第24話世界の目的を知る方法
僕たちがこの屋敷に引っ越してきて一月が過ぎようとしていた。もうあのおんぼろ屋敷ではなく、豪邸とまでは言えないもののかなり立派な様相になったとおもう。
これも工事のスタッフや僕のファミリーの皆のお陰だ。
その日、僕は白と涼子さんをともない、人的資源省の施設にきていた。
定期的に精子を提供するためだ。
精子の提供はおよそ一週間に一度おこなっている。
一回の提供で100万円ほど僕の銀行口座に振り込まれるのでこれはおろそかにできないのだ。
今回、提供にあたり白に手伝ってもらった。
ふー気持ちいいな。
ありがとう白。
五百ミリリットルのビーカーになみなみと注がれた精液をその施設の研究員はうやうやしく宝物のように持っていく。
前の世界ではティッシュにくるんで捨てられていたものがこの世界では宝物のように扱われるとはわかっていても驚きだ。
白はウエットティッシュで口をふいている。
「はーあごが疲れたよ。お兄ちゃんのでかすぎ」
白はあごをなでなでしている。
ごめんね、白。疲れたね。
僕は白の頭をなでなでする。
白はえへへっとてれ笑いする。
ぎゅっと白の細い体を抱きしめる。
細いけど温かくて気持ちいいや。
「お兄ちゃん一回でたりる?」
白は上目遣いできく。
チュッチュッと僕の顔にキスをする。
「おほっ回復はやいね」
僕の下半身にはられたテントをみて白は言う。
「じゃあ白、二回戦もお願いしようかな」
「お兄ちゃんよろこんで!!」
白はぽいぽいっと服を脱ぎ捨てる。
僕も服を脱ぎ捨て、簡易ベッドに白を抱き上げ、そこに寝かせる。
「うふっ♡♡お兄ちゃんのそれで白のお腹めちゃくちゃにして♡♡」
頼まれたらしかたないな。
もうむちゃくちゃにしてあげよう。
僕は白を思う存分もてあそんだ。
「らめぇ♡♡らめぇ♡♡お兄ちゃん、白おかしくなっちゃう♡♡」
白はアへ顔で僕の腕の中でもだえている。
「白、おまえまた感度3000倍にしてるだろう」
僕は言った。
「らってひもちいいんだもの♡♡やめりゃれなひよ♡♡」
3000倍なんて頭がおかしくなるかもしれないのに、白は気持ちよくなることを優先してしまっている。
ほら、いわんこっちゃない。
猫に戻りかけてるぞ。
頭に猫耳が生え、頬にひげが生えてきている。しっぽもにょきりと生えて左右にふられている。
「にゃ~♡♡お兄ちゃん♡♡大好きにゃん♡♡」
僕に愛されながら白は文字通り猫なで声であまえる。
まったくかわいいやつだな。
でも、このままでは白は猫に戻りかねない。それに3000倍なんてやっぱり脳が焼ききれてもしかたない。
長く白とつながっていたいけど、早めに終わらせよう。
僕はたっぷりと白に愛情を注ぐ。
「はー気持ちよかったよ♡♡
それは何より、僕も気持ちよかったよ。
頭がくらくらするや。
ちょっと眠るか。
そこで白を抱きしめながら、僕は仮眠をとった。
一時間ほど眠り、僕はこの施設を出ようとしたら副所長が呼び止める。
「所長がお呼びですが、どうしますか?」
副所長はきく。
「どうされますか、あなた?」
涼子さんがきく。白が僕をお兄ちゃんと呼ぶように涼子さんはあなたと呼ぶ。なんか大人っぽくていいな。
「せっかくだし、会っていくか」
このまま帰ってもいいけど、何か用事があるようだし、会ってやってもいいかな。
時間がないわけでもないしね。
僕たちは副所長の案内で所長の部屋におもむく。前のように散らかっていなくて、整理整頓されている。
事務机で本を読んでいる。
前に会ったあのわがまま坊やとは一味違う雰囲気だ。
「男子三日会わずば刮目せよというだろう」
口調もどこか大人びていた。
「義孝、みちがえたわよ」
涼子さんが褒める。
五崎義孝はうれしそうに微笑む。
「もうグランマザーに恥ずかしいところは見られたくないからね」
義孝は言った。
確かに彼の言う通り、人間は少しの時間でも成長できるようだ。
「種子島さん、それにグランマザーも聞いて欲しい。僕が父さんから聞いたことを」
五崎義孝は語る。
彼の母親は五丈原孔明の屋敷で働くいわゆるメイドであった。気まぐれに抱かれて、妊娠した。SSR資格者の家で働くとはそういうことだ。要求されれば断ることはできない。
むしろ母親はよろこんだという。
妊娠は確実だし、男の子を生めば国から年金も支給される。
義孝自身はC資格者であったため、本家の姓は名乗れなかったものの母親は多額の年金をもらい与えられた別荘で今も暮らしているという。
義孝のことはみむきもせずにだ。
彼はお金のために妊娠し、生まれたのだ。
そう思うと彼もそれなりにかわいそうだ。
「あのとき、あの夜、僕は父さんに聞いたんだ。酔っていたというのもあるし戯れだったのかも知れない。どうせ僕にはできないと思ったから言ったのかもしれない」
そこで義孝は一つ息を吐き、机の上のマグカップに口をつける。
お茶を一口飲み、口をしめらす。
「聖剣グラディウス、リルガミンの宝珠、パルテナの鏡の三つを集めるとこの世界の目的を知ることができると」
義孝は言った。
聖剣グラディウスはすでに僕の手元にあるあのコントローラーのことだと言う。あのコントローラーは最初のコンピューターであるグラディウスのアクセスコードを入力するのに必須のアイテムだという。
「僕にはこの三つを集められない。その能力もないし気力もない。でもあんたならできるかもしれない。この世界の目的というのをつきとめてほしい」
義孝は言い、頭を深く下げる。
そこまで言われたら仕方ない。その三つとやらを集めて世界の目的を見極めてやろう。
僕は義孝に約束した。
彼はありがとうと答える。
そうだ、彼も五丈原家の者なら人形使いの疑いのある涼香のことを何か知っているかもしれない。
僕は聞いてみた。
「涼香か……かわいい子だったけど変わっていたな。この世界によくにた世界があってそこは七日病が存在せず、男性が普通に多くいると言っていたな。私にはその世界が見えるんだって。本当におかしなやつだよ。笑うしかないね」
義孝は言う。
けど、その別の世界から来た僕と白は笑えなかった。
「確かにあの子はそんなことを言っていたね」
記憶をたどり、涼子さんも賛同した。
涼香という少女は超能力を使い、僕たちがもといた世界をみていたのかもしれない。
この後、僕たち副所長をはじめ職員の皆に見送られこの施設を出て、帰宅した。
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