ。そう呼ばれると支配欲を満たされていい気分だ。
「マスターお美しい♡♡」
みゆきさんもやっぱり褒めてくれる。
鏡でみる僕は清潔な感じはするがそこまで美青年かなとは思うんだけどね。でも褒められて嫌な気分はしない。
と言っていたら三千院家の代表の人間がやって来た。
僕は応接間でその人物を待つ。
奥で麻季絵さんが紅茶とシフォンケーキを準備してくれている。
「おーほっほっほっ!!」
こんな笑い方の人が本当にいるんだなという笑い声が聞こえてくる。
どうやら女性のようだ。
かなり高い声の持ち主だ。
「まったく誇りっぽい屋敷ですわね。これならうちの犬小屋の方がましですわよ」
まったくずいぶんな言い分だな。
この屋敷は電気工事のスタッフのみんなや僕のファミリーが一生懸命掃除をしたり、整備をしてきれいにしてくれたというのに。
むかついてきたぞ。
「三千院家ご令室の三千院キララ様をお連れいたしました」
事務的な口調でみゆきさんがドアを開けて、その人物を紹介する。
「そうですわよ、わたくしが三千院家の筆頭令嬢である三千院キララ様よ!!」
甲高い声でその人物は名乗りをあげる。
金髪に青い眼をしたフランス人形のような美少女だ。髪の毛がくるくるとまいている。
まるでどこかの歌劇団の舞台に出てくるマリー・アントワネットではないか。
キララという名はいいえて妙だ。その見た目は宝石のようにキラキラしている。
ふわりとしたスカートにコルセットで腰は細くしめあげられている。そして胸ははちきれんばかりに大きい。
あやの先生に負けじ劣らずだ。
白の話ではあのスタイルでまだ十四歳だという。
「よくお越しくださいました、僕はこの屋敷の当主で種子島豊久といいます」
高飛車な三千院キララの態度は気にくわないが、ここは大人の対応をしないと。僕の方が年上なんだし。
深くお辞儀し、顔をあげ、にこりと微笑む。
つとめて好意的な瞳で彼女をみつめる。
高笑いをしていた三千院キララは笑いをやめて、僕の顔をじっとみつめる。数秒の間彼女はただ茫然自失と僕の顔を見ている。
呆けた顔でまばたきすら忘れている。
「な、なんて美しい……」
口を開けて、なんとよだれまで垂らして僕を三千院キララはみつめている。
「お、お嬢様……」
後ろにいる老女がキララの腕を引っ張る。
どうにか三千院キララは自我をとりもどす。
おそらく彼女にも僕の特技である
争うよりはそちらの方がいいかもしれない。
「立ち話もなんですし、おかけください。美味しいお茶とケーキも用意しているのですよ」
僕は言う。
ソファーに腰かけるとなぜかとことこと僕の前にやって来た三千院キララは膝の上にすわってしまう。布越しでも彼女の張りのあるお尻の柔らかさがわかる。
どうして三千院キララは僕の膝の上に座るのだ?
「あ、あのどうしてここに座るのですか?」
僕はきく。
「おかけくださいとおっしゃられたので遠慮なく座らせてもらったのですわ。はー種子島様はかぐわしいお香りがするのですね。とても良い男性のかおりですわ♡♡」
あらあらお嬢様の声があの甘ったるい甘えた声になったぞ。
僕の体臭には女性をとりこにするフェロモンが含まれていると前にあやの先生が言っていたな。
最初にこの匂いを嗅いだあやの先生は気絶してしまったのだ。
なんと三千院キララは僕の首すじに形のいい鼻をおしつけクンクンと匂いを吸い、深呼吸する。
「スーハースーハー♡♡殿方の濃厚なお香りでキララいっちゃう♡♡」
三千院キララはうっとりしている。
どうにかして三千院キララの体を外し、対面のソファーに座らせる。
こんなのでまともに話ができるのかな。
「お、お嬢様。御当主様をからのお話を」
背後の老女がキララにうながす。
この女性は三千院キララ付きのお世話係のようだ。三千院キララは彼女のことをばあやと呼んでいた。
「そうでしたわね、三千院家の当主である影虎様はあなたを我が家門にくわえたいとおっしゃっていますのよ」
三千院キララはほほほっと笑いながら言った。
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