第19話人形使い襲来
朝になり、僕とあやの先生は食堂に向かう。
今日の朝ごはんは何かな?
トーストにベーコンエッグ、ツナサラダにオニオンスープか。今日は洋風だな。
あっ僕の好きなマーガリンもあるぞ。これを焼きたてのパンにたっぷりぬるのがいいんだよな。カロリーなんて気にしちゃあダメだよね。
マーガリンをたっぷりぬったトーストに半熟の目玉焼きをのせて、がぶりとかじるのがいいんだよ。甘い黄身があふれてトーストに染み込む。そいつをまたがぶりとかじる。
はーうまいな。
あやの先生も同じようにして食べていた。
オニオンスープも玉ねぎの甘味がきいていて本当に美味しい。
さて、この日の予定は午前中は電気工事の作業があるんだよな。作業員の人が来てくれて配線なんかをきっちりなおしてくれる。
所々、電気がつかない部屋があるんだ。
どうやら書庫もあるようで前の住人が残していったものがあるようだ。
電気が通っていないのでその部屋も暗いんだよね。
あやの先生や涼子さん、麻季絵さんがかなり掃除をしてくれてきれいには成っているが、やはりプロの手をかりなければいけないところはやまほどある。
涼子さんとの日課のウォーキングをこなす。
背中を伸ばすストレッチをする。
「もうあの寝たきりの印象はないですね。すっかり元気になってよかったわ」
涼子さんがタオルで汗をふいてくれる。
こうまじまじとみると若がえった涼子さんは美人すぎる。そういえば若いときは雑誌のモデルのバイトをしたこともあるといっていたな。このすらりと伸びた手足をみると頷ける。
それにこの目鼻立ちのくっきりしたこと。左右対称の顔が美人の証だという。まさしく涼子さんの顔はきれいな左右対称だ。すなわち彼女は美人なのだ。
あーキスしたい。
と思ったら僕はチュッとキスをしていた。
これはまずいな。この人たち僕がエッチなことをしてもむしろ喜んで受け入れてくれるから、歯止めがきかなくなってきている。
気をつけねば。
涼子さんは僕の口を受け入れ、何度もキスしてくれた。美味しい唇だな。
朝の運動のあと、シャワーを浴びてスッキリしていると業者の人たちがやってきた。
作業服をきたその人たちは手際よく作業していく。
二時間ほどでほとんどの作業が終わる。
これでほとんどの部屋の電気が使えるとのことだ。
また各部屋にエアコンをつけるときもお願いしますと彼女たちにお願いする。
それまでざわざわとどちらかといえば乱暴な口調だった彼女たちが僕の姿を見ると豹変する。
「へっ男の人がいる♡♡」
「まさか依頼人って男の人なの♡♡」
「うわっ素敵♡♡」
「もう料金はいりません♡♡」
いやさすがに料金はしはらいますよ。
僕は麻季絵さんと一緒にお茶をいれ、お菓子もふるまった。
彼女たちはとても喜んでくれた。
いやいや、これぐらいお安いご用ですよ。
お昼になり、麻季絵さんの作った焼きうどんを昼食にとる。出汁がきいていて絶品だな。ペロリとたいらげてしまう。
「午後からあの娘のお見舞いに行こうと思うんです」
僕は言う。
あの娘とはテロリストにおそわれて入院しているバイトの女の子のことだ。彼女が襲われた原因は僕にもあるのでお見舞いをしたい。
運良くあやの先生の友人が勤めている病院だとのことでアポイントはとってくれている。
お見舞いをしたいというと先方はかなり喜んでくれているようだ。
お見舞いのお菓子は麻季絵さんが用意してくれた焼き菓子をもっていく。
これは先ほどの作業を行ってくれた皆さんにも好評だったものだ。
あの娘も喜んでくれるだろう。
「医者がこんなこと言うのもなんだけど気をつけてね。なにか嫌な予感がするのよね」
あやの先生は言う。
それは彼女が身につけた万里眼の能力が発動したのかもしれない。すべてを見抜くその力はあやふやながらも未来も見せるのだと白は言っていた。
「まかせてください。私がついているかぎり豊久さんには少しの傷もつけさせません」
みゆきさんが頼もしいことを言ってくれる。
「僕も全力で守ってあげるよ。帰ったらまたエッチなことしようね、お兄ちゃん」
にひひっと白は笑う。
「まあずるいわ。私もお願いしたいわね」
涼子さんが言い、麻季絵さんも私も♡私も♡と手をあげる。
また二人の相手もしないとね。ハーレム王も大変だな。
みゆきさんの運転するSUVでその病院に向かう。一時間もかからずに病院には到着した。
みゆきさんのいい巨乳に食い込むシートベルトはいい眺めでした。この人もしかしてわざときつめにシートベルトを装着していないかな。胸の谷間にくっきりとはまっていておっぱいのかたちがまるわかりだった。
どうしようかな、今晩こそみゆきさんに相手になってもらおうかな。
病院の受付で面会を申し込むと数人の看護師さんが案内をかってでてきてくれた。
「ではよろしくお願いします」
僕はペコリと頭を下げる。
「ふわっなんて礼儀ただしいかたなのかしら。素敵♡♡」
僕としては当たり前のことなんだけどね。
そもそもあまり外を出歩かない男性たちの中で僕のように女性に頭をさげるのは僕だけのようなのだ。
看護師さんたちに案内されて僕は病室を訪ねる。
頭と腕に包帯を巻いたあの娘がベッドで寝ていた。怪我はそれほどでもなく、明後日ぐらいには退院できるとのことだった。
「この度はたいへんでしたね。すこし気になったのでお顔をみにきました。これよかったら食べてくださいね。うちの麻季絵さんが作ったお菓子でとても美味しのですよ」
僕はそれをその娘にわたす。
上半身をおこし、彼女は受けとる。
「そんな来てくれるだけでもうれしいのに。お菓子まで♡♡らめぇ好きになっちゃう♡♡」
どうやら喜んでくれたようだ。耳の先まで真っ赤にしている。
僕は彼女の手を握り、はやくよくなるといいですねと言う。
その娘は顔を茹でタコのようにして喜んでくれた。
思ったより元気そうでよかったよ。
病院の受け付けにより、用は済んだのでこれから帰りますとつげる。
看護師さんたちがさらに増えていた。
十数人の看護師さんたちにかこまれ、熱っぽい視線をあびる。
しかしこの
あれっ奥の一人だけ様子がおかしいぞ。
皆と表情が違う。
遠目でもわかるぐらい目が充血していて、こちらを攻撃的な目で見ている。
なにか怖いな、あの人。
スルリとみゆきさんが僕の前にたち、背後に白がまわる。
彼女らも異変を感じとっているようだ。
そう思っていた矢先、その看護師が手にメスを持ち、ふりあげてこちらに駆け寄る。
「男子滅殺!!」
かなり物騒な言葉を発する。
やばい、この人めちゃくちゃこわい。
目が真っ赤に充血していて、完全にいってしまっている。
メスをふりあげて、周囲の人々を猛烈な力でおしのける。
あっという間に距離をつめ、後数歩のところまでせまる。
「お兄ちゃん危ない!!」
白が身をていして僕をかばう。
その体で僕の前方に抱きつき、なんと人の盾になってくれた。
「させるか!!」
みゆきさんが短く言い、腰の警棒を引き抜き、それで打撃をくわえる。
流れる動作で動きに無駄がない。
警棒はその看護師の腕を直撃する。
ぐにゃりと手首は曲がるが看護師はメスを離さず、さらに僕に攻撃しようとする。
「オトコは皆殺しだぁ!!」
よだれを撒き散らしながら彼女は叫ぶ。
これは正気ではない。
どうかしている人の動きだ。
だらんとした手首のまま、看護師は腕をふりあげる。
「これでどうだ!!」
みゆきさんは警棒を引き、看護師のみぞおちにつきつける。警棒の先端が看護師の腹部に食い込む。
うわっこれは痛い。
なおも看護師が動こうするのでみゆきさんは胸ぐらをつかみ背負い投げをする。
きれいにきまり、看護師は床に叩きつけられる。
そのまま寝技の要領で羽交い締めにする。
なおも看護師はじたばたするが完全にきまってしまっているのでぬけれない。
あれっあの看護師の両手両足になにか糸のようなものがついてるぞ。
僕はそのキラキラした糸をつかむ。
それをひっぱると急に看護師は大人しくなる。
「まさかこのうちの思念の糸にきづくなんてね。これは油断大敵だわね。はやく切らないとこっちをたどられちゃうわ」
糸を通じてそんな声が聞こえる。
その後、看護師を操っていた糸はプツリと切れて無くなった。
看護師は静かに気絶した。
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